アテナの聖闘士
聖闘士。
それは全能なる神ゼウスの娘であり、全身に鎧をまとった姿で生まれた女神アテナの祝福を受けた戦士たちのことである。
彼らの多くは地上のあらゆる場所から集められた真の勇気と力を持った少年たちであり、武器を嫌うアテナを守るために己の肉体を武器とすることを誇りとした。鍛え抜かれたその拳は空を引き裂き、その蹴りは大地を割ったと云う。
聖闘士は戦いの神でありながら常に守る側であり続け、決して私欲で戦おうとはしないアテナのために神話の時代からその力を発揮し続けた。
凶暴で残忍なアレスとの戦い。巨人ギガースとの戦争。海神ポセイドンとの大地を賭けた争い・・・・・・。
今でもこの世に邪悪がはびこるとき必ずや現れるという希望の戦士。しかし、もはやギリシャ神話の中にもその名は存在しない幻の少年たち。
女神の聖闘士――
「セイヤとカシオス!!」
厳かで、それでいて遥か彼方まで届きそうな遠大さのある声に、今また二人の聖闘士候補の名が呼ばれた。