From birthdays To Valentine!!
2月14日 「†連合バレンタイン†」
すごく嫌な予感がする。
そう、例えるなら…イヴァンに呪われるとか、フランシスに結婚迫られたりしたときのアレだ。
「変な妖気感じるある」
横で大きな花束を四つ抱えた耀がブルっと身震いした。
「アーサー、おめーが開けるよろし」
「…うん、わかった」
会議室の扉をゆっくりと開ける。
「はっぴーばれんたいーーん!!!」
パーンとクラッカーの音が鳴り、紙吹雪が舞った。
「ぅおい!! アル! 何やってんだ!!」
「バレンタインだよ」
「美国ではこんな派手にやるあるか…」
「別にそういうワケじゃないけどオレ、派手なの好きだし!!」
部屋を見渡すとピンクやら、赤やらのイルミネーションがそこら中に飾り付けてある。
「3日前から、ずーっとやってたんだぞ☆」
「労力をそこに使う辺りがアルフレッドらしいある…」
「うわー…ずいぶん、派手にしたねー…」
「お兄さんの好みではないな」
イヴァンとフランシスが入ってきた。
「あれぇ? イヴァンは何も持ってきてないのかい?」
ほぼ手ぶらのイヴァン、どうしたのだろうか?
「うん、ロシアにはバレンタインって文化そんなにないんだー♪ でも大丈夫だよ!
シベリア行きのチケット二枚あるから…」
「HAHAHAHAHAHAHA!!! イヴァン!
二枚じゃ全員行けないじゃないかー☆」
「えー、僕はアルフレッドくんとアーサーくんで行ってもらおうと思ったんだけど…」
「アーサーとなんて地獄じゃないか! ここは5人で行くべきだよー!」
「そこ2人でランデブーすればいいと思うよ?
菊くんだって喜ぶんじゃないかな? 『アルアサ萌え!!』とか言って」
「…菊のあの趣味だけは理解できねぇある」
はぁ…とため息をつき、赤い薔薇の花束をイヴァンに渡す耀。
「別にお前のためじゃねーあるからな」
うつむき加減に言い、プイっと横を向く。
「あと、これがフランシス、アルフレッドへ」
「Wow! 耀、サンキュー!!」
「やっぱ、お兄さんには薔薇が似合うよね…Merci!!」
「あの…耀さん?」
「はぁ? 何あるか?」
「オレの…は?」
「ないある」
グサっと棘が心に刺さった。しかも、思いっきり。
「ちょ、耀!! それじゃ、残り1つは!?」
「マシューにあげるつもりだったあるが…今日はいないみてーあるし」
「僕はここにいますよ~」
「アーサー…ドンマイなんだぞ」
「よし、お兄さんがおいしいゴハンをあげよう」
「シベリア1人で行ってきたらどうかな?」
もしかして、オレって嫌われてる?
いや、そんなはずはない…菊は…オレの味方のはず…
――ツンデレGJです、アーサーさん、萌。
…違う気がする。
でも、菊は(ある意味)味方だ、きっと。
「オレからはお菓子なんだぞ! 好きなの取っていってくれ!!」
「あいやぁ…んじゃ我、チョコもらうある」
「よく、食えるな…そういう色のお菓子」
「うまけりゃいいあるよ」
他にオレの味方…あ、ピーターがいるじゃねーか。
――アーサーの野郎! 独立認めるですよ!!
「独立なんて認めねぇええええ!!!!!」
「「「うるさい(ある)」」」
一発で一刀両断された。
「オレは愛と美の国だからな、ちょっと豪華だよ」
「うわぁ! フランシスくん、凄い! 宝石なんて太っ腹だねぇ!!」
「気に入ったんなら、どーぞ❤」
「我、このぬいぐるみもらっていいあるか?」
「オレは服でももらうんだぞ!!」
「アーサーは?」
1人悲しく泣いていたところに声をかけられる…
「アーサーはどれがいいの?」
なんだかんだ言って優しいアイツ。
オレは涙を拭き、精一杯の笑顔で答えた。
「お前が死んでくれるならそれでいい☆」
「ひどい!! お兄さん泣いちゃう!!」
ヘッ、泣いてやがる。ザマぁwww
「って言うか、アーサーは何持って来たんだい?」
「あぁ…うん、手作りチュロス&スコーンだ」
「「「…」」」
オレ以外の全員が黙りこくった。
「え? 何?」
「「「それはいらない」」」
やっぱオレって…?
か、考えないことにしておこう…うん。
――――End
作品名:From birthdays To Valentine!! 作家名:狼華