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ウソツキ(伝勇伝・勇ライ+シオライ?)

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   ***



「アスルード、制服同じ」
「うん」
「クラスは?」
「A組だよ」
「…………」
「どうしたの?」
「もっと早く声かけてくれればよかったのに」

そうしたら、修学旅行の班だってなーと不満そうに呟く。ううむ、僕のライナはやたら可愛い。

「自由行動だってあるだろ?」
「そうだけど……」
「どうせ部屋も一緒になれないし」
「うー」
「その代わり、ライナの家に毎日遊びに来るよ」
「ホント?」
「ホントホント」
「じゃあさ、一緒に住もう?」
「それは」
「それは?」
「……まだ早いかな」
「アスルードやらしい」
「えー」

やらしいことなんて一切考えてないのにライナはくすくすと笑い始めた。いや、まあ、正しい青少年の在り方としては、少しくらい考えたりするわけで。いや、相手男の子だけど。それでも好きな相手なんだからそういうことを考えたりもするのだ。
というかライナだってそういう発想をしてしまうのだから結構なムッツリさんではないか。とか口にする前に果物ナイフを片付けてしまわないと。

「ほら、まだ準備できてないし」
「そっか」
「ごめんね」
「じゃあいつからならできる?」
「……そうだね、なるべく早くするよ」

しかし会うのが小学校以来、つまりざっと三年ぶりくらいだというのに、よくもまあこうトントンと話が進むものだ。いや、僕もそうか。

泊る用意もしていないし家に帰らないといけないから今日は家に帰ると伝えるとライナはものすごく不満そうだった。けれどそんな顔も可愛いと思う僕は末期なのかもしれない。


   ***



ライナは壊れている。
受け入れがたい辛い現実を、幼いころ、目の辺りにし、壊れてしまった。
……まあ、僕も少なからず壊れてるんだけど。
人間なんてものは誰しも、壊れているんだと思う。自分では治せないし他人にも治せない。壊れたものが更に壊れて、なんとなく治った気がして騙し騙し生きている。理解できないものを理解したふりをして生きていく。そんな絵空事を考える。
現実にはきっと壊れているのは僕とライナだけ。
まあ、ライナと一緒ならいいか。

「おはよう」

昨日の翌日は日曜日だったので手土産とお泊まりセットを持って参上してみた次第でございます。

「……誰」

昨日も見た冷たい目がこちらをとらえる。あれ、雲行きが怪しい。
「おはよう、ライナ」
もう一度声をかけるとライナの目が大きく開かれる。そうして一度ぱちりと閉じると、再び開かれ――同時に、抱きつかれた。

「アスルードおはよう」

ぎゅうぎゅうと締め付けられてお花畑が見えました。
お花畑の向こうで死んだ父さんと母さんが手を振ってる。こっちにおいでって。しかし僕には愛しのライナがいますのでと背を向けて走り出し、なんとか現実に戻ってきました。ほぼ嘘ですが。

「おはよう」

改めて言うと、ライナの髪を撫でてやる。
ライナは嬉しそうに目を細めた。