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監禁?軟禁?優しさですよ。

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 帝人は少しだけ困っていた。
 親友に監禁されたからだ。
(どうしてこうなった)
 定形文を思い浮かべたところで理由は分からない。
 幸いと言うべきか学校は休みなので暫くこのままでも構わない。
(あ、でも課題出てたかな)
 息を吐き出して開かない扉を見つめる。
「んー。ま、いっか」
 帝人は用意してくれていたパソコンを開く。
 暇つぶし用なのだろう。
「あ、『ソリティアでもしてろ』って入ってないじゃないか」
 少しイラっとしたものだから壁の回りを探して隠されていた配線を見つける。ネットに繋げられれば生活はいつもと変わらない。
 寝泊りする場所が自分の家か正臣の家かの違いだけ。
 必要なパスワードは大体頭の中にある。
 携帯電話がないのはダラーズを運営する上で痛手ではあったがパソコンがあるなら小さなことだ。
 キーボードを叩きながら正臣がどうしてこんなことをするのか考えて昔に似たようなことがあった気がして首を傾げる。
「なんだっけなぁ」
 本当に小さい頃のことだ。
 正臣が一生懸命だったから帝人は待っていた。
 言われた通りに。
(蔵の中だっけ? ちょっと閉じ込められた)
 暗い場所が怖くて泣き出した帝人に驚いて正臣がすぐに助けてくれたが次は目隠しをされて正臣の部屋で待つことになった。
(今の方が大分まし)
 理由が思い出せない。
 今回は――。
「元気にしてるか?」
 正臣がチャーハンを片手にやって来た。
 自分も食べるらしく二人前。
 帝人はさり気なく回線を抜いて隠す。
「正臣、ソリティアないよ」
「え? 消してたか。じゃあ、俺の杏里コレクションをスクリーンセーバーにしておくから、じっくり鑑賞会だな。拝め」
「何してるのっ!」
「ちゃんとケータイ用のも作って杏里本人にもあげたぞ。帝人はもう少し待ってろ」
「もう。……僕はいつまでここに居ればいいの?」
「まだだ」
「だから」
「外は危険だからな」
「電波な発言はいいから」
「いーから、チャーハン食べたら杏里の着ボイスを聞きながら寝ろ。ヘブンだぞ」
「えぇ!! ちょっ、正臣いつもそんなことしてるの?」
「ちゃんと杏里に俺が杏里を呼んでるのと帝人が杏里を呼んでるのを送ってるから」
「いや、いやいや。え? 勝手に僕の声使わないでよ! いつのだよ」
「ぐだぐだ煩いボーイはモテないぞ。広い心がないとナンパは成功しないっていつも言ってるだろ」
「園原さんの心の広さにはビックリだよ」
 呆れた顔でチャーハンを食べる帝人に「まぁ、待ってろって」と笑う。
 毒気のない正臣の顔に「ま、いっか」と帝人は時間が過ぎるのを待つことにした。