青に打ちのめされた
不思議なことにその日を境にそれはぴたりと止まった。食べても吐かない、その事実に首を傾げながらも新入り音無の面倒を見たり、野球をしたり、催眠術をかけられたNPCやらその親玉様にボロ雑巾のように蹴り転がされたり、その親玉様をあいつが救ってやったり、だとか。瞼が重くて目を開いてられない、ただ暗く狭い世界であいつがふわり、光っていた。全く何て奴だよ、ゆりっぺだっていたのに俺なんかのところに真っ先に駆け寄ってきたと思えば、自称神様でさえ彼の手にかかればただの子供になってしまうようだった。ゆらぐらと揺れていた新入り君はいつ間にか俺らの中に、これまた可笑しなことに馴染みはしなかったが確かに居場所を見つけたようだった。ああ、よかった、よかったじゃないか。閉じた視界は暖かった。そしてそれは戻ってきた。保健室で目を覚ました、そこらへんに転がしておいても勝手に生き返るのにわざわざこんな、ああ、ああ、ほらこうやって汚してしまうのに。起き上った途端、懐かしいあの酸っぱい熱がを焼く。ぱたぱた、と枕に染まっていく。ぼんやりと彼女の白い袖を思い出して、はっと周りを見渡せば誰もいなかった、どうやら俺が最後らしい。ああ、よかった、久々のその行為に視界が滲んだ、昨日の今日でもちろん出るものなど無い。胃液だけがだらだらと指先から零れおちる。ひどく、きもちがよかった。