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野沢 菜葉
野沢 菜葉
novelistID. 23587
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きらきら星 【前編】

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7
自分の気持ちをどうすればいいのかわからなかった。
水谷のこと好きだけど、親友として付き合わなきゃいけない。
男を好きになってしまった…絶対に叶わない恋。

「ごめんね。オレ…」
涙が溢れそうだから俯いて話す。

「オレが自分に余裕なくて…水谷がどう思うかとか考えられなかったんだ…」
しばらく沈黙になったので、怖くなって掴んでいた手を離した。
水谷は今何を思っているのだろう。

「…栄口…泣いてるの?」
言われて初めて涙が床に落ちていることに気がついた。
それでも、オレは認めたくなくて首を横に振る。

クスッと笑われた気がして顔をあげようとすると、
急に身体が引き寄せられて、ポスッと水谷の腕の中に収まった。

「こうしてたら、泣いてるか泣いてないかわからないよね。」

「……ッ」
「…さっきも言ったけど、俺にとって栄口はすっごく大切な友達なんだ。
 だから力になりたいし、支えたい。」

「俺じゃ力不足だと思うけど…良かったら頼ってくれると嬉しいです…。」
だんだんボソボソと声が小さくなっていくのが水谷らしくて、思わず笑ってしまった。

友達って言われるのは辛いけど、そんなの当たり前なんだよな…それより…

「つまりね、何が言いたいかっていうとですね……俺は栄口と一緒に居たいってこと。」

「…友達なのに一緒にいたいの?」
「へっ?友達だから一緒に居たいんでしょ??それくらい大事ってことだよ!
 …だから、最近避けられてて、ちょっと寂しかった。」

「あっ…ごめんね。」
「いいよ!嫌われてないってわかったし!」
と言って、凄く嬉しそうに笑うのを見て、チクリと胸が痛んだ。

友達だって、好きな人だって、大切な人だから一緒に居たいって気持ちは同じなんだよな。
そうだとしても、オレのはもう恋心としか言えないけれど…
水谷のためなら、大切な友達として接していいのかな…。

…それより

オレのせいで水谷が苦しむなんて嫌だ。
水谷が苦しまないのなら…笑顔で居てくれるのなら…
オレは友達としてそばに居られる。

「ありがとう。水谷のおかげでなんかすっきりした。」
そう笑顔で告げると、満足だったのか、より嬉しそうな笑顔を返してくれた。

どうせ叶わない恋なんだから…
そばに居られない苦しみより、そばに居る苦しみを選ぼう。