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こらぼでほすと アッシー13

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翌日、朝からそわそわと寺の女房は、山門のほうを眺めつつ家事をしていた。今日と言われても、それが何時というところまではわからなかったからだ。まあ、エクシアで別荘へ降りてくるだろうから、そこから移動して、なんだかんだとあれば、夕方近くなるだろうとは思ってはいる。いるのだが、気分的に落ち着かない。昼の片付けをして一服してから境内の掃除でも・・・と、立ち上がったら、悟空に止められた。
「昼寝。」
「無理。寝られそうにないから、草むしりをさ。」
「とりあえず横になって身体を休めてよ。」
「いや、悟空。あのな。」
「刹那なら夜だ。ハイネから連絡入るから。」
 ヘリの運転手が、戻ったら連絡をくれることになっている。ハイネが、別荘から本宅の移動はしてくれるのだから、確実な情報だ。
「どこだ? 本宅へ降りるのか? それとも、エアポート? 」
「たぶん、ラクスんとこだと思うけど。」
 じゃあ、出迎えに、なんて言うのだから、悟空も呆れる。小さな子供じゃないんだから、刹那は、ここまで迷うことなく戻って来る。それに降りたからといって、すぐに戻るとは限らない。それも、おかんは忘れているらしい。
「エクシアの整備とか、スタッフと打ち合わせとかあんだろ? そんなに早く戻らないってば。店のほうに来るから、とりあえず、横になって。」
「店? こっちじゃないのか? 」
 てっきり寺へ戻ると思っていたのに、悟空は違うという。ちょうど、ママが出勤だから、そういうことになっているらしい。
「早ければ、こっちだけど、たぶん無理だって言ってた。」
「そうなんだ。じゃあ、早めに出勤しよう。」
 とりあえず、悟空のおやつの準備をして、それから、三蔵の晩酌のアテも用意しないと、出かけられないと、台所へ向かってしまう。もう、なんていうか、刹那に関してだけは、聞く耳はないらしい。




 エクシアは、無事にラボのほうへ降下していた。出迎えたのは、ハイネとキラ、アスランだ。
「おかえり。」
「ああ、ロックオンは?」
「元気にしてるよ。お土産用意してくれた? 」
「プレゼントの間違いだろ? キラ。」
「あ、知ってたんだ。エライエライ、刹那。」
 それなら、ここにある、と、手荷物を見せる。しかし、その紙袋に印刷された文字に、キラは、うに? と、首を傾げた。
「刹那、僕、アイルランドのものって言わなかった? 」
「アイルランドの百貨店に売っていたお菓子だ。」
「でも、これ・・・・ユニオン本国の有名なお菓子だよね? 」
 それは、ユニオン本国で有名なお菓子で、最近、あっちこっちに支店を乱立しているお菓子店のものだった。特区の百貨店にも入っているから、キラも知っている。
「ユニオン? 」
「うわぁーアスラン、どうしよう? 」
 こりゃまずいだろう。せっかく、ロックオンの故郷へ遠征して来たのだから、そちらのものが喜ばれる。
「うーん、特区の百貨店にあるかなあ。」
「まだ日にちはあるから、取り寄せたらどうだ? 俺も詳しくないけど、キラなら調べられるだろ? 」
 ハイネが、それに口を挟む。要は親猫の誕生日に間に合えばいいわけだから、残り二日はある。二日あれば地球の裏側からだって取り寄せは可能だ。
「これでいい。俺が詳しくないのは、ロックオンも知っているから問題ない。」
 けど、刹那は自分が買ってきたものでいい、と、言う。あまりよくわかっていないのは、親猫も知っているから、自分が選んできたというところが重要だと思う。
「うん、じゃあ、それはそれで渡して。後は、僕のほうで手配するから。・・・さて、エクシアの調子はどう? 」
「やはり、左腕の反応が鈍い。」
「やっぱり。オーヴの技術とソレスタルビーイングの技術には、かなり理論が違うところがあるみたいなんだよね。ちょっと弄ってもらうけど、それでもダメなら、一度、宇宙に上がったほうがいいかもしれない。」
 MSの構築理論が、オーヴと刹那たちの組織では、根本的に違う。だから、こちらで修理しても、どこかで齟齬が発生する。多少なら、システムを弄ることで、どうにかなるのだが、あまり弄りすぎると、今度は、他に変調をきたす場合がある。そこいらの加減が難しい。キラはシステムの専門だから、そこで調整できる程度なら、さくさくとやってしまうのだが、左腕はオーヴの技術で接合して
ので、マッチングしないのなら、そこから修理が必要になる。
「それほどではない。システムのほうで調整できる範囲だ。」
「わかった。とりあえず、やってみよう。」
 この長期の滞在は、それもあってのことだ。半年以上遠征してきた結果を報告して、オーバーホールしてもらったので、試運転をしてもらった。それでも、反応が鈍いなら、システムを弄ろうということになっていた。安全性を考えれば、一度、組織へ整備に戻るほうがいいのだが、刹那は頑として譲らない。
「そういや、もどきはどうだった? 」
 この話題は、すぐに終わらないから、ハイネが話題を転換した。
「まったく違う。」
「顔は瓜二つだったろ? 」
「でも、違う。あれは、保留だ。」
「まだ確定するには至らないか。刹那、そちらもじっくりやればいい。どうせ、組織のMSは、まだロールアウトしていないんだから。データは? 」
 アイルランドの情報を収集してきたデータを刹那は、取り出しアスランに渡す。ただし、これは、組織へ送るな、と、釘は刺した。これには、カタロンのことも入っているから、ティエリアが解析すると、ロックオンの実弟のことも把握されてしまう可能性があるからだ。知れば、ティエリアも探すに違いない。なるべく、あれは外しておきたいから、知られたくない。
「いいよ。あちらに送ってもいいと思ったら言ってくれ。こちらで解析はしておく。」
 アスランは、刹那の言い分に頷く。まだ、それほど重要ではない情報だ。今のところ、EUに属しているアイルランドには、独立治安維持部隊は展開していない。だから、それほど重要ではない。
「キラ、システムを弄るなら、起動させよう。」
「ううん、今日はいいよ。とりあえず、店に行こう。ママが待ってるから。そのお土産は、いつ渡してもいいよ? 三日後に、ちょっぴり僕らも、お祝いさせてもらうつもりだから。」
 基本の整備だけなら、ここのスタッフでもできるので、とりあえずは、そちらをやってもらうことにした。システム関係は、明日以降にキラと刹那で組んですることにした。刹那は、エクシアのマイスターだから、自分で、ある程度の整備もシステムの調整もできる。刹那が弄るのを横から見て、キラが、それを補完するような形でシステムの再構築をさせれば、システムが、どういう形に変ったか、刹那も把握しやすいだろうということから、そのような予定を組んだ。それについて、刹那のほうも異論は無い。組織へ戻りたくないのは、太陽炉を取り上げられる可能性が高いからだ。新しい機体とのマッチング作業には、エクシアの太陽炉も使用される。取り上げられたら、エクシアは二度と起動しない。エクシアなしに、広い世界を旅するのは、刹那にとっても難しいと思う。だから、ギリギリまで宇宙には上がらないと決めていた。