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臨帝小ネタ集っぽいの

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まっさら臨也パラレル


*続きが思いつかなくてボツった。


哀れみだし、同情だ。
それ以外の何かなんて、無い。


「帝人君は何で俺を拾ったの」


彼は尋ねる。心から疑問に思っているのだろう目で僕を見据えながら。
「さあ、なんとなくです」
僕は答える。視線を合わせないように細心の注意を払い、盗み見た彼の表情を分析する。
納得は、していないだろうなと思うし、しなくてもいいと思う。
ただ僕には、それ以上答えようがない。
ボロボロのアパートは二人で住むには狭すぎて、どこにいても寄り添うように互いの存在を感じる。ぼすりと僕の背中に額を押し当てた彼は、ずるいよね帝人君は、と呟いて、そっと後ろから抱きしめるのを、好きなようにさせた。
僕がいなくちゃ、生きていけなくなればいい。
息を吐いて、思うのはそんなことばかり。ああ、本当に僕は、卑怯だな。



彼を拾ったのは冬の寒い日のことだった。
闇医者が言うには、相当のヘマをやらかして存在を消される寸前だったところを、昔なじみのよしみで命だけは助けてもらえるように取り計らった結果、なのだという。
ぼろぼろの彼を僕のボロアパートの前において、こいつはここに捨てていくよ、と闇医者は告げた。拾うもどけるも好きにしろと言うことだ。
僕は、傷だらけで転がった彼を目にして正直、とても迷った。ここで拾ったらとても厄介なことになりそうな気がする。けれどももしや、これは復讐の絶好のチャンスなのではないのか。拾って、傷を手当して、優しくしてやって、ある日突然突き放して捨てたら彼はどれほど絶望するだろうか。もしかしてそんなもんだよねと肩をすくめる程度で終わるかもしれないけれど、ほんの少しでも傷つけられるならば。
自分と親友の負った傷を、少しでも、返せるならば。
僕は結局そんな打算の元に、彼に手を差し伸べた。拾い上げて部屋に入れて手当てをして、布団に寝かせてやった。来るべき復讐の為だと思えば、この外道に情けをかけることなど苦ではない。しかし、そうした僕の計算を全て打ち砕いたのは、目覚めた彼の第一声だった。
「……だれ?」
酷く、幼いような声だった。
聞いたことの無い海の揺らめきのような、透明でそこが知れぬほどの純粋さを感じさせる、声が。
「君は、だれ?天使様?」
彼は僕にそう尋ねて、首を傾げて見せた。
寒い寒い冬の日のこと。


そこにいたのは折原臨也ではなく。
ただの真っ白な、人間だった。


「帝人君、帝人君」
「はいはい」
「だめだよ、どこに行ってたの、どこにも行っちゃだめだよ」
すぐそこの自販機へ買い物に行くだけでさえ、この有様なのだから。学校へ行くときなど毎朝泣きそうな顔をするし、食料品の買出しでさえいやだと駄々をこねる。ならば一緒に行くかと問えば、外は怖いというし、それなら学校帰りに買い物をして戻るようにすれば、今度は帰りが遅いとわめく。
まるで子供のような彼のことを、正直僕はもてあましていた。彼は、「折原臨也」とまったく異なるベクトルで僕の名前を呼ぶ。前者がまるでオモチャの品名を呼ぶようなものだったのにたいし、彼は、まるで大事な宝物を呼ぶように帝人君、と言う。
精一杯優しくして、甘えさせて、そばにいるのが当たり前みたいに思わせて、その上で捨てるのが正しい復讐だと、分かっているのにどうしても僕の心には戸惑いが生まれる。もしこれが彼の計算で演技なのだとしたら、見事な手腕だと拍手を送らざるを得ないほどに。
「痛いんですけど」
ぎゅうぎゅうと抱きしめてくる腕に不服を言えば、彼は小さく首を振って答えた。
「だめだよ、捕まえておかないと君はすぐにどこかへ行っちゃう。明日だって学校があるし、触れていられる時間なんてすごく短いのに」
「その全てを、あなたに割くことはできないんですよ」
「分かってるよ!分かってるけど、だからこそ、もっと構ってよ」
帝人君、と声は呼ぶ。
僕を傷つけたのと、親友を裏切ったのと同じ声で。
懇願するように、もっと俺を見てと言う。構って、と言う。それを躊躇わせているのは他ならぬ彼の、過去の言動だというのに。なんて滑稽、なんて自業自得。


……なんて、悲劇的。


作品名:臨帝小ネタ集っぽいの 作家名:夏野