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　カタシロは向けられた笑顔に目を細めて、軽く手を上げてその場を去った。車に戻り、ミラー越しに浜辺に佇む彼を見れば、携帯で誰かと話しているのか、楽しそうに身振り手振りを交えて話している。
　柔らかで楽しげな笑顔は、その髪色と同じくらい鮮やかで。
（どうか、その笑顔が失われることがないように）
　そして、いつか、彼にも彼女にも、同じ笑顔が戻ればいい。
　例え自分がそう願うことが、ひどく不相応なことだとしても、そう願わずにはいられなかった。