涙
俺は円堂の幼馴染だ、14年近く円堂の笑顔を隣で見てきた
でも、“涙”は見たことがない。 なぜか俺はそれが気に入らなかった、
幼馴染かつこ・・・・・恋人・・・・だというのに・・・・。
一度くらい見せてくれてもいいじゃないか・・・・円堂。
俺の部屋で漫画を読んでいる円堂を横目にこんなことをぼんやり考えていると
______ぽてっ
(!?ッ)円堂が突然俺の胸の中に倒れこんできた
「どッどうしたんだ?えんど「風丸・・・俺、最近さ・・・不安なんだ」」
「えッ?!」突然の切り出しに俺は驚いてしまった
でも、俺の胸の中で目を細めている円堂を見ると、心の底から愛しくなって
思わず、やさしく抱きしめていた。
すると、円堂は満足そうに「ぅん・・・」と声を上げた
そして続けた、「明日の帝国との試合・・・・大丈夫かなって・・・・
サッカー部・・・なくなっちゃうなかなって・・・・」
「えんどう・・・」
俺はさらに強く円堂を抱きしめた
久しぶりに円堂が弱いところを見た、でも円堂はすぐハッしたように
顔をあげて「キャプテンがこんなんじゃ駄目だよな?!」といつものように
ニカッと笑った。
俺はそんな仕草がいじらしくて切なくて、
サッと円堂のバンダナをとって、円堂の額に口づけた。
すると円堂は、顔を真っ赤にしながら、
「こっちがいいっ」と言って可愛らしいリップ音をたてて俺に唇に口づけた。
Pi pi pi pi pi pi______パチッ
「・・・・。朝か・・・」ゆっくり体を起こすと、隣で寝ていた円堂にぶつかった。
(あぁ・・・そういえばあの後、円堂泊ったんだっけ・・・?)
なんてぼんやり考えながら ふぁ~とあくびをすると同時に
隣にいた円堂の目が開いた。
「ん・・・。おはよ 風丸・・・」
ゴシゴシ目をこすりながら円堂は体を起して
くぁ~とネコのようなあくびをした
その仕草が可愛くてポンっと頭に手を置いてやると
円堂はやさしく微笑んだ、そして俺の顔をまじまじと見たかと思うと
「おはようのちゅうッ」と言っていきなり
小さなリップ音をたてて俺にキスしてきた、俺は不意打ちにはめっぽう弱い
かぁぁぁと効果音が聞こえてきそうな勢いで顔を赤らめた、
そして、「キスするなら聞いてからにしろ!!」と言い放って円堂を軽く睨んだ、
すると円堂は「ごめん・・・風丸いやだった?」なんてことをしょんぼりしながら言うから俺は思わず「べっ別にいやっていうかなんというか・・・・」必死で否定しようとするがなかなかうまい言葉が見つからない・・・。
さらに円堂はシュンとなる俺は焦って
「いやじゃない!!むしろ円堂とのキスは・・・」ハッ____
ここまで言って俺は後悔した、なんて恥ずかしいことを言ってしまったんだろう
きっと円堂も引いてるだろうな・・・そう思いながら俺は恐る恐る顔を上げた
すると円堂がいきなり抱きついてきた
「あぁぁっもぅ!!風丸可愛すぎ!!ほんッと可愛い!!」
「ちょッちょっとえんどッッ」
そしていきなり体が離されたかと思うと、
いつもより大人びた円堂の顔が目の前にあってドキッとした
「なぁ・・・風丸キスしていい?というかしたい・・・・」
俺は少しうつむきながら
「・・・・言わせるな・・・」とぶっきらぼうな声を返したすると円堂は
やさしくキスしてきた
最初は唇と唇が触れる程度のキスだったが少しずつ甘いものに変わっていく
「・・・んッ」俺の口からまるで女みたいな声が漏れる・・・・。
部屋にはいやらしい水の音が広がる・・・
そんなキスに夢中になっていると[pi ri ri ri ri ri ri ri rj ri]
突然、堂の携帯が鳴った二人はハッと我に返ったそして沈黙は続く、
円堂は携帯が鳴っているのに顔を真っ赤にして動かない・・・
そんな円堂に「・・・・でないのか?」と声をかけると円堂は
「あっ・・。あぁ」と慌てて返事をしながら電話に出たすると
突然、木野さんの大きな怒鳴り声が聞こえてきた
「円堂くん!!今どこ?!何してるの?!
今日は昼から帝国との練習試合の日だから
朝からアップしようって言ってたでしょう?! もうみんな来てるよ!?」
電話越しでもわかる、木野さんはかなり怒ってるようだ、円堂は何回も謝ってる
そして、「いいから早く来て!」と乱暴に電話が切れる音がした。
そして、円堂は俺を見ながら言った
「早く準備しないと!!」
俺は少し困った顔をして「あぁ」と返事をした
バタバタバタッ
「円堂!!もっと早く走れよ!」
「いやッッ無理!これ結構全力ッ!」
「まったく!もぅ・・・。手かせ!!」
俺はため息をつきながら円堂の手を取った。
「おゎッッちょっ風丸!?」
「引っ張ってやる!!」
俺は円堂を引っ張った、
円堂はおっと、と一瞬バランスを崩したがすぐに
体勢を立て直して俺についてきた
バタバタバタ_________
門の前に着いた時にはすでに10時半をまわっていた、
息を整え中に入ろうとすると手に何かが引っ掛かった
(・・・・!?)一瞬考えてハッとした
(しまった・・・手 繋ぎっぱなしだった・・・・どうしよう・・・)
考えていると円堂が先に手を離した
「ごッごめん!!」
「いやっ・・・俺こそ・・・」
俺は円堂から手を離してうつむいていると
「ほらッ!風丸!!早く行くゾ~!」と円堂の声が降ってきた
「おっおう!!」俺は返事して円堂に駆け寄った
「あっ!!円堂くんッ風丸くんッ!!」
グランドに着くと木野さんが声をかけてきた
「ごめんッごめん!!」
円堂が駆け寄っていく俺もそれに続く
「もぅ!!また寝坊!?」
「うん・・・・まぁ・・・そんなところ」
円堂はバツが悪そうに目をそらしながら答えた
「まったく・・・もぅ・・・」ため息をつきながら木野さんは俺のほうを見た
「風丸君が遅刻なんて珍しいね?もしかして風丸君も寝坊?」
と聞いてきた。
「ふぇ?!あっ・・・あぁちょっといろいろあってな・・・」
まさか話を振ってくるなんて思ってなかった俺は拍子抜けな返事をしてしまった
「まったく・・・。
まぁ、二人とも早くアップしてねッッ!みんな待ってるよ~?」
と手を振りながら木野さんはみんなのところに戻っていった。
「「はぁ・・・」」俺たちは二人揃ってため息をつきながら顔を見合わせた
そして、少し微笑んでアップを始めた。
pm5:00____________________
帝国とに試合が終わった。
結果がめちゃくちゃだったのは言うまででもない
唯一救いだったのは試合の後半“豪炎寺”という謎のストライカーが現れたことだ
豪炎寺がいなかったら・・・と想像するだけでゾッとする。
それでも、やっぱりみんなひどい怪我だった
俺も数か所、打撲や擦り傷を負っていてマネージャに手当てをしてもらっていた、
「ハイっっ!おしまい!!
それにしても・・・みんなひどい怪我・・・とくに円堂くんは・・・ あれッ?」
木野さんがキョロキョロと辺りを見回している、
「どうしたんだ?」俺が聞くと不安そうな声で言った
「円堂くんが・・・居ない・・・」
「えッ!?」