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国城 龍耶
国城 龍耶
novelistID. 24182
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東方無風伝 2

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 捕まれば死ぬ。そう、これは命がけの鬼ごっこだ。
 だからこそ、必死に走る。
 段々と呼吸のペースが短く速いものに変わっていくのが解る。
 耳に、頭の中に音が響く。
 それは、全力で走っている為に荒々しい呼吸の音。 その音は、俺自身のものなのか、はたまた八匹の野犬のものなのか解らない。或いは、両方かもしれない。
 それに気付いた時、俺は走る足を一回だけ、だん! と力強く踏んだ。その途端、頭の中に響いていた呼吸音が消え去る。
 どうやらずっと走って体力を消耗したせいか、ぼんやりとしていたようだ。お陰で、今は少しばかり清々しい。気分的には。
 我に返った途端、今まで大して気にしていなかった脇腹の痛みが、自己主張でもするように出てきたのだ。息も、凄く苦しくなってきた。
 あのまま放心していた方が良かったのではと少しばかりの後悔。

「ははっ」

 先程から、後悔してばかりだな、俺ときたら。
 でも、大丈夫だ。笑う余裕だってあるんだ。
 こうして我に返ったからこそ、考えることが出来る。
 どうにかこの状態を解消できる方法を。

「うえっとぉい!」

 考えようとした途端、階段に躓き転びそうになった。
 なんとか転ぶことを免れたものの、今のは大きな隙を作ってしまったようで。

「ぎぃっ!」

 それなりに距離を詰めていたようで、一匹の野犬が飛びかかってきた。
 そいつは後少しと言うところで、足首を噛みやがった。

「は……なせ!」

 強引に足首を前に持っていき、走り続けようとしたが、噛みついたそいつが重く、遅い動きとなる。
 それは速度が落ちたということ。

「ってめぇら!」

 それ我先にと、飛びかかってくる残りの野犬。
 噛まれたら一溜まりも無い為、横に転がるように飛んで避ける。

「てめぇもいい加減離れろ!」

 足首に噛みついたままの狼に怒鳴り散らすが、それに反論するように足首を噛み千切ろうと
首ごと振ってくる。

「おぅわ!」

 足をぶんぶんと振られ、身体までもが引っ張れる。
 身体が振られた先は、大階段の端。手摺も何もない階段の端に、落とされる。
作品名:東方無風伝 2 作家名:国城 龍耶