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帝人君誕生日祝SS詰め合わせ

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『猫臨也と帝人ちゃん』


*女体化注意


臨也は猫である。
と言っても身体は人間。一目で猫だとわかるのは頭にぴょこんと存在する髪色と同じ黒の猫耳と、ゆらゆらと揺れる尻尾くらいだ。
今は人間の言葉を話せるようになって、たくさんの知識も得たからほとんど人と変わらないのかもしれない。
だけど臨也は猫である。知らないこともやっぱりあるのだ。


「誕生日?」
「そう、明日は帝人君の誕生日だけど……君、知らなかったの?」
「ていうか、誕生日って何?」
臨也の言葉に新羅は瞠目する。
暇だと訪ねてきた臨也に、そういえばと話題を振った新羅だったが……まさか誕生日そのものを知らないとは予想外だった。
そのまま懇切丁寧に誕生日とは何か、そして明後日が帝人にとってのその日なのだと説明すると、臨也はどんどん顔色を悪くし青ざめていく。
「何それ!すごい大切じゃないか」
「そうだね」
「何すればいいわけ!?」
「それは……人それぞれじゃないかな。プレゼント送るとか、ケーキを作ってあげるとか。ちなみに僕の誕生日にはセルティが……」
徒然と始まった新羅のノロケ話に耳を貸さず、臨也は必死に考えていた。
(プレゼント?何がいいの?帝人君が欲しいモノ……お米?いやいや何それ。ケーキ……は、普通誕生日に食べるみたいだけど作り方わかんないし、買ってくるのも……いいけどそれはプレゼントにならないし。ていうか俺あんまり金ないし。どうすればいいんだこれ!?)
何よりも大切で、大好きな帝人の生まれた日。
好きだと思いが通じ合って恋人同士になったんだから、自分が一番の物を、自分にしかあげれないものをプレゼントしたい。
臨也は眉間にしわを寄せ、自分の知識をフル動員して考え始めた。




三月二十一日、夜。
帝人の誕生日当日、臨也は日付を超えると同時に帝人におめでとうの言葉を贈った。嬉しそうに笑う帝人と一緒に眠り、朝が訪れると同時に様々な人から祝福を受ける帝人をずっと見ていた。杏里とセルティが作ったというケーキを食べた。
でもまだ、臨也からプレゼントは渡していなかった。
「何処行くの、臨也?」
「秘密」
だから臨也は夜になり、月明かりで照らされた道を帝人の手を取り進んでいた。
自分の持つ唯一のモノを渡すため。

「公園?」
「そう。思い出の場所」
辿り着いたのは臨也と帝人が初めて出会った公園。繋いでいた手を離し、いつかと同じように設置されたブランコに座り帝人を見上げた。
「覚えてる?あの日の事」
「そりゃあ……忘れないよ」
「あの時からずっと帝人の事が好きだった。俺を拾ってくれて、俺と一緒にいてくれて、俺を好きになってくれて。本当に大好きだよ」
「な、何?突然」
唐突に始まった臨也の告白に帝人は頬を染め、動揺する。
いつも抱きついたり、キスしてきたりと行動で愛情表現することが多い臨也に、改めてこうやって言葉を告げられるのが、帝人にとって余計に恥ずかしかった。
「今日はさ、帝人の誕生日でしょ。で、俺ずっと何あげたらいいか考えてた」
「臨也は一番におめでとうって言ってくれたでしょ?それで僕は別に」
「俺が嫌なの。俺だって何かプレゼントしたい。でもさ、残念ながら俺は猫なわけ。あんまり立派なものは用意できなさそうだから、さ」
そこで言葉を区切って臨也は立ち上がり、帝人に向かって微笑みながら両手を広げた。


「何もできないし、これからも迷惑かけるかもしれないし……猫だけど。俺のこれからの人生全部を、帝人にあげる。帝人が泣いてる時はその涙を舐めて慰める。嬉しい時は一緒に笑う。たまにイチャイチャしようよ、好きだっていっぱい言うから」


ゆっくりと帝人に歩み寄り、呆然と自分を見てくる彼女が愛しくて、臨也は広げていた腕の中に帝人を閉じ込めた。

「帝人君の側に、ずっと、ずっといる。俺のこと……貰ってくれる、かな?」

耳元で小さく呟かれた、何処か不安そうなその声に答える為に、帝人は目尻に涙を浮かべながら臨也の背に手を伸ばした。



【ありがとう、ずっと側にいてね】



僕と君は、飼い主とペット。
僕と君は、人間と猫。

僕にとっての君は、ずっと一緒にいたい、大事な大事な、僕だけの恋人。