三年後の答え合わせ
「俺は、」
「帝人君が自分の意思で、これからも俺と一緒にいてくれたら、それだけで十分だから」
強制的な契約が無くても、脅迫が無くても、自ら望んで俺の手を取ってくれたら。
優しく笑って、笑って、臨也は帝人に語った。
対する帝人は瞬きも忘れて臨也を見つめている。開いた唇から、息が漏れる。
「……臨也さん、馬鹿じゃ、ないですか」
「えっ!?」
「本当…馬鹿ですよ。過去にしたこと、思い出してください」
「っ……」
「忘れたなんて、言わせません。散々好きにしたでしょう」
息を吸って、吐く。呼吸を整えて、帝人は言葉を溢した。
「それでも僕は、此処にいるんですよ」
「それなのに、臨也さんは僕の答えに気付いていないんですか」
本当に酷くて、馬鹿な人ですね。
帝人は臨也を見つめて、小さく笑った。
「み、かど…くん」
今度は臨也の呼吸が、言葉が止まった。そんな臨也を笑って帝人は臨也の胸元に額を押し付ける。
「臨也さん、好きです」
「ちゃんと…これからも、好きです」
他人に認められなくたっていい、後悔はしていない。自分に嘘をつきたくない。
僕はどうしようもないくらい、この人が好きなんだ。
今更ながら明瞭になった答えに自嘲しながら帝人は息を吐くと、背中に腕を回して抱き返す。
そんな帝人の全ての答えに、臨也の思考は戸惑いで乱れる。しかし確実にある感情は“喜び”。
忘れてないよ、忘れないよ、それでも君は。君は。
「……ありがとう、帝人君」
君は、決して綺麗とは呼べないこの手を取ってくれるんだね。
酷く泣きそうな顔で笑って、臨也は帝人の唇に口付けをした。
三年後の答え合わせ
(間違いでも、それが自分の答え)