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「本当は今日は渡すのはやめようと思ったんだ。まだつき合い始めてそんなに経ってねえし、未成年で学生だしな。でもやっぱりダメだ。もう我慢出来ねえ」
 それは独白のようだった。静雄が自分の鞄から小さな包みを取り出し帝人に差し出す。帝人が渡したものよりも小さいが包装からして品がよくて高そうだ。躊躇いながらも視線で促されて丁寧に解くと、黒いビロードの小箱が出てきた。
 まさか。だが一瞬頭に浮かんだ可能性に鼓動が跳ねて速度を速める。ドキドキしながら箱を開けると、中には薄く澄んだ青色の石がはめられた白銀の指輪。弾かれたように顔を上げると静雄が真剣な顔を向けていた。
「結婚してくれ、帝人」
「……僕、まだ16になったばかりですよ」
「両親にはちゃんと挨拶にいく。許してくれるまで何度だって頼みにいく。どうしてもだめなら、婚約だけでも許してもらう」
「まだつき合って、半年も経ってませんし」
「ああ。でも俺はずっと帝人だけが好きだ。他に一緒になりたい奴なんて出来ないし、お前を誰かに渡す気もない。言ったろ?本当はまだ我慢するつもりだったんだ。でもお前可愛いし、今のうちに俺のにしておかないと誰かに取られちまいそうで気が気じゃねえんだよ」
「僕は可愛くなんてないです。それにまだ子供で我が儘で、静雄さんは優しくてカッコ良い大人です。なのに僕なんかでいいんですか」
「なんかなんて言うな。俺にとったらお前は世界で一番可愛いんだよ。第一それを言ったら俺の方こそ帝人には本当は釣り合ってねえんだ。俺のこの性格や力のことを知ってもつき合ってくれる奴なんていねえよ。なのにお前は俺のせいで怪我したって俺から離れないどころか俺の怪我の方を気にして、俺を好きだって言ってくれて、我が儘なんて言ったこともないじゃねえか。そんなお前を離してやれない奴のどこが優しいもんか。俺はお前じゃなきゃ、竜ヶ峰帝人じゃなきゃだめなんだよ」
 淡々と言う帝人に静雄は一つ一つ真剣に返す。帝人も静雄をじっと見つめていたが、ふいにくしゃりと表情を崩した。だめだ。そんなつもりはなかったのに、泣きそうだ。これまで静雄は彼なりに帝人に気持ちを伝えてくれてはいた。だがこれほどまでにストレートに言ってくれたことはない。今まで帝人が内に秘めていた不安をすべて吹き飛ばす言葉だった。
「……僕だって、同じです。平和島静雄さんじゃなくちゃ、だめなんです」
 帝人の言葉に静雄が僅かに表情を緩めた。小箱を握る帝人の手をそっと包み込む。
「竜ヶ峰帝人さん、俺と、結婚してください」
「はい。はい、僕は、平和島静雄さんと、結婚します」
 暖かな力に包まれながら、小さな箱を握りしめて帝人はこぼれた涙を拭うこともせずに何度も頷いた。
 きっと今、自分たちは世界で一番幸せに違いない。帝人は確信していた。しかもこの幸せは今だけではない。これからもずっと続いていくのだ。
作品名:Happy Happy Happy! 作家名:如月陸