みんなといっしょ!
「なんで、あんまり驚かないのかなと思って」
「…あー。それはだなぁ」
「納得できる事実を私たちが知っているからだ」
「なんですか! それは」
「きり丸、怒るな」
土井が養い子を宥める。
「…あれは三年に上がってからのことだ。お前達は知らないと思うが少し大きな事件があってな。それに乱太郎が巻き込まれた」
「そのときの六年と元卒業生の手も借りてまあ事件は解決したんだが…」
「それの一旦を担ったのが巻き込まれた乱太郎だったんだ」
「あのときのことは…忘れられんな」
「ですね…」
土井と山田の言葉に乱太郎が笑う。あのときは我を忘れた。学園を守りたいと思った。友達を親友を先輩を死なせたくなかった。その感情が今まで隠していた実力をさらけ出してしまった。結果的にはよかったのだが。
「言っとくが、あれは鬼神のごとくっていうんだ。…ある城の忍者隊を一人で倒してしまったんだからな」
「なんですか、その実力は」
「…強いんですね」
先輩達も驚くというよりは言葉が出ない。
「乱太郎」
「なんですか? 数馬先輩」
「そのとき怪我とかしなかったのか?」
「ああ…かすり傷はありましたけど。でも大けがはしてないですよ」
「ならいいんだ」
数馬は乱太郎の頭を撫でた。知らなかったことたはいえ怪我をしていたらちょっと悲しくなる。
「乱太郎」
「はい、左近先輩」
「とりあえずだ。お前が最強だということはわかった。で、オレ達の目標も決まった訳だ」
「目標?」
「なあ、皆」
左近の庫t場に誰もが頷く。そして。
「「「「「「お前よりも絶対に強くなってやる!!」」」」」」」
そう言って、そこから誰もが消えていった。流れで消えたものもいるようだが。
残ったのは、乱太郎と担任。そして、は組では、喜三太としんべヱと伊助と伏木蔵。
「ああー。いっちゃった」
「皆、せっかちだねぇ」
「本当」
「まあ、我慢できなかったんじゃない?」
好きな子より弱いというのは。
「…乱太郎」
「何ですか。土井先生」
「お前煽るだけ煽ったな」
「いいじゃないですか。戦力あがれば皆死なないし、学園も守れる。先生達も安心するでしょ? 一石二鳥じゃないですか」
「そうだがな。あまり煽るな。お前の言葉の影響は既に大きすぎる」
山田の言葉に残った四人が頷く。乱太郎の言葉はうちでも外でも大きすぎるのだ。
「そうかな」
「お願いだから、自分の影響を持ってしってよね」
「伊助に言われた…。なら自重してみる」
「してみるなんだ」
「だって、私はわたしの言葉の意味を知ってるからこそ使うんだもの」
にこりと笑う乱太郎に誰もが苦笑する。ある意味小悪魔だ。だが、乱太郎だ。土井と山田は乱太郎を撫でそこから消えた。
「じゃ、帰ろうか」
「あー、僕。乱太郎を手を繋ぐ!」
「僕も!」
喜三太をしんべヱが乱太郎と手を繋ぐ。伊助と伏木蔵はそれを見ながら後ろから歩いた。
「…なんか、本当に最強になっちゃってるよね」
「それはしょうがないと思うんだよ。だって、乱太郎元六年と五年の先輩に全部叩きこまれてるんだもん。知識も術の全部」
「…何、それ」
「僕もついさっき思いだしたんだけど。乱太郎、伊作先輩達とか不破先輩達に可愛がられていたでしょ? そのときにどうもやられてたらしんだよね」
「…あー、想像つく」
「そんな訳で、目の前の最強が出来上がっちゃたんだ」
「そうなんだ」
その言葉に乱太郎が後ろを振り返る。
「最強って、結構楽しいもんだよ?」
「…それは乱太郎だからだよね」
「うん。そう思う」
「なーにー。伏ちゃんも伊助のひどいなー」
「ま、僕らの友達だってことは変わりないね」
「そういうこと」
二人の言葉に乱太郎は顔をほころばせた。
「じゃ、帰ろう。学園に。あ、そうだ。四人とも今日は私の部屋で泊らない? 色々教えてあげるよ」
「いくいくー」
「うん。乱太郎の話きくの好きだし」
「役とくかな?」
「残りものには福がある?」
乱太郎は四年に上がってから一人部屋になっている。
「みんな、一緒に強くなろうね」
「「「「うん」」」」
それは学園皆の本当に気持ち。