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【APH/東西】奇跡的な仲良し兄弟なので腐向けではない。

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「ほんっと、お前らってわかってねえのなー。兄貴にとっては、弟の成長は嬉しいもんだぜ。俺はヴェストに全てくれてやるつもりで育てたんだから、俺よりでかくて強くなった今のヴェストは理想的だろ。性癖とかそんないかがわしい話じゃねえ! お前と一緒にするなエロヒゲ!」
「ああ、俺も兄貴の期待に沿えるように努力して来たからな。今の俺があるのは、兄貴のおかげだ。それを面白おかしくからかわれるのは、あまりいい気がしないのだが?」
 特に目配せをしてはいないが、フランシスへ向けて足を一歩踏み出した瞬間に兄も立ち上がった。お前ら本当に息もぴったりだな! とからかうフランシスをもう一度睨みつければ、ひいっ、と変な悲鳴が上がる。
「あーもう、わかったわかった、わかったから! もうお前らは勝手にやってろよ! おいアントーニョ、帰るぞ!」
 涙目のフランシスが、隣でぼーっと紅茶やクレープを突いていたアントーニョを引く。えー、せっかく食べてたのに、と不満げなアントーニョは、けれどフランシスの剣幕に気圧されたかのように、立ち上がった。
 後に残されたルートヴィッヒは、兄と顔を見合わせるより他ない。
「……………一体あいつらは何のためにうちへ来たんだ?」
「さあ、知らねえ。あいつらはいつも突然来て突然帰るしな。でもあいつらの兄弟仲が最悪な理由が何となくわかった気がするぜー……兄心が理解出来ないとかマジあり得ねえ!」
 がりがりと頭を掻きながら首をひねる兄に、そればかりはルートヴィッヒも同感だった。兄弟なのだから仲が良いのは当然だと思っていたが、どうやら他国はそうではないらしい。独り立ちして久しいルートヴィッヒはそれなりに世間の事も知っていたつもりだったが、まだまだ自国の常識にとらわれ過ぎていたようだ。そこは反省しないといけないのかもしれない。
「……とりあえず俺は、兄さんが俺の兄貴で良かったと思った」
 確かに世話の焼けるところはあるが、それこそ心血注いでここまで育て上げてくれた兄だ。今彼の世話をするのは、今までの恩返しでもあるだろう。他国の事情を知れば、兄から存分に愛情深く育てられた自分がいかに恵まれているのか、よく理解出来た。
「そうかそうか! 俺様もお前が弟で良かったぜ! 本当にお前は俺の自慢の弟だ!」
 ケセ、と笑う兄に茶々を入れる者はもういない。それにどこか安堵し、ルートヴィッヒは瞳を細めた。

Das Ende.