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こらぼでほすと 一撃1

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「ううん、カガリの言うのはわかるよ。ニールの側には、いつも誰かがいるもの。」

「たまには、カガリたちと遊んでおいで。同年代ばかりだと、俺と違って楽しいと思うから。」

「うん、そうする。おみやげ買ってくるね?」

 と、フェルトが言うので、ふと、自分のはぴばの時のことを思い出した。フェルトとティエリアとアレハレルヤの連名で花を贈ってくれた。

「おまえさんには、お礼を言わなきゃいけなかった。俺の誕生日に花をありがとう。嬉しかった。」

「よかった。」

「帰ってきたら、デートしような? 」

「うん。」

 手を繋いで、ウフフフフと笑っているフェルトの顔で、ニールも微笑む。ここに居る間ぐらい、組織のことは忘れて過ごして欲しいと思っている。

「ニールのほうが、ホストな台詞じゃないか?」

「バーカ、これは、おかんと娘の会話だ。」

「確かに、そうだな。なあ、カガリ、夫婦な会話が聞きたかったら、三蔵とママの会話を聞けば、違いが分かるぞ。」

「ああ、おまえんとこの親は、ほんと、夫婦らしいもんなあ。」

 カガリも、寺の夫婦に関しては疑いようがないぐらい夫婦らしいと思う。沙・猪家も、夫婦らしいと思うが、ここも、また味のある会話だ。自分の弟のところは、まだま゛新婚さんで甘いが、味はないな、とか、分析していたりする。

 で、ここで誤解を解けないのが、とても厄介だ、と、悟空は乾いた笑いで誤魔化す。夫婦らしいけど、どっちもノンケの自分のおとんとおかんは、そういう気がまるでないのだ。確かに、どっちも、一緒に暮らすのは楽しいらしいが、それだけだ。



・・・・・フェルトには誤解させておけばいいか・・・・・



 休暇の間は、誤解させておけばいいわけで、このままでいい。だが、悟空からしても、おとんとおかんにしか見えないのだから、もう、そのまんまでいいかもしんない、とは、考える。どっちもノンケだから、そういうのがないけど、精神的には、そうじゃない? とは、思ってしまう。

「私もニールのような嫁が欲しい。」

「カガリ、それ、無理じゃね? おまえが嫁だろ? 」

「主夫してくれればいいんだから、嫁でいいんじゃないか? あんな世話焼きの美人、他にいないかなあ。だいたい、なんで、私の周りの嫁に向きそうな美人は、他人の嫁なんだ? それも、全員がオシドリ夫婦だ。」

 確かに、夫婦認定されている嫁の人は、みな、美人で、男前で亭主と仲が良い。マリューやアイシャしかり、八戒もニールも、そうだ。例外というか溺愛過ぎて、下僕と女王様なアスランはいるが、あれも、新婚夫婦故と言えばそうだ。

「・・・・あー・・・・・がんばれ。ファイト、カガリ。」

「おう、良い嫁ゲットだ。」

 いや、おまえが嫁で、亭主をゲットだろ? と、ツッコミするが、カガリは聞いてない。歌姫もカガリも、周辺に良い男は多いのに、なぜか、範疇外になっているのが、おかしい。悟空は、うーんと考えて立ち止まった。あいつら相手なんて宇宙にいるのか? と、ちと疑問に感じたからだ。空は高くて真っ青で、気持ちが良い。

「悟空、重かったら少し空けるぞ? こっちに移せ。」

 途中で立ち止まっていたら、ニールが引き返してきた。自分の袋に、チューハイの缶を移している。

「ああ、いいよ、いいよ、ママ。」

「まあ、非力ながら協力はするぜ? おい、カガリ、おまえんとこにも、ちょっと移せ。フェルト、二本だけな? 」

 悟空の持っていた袋から、いくつか移して分散させてくれた。これく゜らい、悟空には、なんともないのだが、その気遣いは嬉しい。

「今日の晩メシ、なに? 」

「キムチチャーハンとビビンバと韓国風冷麺がメイン、他に蒸し鳥とかいろいろ。おまえさんには、しょうが焼きもあるぞ。デザートに、フルーツのゼリー。」

「新作だ。うわぁーい。」

「あんなもんだと思うんだけど、味のほうは評価よろしくな? ビビンバは、市販のを使ったんでさ。」

「おう、まかせて。」

 どんどんレパートリーが増えてくる。それを一番食べているのが、悟空だ。坊主が洋食はダメなんていうから、ニールのレパートリーは、主にアジア圏のものばかりだ。リクエストすれば、応えてくれるのも嬉しいから、ついついお願いしてしまった結果だ。

「休みは手抜きしなよ? ママ」

「そうするよ。大人ばかりだと、量もいらないし作り甲斐がないからさ。」

「ニール、三蔵さんとデートしたら? 」

「そうだな。一回くらい外食してもいいかな。」

「ゴールデンウィークで混んでるから、どこか予約してやろうか? ニール。」

「いらねぇーよ。おまえさんが予約するとこなんて高過ぎて、ビビるぞ。」

「もう、この貧乏性のおかんは・・・・私が奢ってやるから、たまには着飾ってデートしろ。」

「んなことするぐらいなら、家でお茶漬けするほうがマシだ。カガリ、絶対にやんなよ。拳骨食らわせるぞ。」

 どこをどう見ても子沢山な家の家族にしか見えない。わいわいと騒ぎつつ、公園を横切って寺へと帰った。


作品名:こらぼでほすと 一撃1 作家名:篠義