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野沢 菜葉
野沢 菜葉
novelistID. 23587
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きらきら星 【中編】

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15
…気まずい。
それが今朝1番に思ったこと。
前みたいに、お互いが避けているのならともかく、水谷はオレのことをすごく気にしているのがわかる。
だけどオレは、いまさら水谷に弁解されたくない。
彼女と合わせてオレを見てしまい魔がさしました。とか言われた暁には、殴ってやるだけでは飽き足らず、
泣きわめいてしまうだろう。そんな姿さらすのはマジ勘弁してほしい。

結論から言うと、やっぱりまだ水谷が好きなのだ。
昨日のことも許すから、いつも通りにそばにおいてほしい。
だから昨日のオレの傷には触れないで…一緒にいたいから。

オレの願いはただそれだけ。



朝連が終わって、急いで着替える。
今日はなんと職員会議とモモカンの用事が重なり、放課後練習は休みだ。
つまりこの場を離れてしまえば、今日水谷に会わないで済む。
「巣山!オレ先に行ってる!!」
「おっおう。随分早いな。」

部室のドアを閉めると、どっと疲れを感じた。
こんなに緊張してたのか…
「栄口!」
歩きだそうとすると、今までの苦労を泡にするように、水谷に引きとめられた。
「昨日はごめん!許してなんて言わないけど、1つだけ聞いて欲しいことがある。」
珍しくとても真剣な顔で言うので、足を止めてしまっていたけれど、理由は聞きたくない。
オレは踵を返して走り出した。
「今日の放課後部室で待ってるから!!ずっと!!」
水谷が叫ぶ声が聞こえた。








放課後、思いもしない人から声をかけられた。
『栄口くん…ちょっと話聞いてもらっていいかな?』
坂井さんはそう言うと、裏庭にオレを連れ出した。
はっきりいって、今の状態で坂井さんと話すのは嫌だったが、
あまりにも真剣な表情にそういうこともできない。

嫌なのに断りも出来ず笑顔で返す自分は、なんて性格が悪いんだろう。

「どうしたの?水谷と何かあったの?」
そういうと、大きく開いた目から涙がこぼれた。
まさか、悪い意味で何かあったとは思わなかったため、思わず慌ててしまう。

坂井さんは涙を拭きながら一生懸命話してくれた。











『じゃあ私行くね。話聞いてくれてありがとう。』
坂井さんの小さな背中を見つめながら、オレは悶々と考え込んでいた。
そして、自然と部室へと歩き出した。


(…私ふみきくんと別れたの。)
歩きながら坂井さんの言ったことを思い返す。


(…私が振られたの。嫌いじゃないけど、もう付き合えないって。)
キスまでしたのに、何で別れる必要があるんだ?
なんで水谷が振るんだ?

(考え直してって言ったんだけど、もうダメみたい。)
別れを決めた相手とオレを重ねて、キスする必要はどこにある?

…わからない。

オレは、さっきま絶対に聞きたくないキスの理由に興味を持ち始めた。
また傷つくかもしれない。だけど、それ以上に聞いてみたいんだ。

オレは1回息を大きく吸うと、部室のドアをゆっくりと開けた。