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それはまるで木漏れ日のように

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 その後、松田ベーカリーで李健良誕生日会は盛大に開かれた。

 松田ベーカリーに入った瞬間、全員から体中の傷に対する質問攻めがあったが健良は笑顔でスルー。

 誕生日会の中で何故か啓人が健良への手紙を皆の前で読むことになり、
読む途中で啓人が感極まって涙ぐむというわけの分からないハプニングもあったが、
このケーキとパンばかりの誕生日会は全員にとって有意義なものになった。


 そして、皆が思い思いの相手と思い思いの話をしてくつろいでいる時・・・

「・・・ジェン、何やってんの?」
「ちょっと待って・・・・・・・・・よし、できたっ。」

 わけもわからず眉間に皺を寄せる留姫に
健良はバラバラになった硝子を全てボンドで貼り付けたグラスを見せた。

「こ、これ・・・!」
「なかなか楽しかったよ、この作業。」
「・・・こんな面倒なことするくらいなら捨てちゃえば良かったのに」
「これは僕が貰うって言ったでしょ?
 僕の所有物なんだからこれをどうしようと僕の勝手じゃないか」
「な、何よそれ・・・」

 留姫は照れ隠しのつもりか、ぷいとそっぽを向いた。

「・・・でも・・・見て、ルキ。」
「何よ」

 健良は直したばかりのグラスを日光が漏れる窓の方に向け、高く光にかざした。
 そのほんのり緑色が入ったグラスは、多数のヒビや割れ目に光が何度も反射してキラキラと輝いている。

「・・・綺麗・・・」
「でしょ?一度割れたおかげであちこちに反射して、割れる前より輝きが増している。
 ・・・壊れたって直せば良い。どんなものも一度壊れたほうが輝くんだ。
 グラスだけじゃない。僕はルキにこの輝きを貰ったから。」
「・・・ジェン・・・」

 健良は嬉しそうにグラスを様々な角度からみて、光の反射を楽しんでいる。
 その無邪気な笑顔に留姫は見とれてしまっていた。

「(ジェンも・・・こんな子どもっぽい顔するんだ・・・
そうだよね、ジェンだってアタシ達と同い年なんだもん。子供に決まってる。)」

 留姫は一人、ふふっと笑う。
 そして・・・軽く息を吸い込んだ。

「ねぇ、ジェン・・・」
「何?」








「誕生日、おめでとう」
























 ボンドで張り合わせた緑色のグラスの隙間から明るい光が注いでいた。





 ――それはまるで木漏れ日のように…