監禁?軟禁?優しさですよ。
そろそろ三日目。
インドア派なため帝人の中に退屈は芽生えない。
ただ食事はちょっと気になり出した。
(チャーハン、焼きそば、カップラーメン、チャーハン、焼きそば、焼きそば、焼きそば)
そろそろ焼きそばは嫌だ。
野菜も肉も入っていて美味しいのだが食べる前に気分がいっぱいになってしまう。
「せめて、塩焼きそばならよかったのかな」
連日オリジナルソース。
美味しい。美味しいのだが、そろそろもういい。
「今日は夕飯作る前に言わないと」
帝人は呟きながらパソコンを立ち上げる。
自分のものではないがいろいろとプログラムをダウンロードして帝人は快適な作業空間にしていた。
いつものチャットにも問題なく入っている。
【欲しいものですか?】
《そうです。太郎さん欲しいものありますー?》
[さっき、私も聞かれました]
《セットンさんは「新しいPDA」らしいです》
【うーん、急に言われても】
《私は「愛」ですねー。いつでもラブは大事ですよー☆ きゃっ》
【そういう系統でいくんですかw】
【じゃあ「自由」とかにしておきます】
【あ、別にそんな不自由とかじゃないんですけど】
[お疲れ?]
【ちょっと焼きそば以外を食べる自由が欲しいです】
[なんだ、そりゃwww]
内緒モード《帝人君、今どこに居るの?》
内緒モード【気にしないでください。ちょっと監禁されてるだけです】
内緒モード《……若者の間ではそういうプレイが流行ってるのかな?》
内緒モード【もう少しだって言ってたので大丈夫だと思いますよ】
内緒モード【学校も始まりますから……いつまでもってことはないはずです】
[甘楽さん?]
《いやー☆ 太郎さんの発言に戸惑っちゃいましたー》
【甘楽さんの「愛」に釣られちゃいました】
[私も「恋」とか言った方がよかったですねw]
【あ、そろそろ落ちますー】
[あれ、早いですね]
【ちょっと友達の家から繋いでるんで、すみません】
《お疲れさまでっす》
《好きな物食べられるといいですねー》
【ありがとうございますw】
[お疲れー]
――太郎さんが退室されました。
外の物音に帝人は「正臣ー」と声をかける。
パソコンはスリープして回線を抜いて隅に寄せる。
ガチャガチャと扉の鍵を開ける音。
「どうした? やっぱ淋しいか? ロンリーな気分で悲嘆にくれているのか?」
「いや、そんなことはないんだけどさ。ご飯」
「おぉ! 塩焼きそばだ」
「もう作った?」
「ここにある」
湯気の立った焼きそばに帝人は目がどんよりとする。
礼を言いながら口にいれて「やっぱりもう焼きそばはいいや」と言ってしまう。
「カレーか?」
「うん。カレーの方がいいな」
「帝人が昔、チャーハンばっかりは嫌だって言うから」
「気を遣って焼きそばだったの?」
「そうだぞ! 俺は断然ブタ派だがチキンな帝人に合わせて今日は鳥だったりする」
「変な気遣いはいらないよ」
「まったくわがままな子に育ったな」
「わがままかなー?」
そんな会話をしながら夕食は終わる。
ちなみに風呂は一緒に入浴。トイレは紐を持ちながらだ。
作品名:監禁?軟禁?優しさですよ。 作家名:浬@