From birthdays To Valentine!!
2月13日 「食えない料理と食えない態度」
「それじゃ、明日、連合会議で」
「好! 再見!!」
泊りがけで来ていた耀を空港で見送る。
アイツも大分丸くなったよなぁ…と感慨に浸っていると、
「ゴラぁ!! 眉毛ぇ!!」
時間が経っても全く丸くならないバカが来た。
「昨日は良くも断ってくれたなぁ…!」
「しょうがないだろ、明日のバレンタインの準備を耀とやってたんだ」
「二人っきりで料理デートですかぁ…?
死ねや、この鬼畜眉毛ぇぇええ!!!」
カバンの中からトマト(何故、持っている)を取り出し、投げつけようとするアントーニョ。
「ちょ、やめろ! ここは空港だっ! とりあえず、オレん家行こう!!」
「ロヴィーノぉぉぉ…フェリちゃんんんんん…」
ダイニングテーブルに突っ伏し、泣いてやがる。
「オレが断った後、そんなことがあったとは…」
紅茶をいれてやり、差し出す。
「オレ、紅茶、あんま好きちゃう。インスタントコーヒーがいい」
(カチン)
「だぁああああ!!?? コーヒーなんて邪道だ、ゴラぁ!!
しかも、インスタントなんて置いてるわけねぇだろ! こんのトマト野郎がっ!!」
「オレ、コーヒー派やし!!」
「オレん家には紅茶しかない!! オレは紅茶が好きだ!!
アルに海に捨てられようが、オレは紅茶を愛してる!!」
「お前、まだあのメタボのこと引きずってんの? ププーww」
「殺すぞ、テメー!!」
ケンカが始まりそうになったので、一度深呼吸する。
落ち着け、オレ…
「大英帝国大英帝国大英帝国…」
「過去の産物ww」
「お前にだけは言われたくねぇよ!!」
コイツといると、いつもこんな調子だなってしまう。
こういう態度は紳士らしくない。オレは英国紳士なんだ。
とりあえず茶菓子でも喰わせて、場を和ませよう。
「オレ、ちょっとスコーン持ってくる」
「…化学兵器食わせる気か」
「兵器じゃねーし! 今回は耀に教えてもらったんだ!」
「へぇ…それじゃ、ちょっと期待するわ」
戸棚を開け、スコーンを取り出しアントーニョの前に置く。
「どうだ! オレはうまく出来たと思うぞ」
「モザイク必要やん、コレ」
「あぁ!?」
突然、ケータイをいじり電話をかける相手。
「…あっ。耀、久しぶり!! いきなりで悪いんやけど…昨日、眉毛に教えたっていうスコーンのことさぁ…」
「連絡とるのかよ! 最低だな、オイ!!」
「…うん、分かったわ、ありがとーなー!」
(ピッ!)
「耀がな、
『教えてやったあるが…アイツの料理はどうしようもなかったあるよ』…やって☆」
キラキラしたドヤ顔で見てきやがる。
「…ハハ…しょ、所詮、オレに料理の才能なんてねぇんだよ…ヘッ…
別に泣いてなんかないんだかんな…」
あれぇ? 目の前がよく見えない…
「んー……しゃーないな。オレが教えるわ」
「へ?」
「耀に聞いたら明日、
どうしてもお菓子が必要だから何とかして基本を押さえてやってくれやて。
だから、一から十まで手とり足とり教えたろかなぁ…」
「アントーニョ…」
太陽みたいな笑顔。
それが一瞬にしてシベリアの冬みたいに冷めた。
「嘘やし」
「…え」
「オレが眉毛にそんなんしたるワケないやろ、勘違いすんな。
手とり足とりとか…キッモ。
オレ、耀とかフランシスみたいに優しくないし」
見下すような冷たい眼。
うわ、ホントに涙出てきた。
それを見たアントーニョが若干、複雑な表情を浮かべた。
「…でも、まぁ…チュロスの作り方ぐらいは教えたる。
耀の頼みやし、
お前とメタボは死んでもいいけど、フランシスとかがお前の料理で死んだら困るし」
その後、二人でギャーギャー言いながらキッチンで料理の特訓をした。
明日はバレンタイン。
今年はアントーニョにも何かあげてやろうかな?
作品名:From birthdays To Valentine!! 作家名:狼華