こらぼでほすと 一撃3
いつも問題になるのが、実働部隊の戦術予報士のアルコールだ。未成年には買えない代
物だし、好みもよからなくて、ニールが準備するしかないし、これが生半可の量でもない
。
「・・・・・降りてるから、自分で。」
「ああ、そうなのか。フェルトは、お菓子でも持って帰るか? 」
「それは、ラクスとカガリが用意してくれた。うちの食料も、コンテナで搬送してくれる
って・・カガリが言ってた。」
「なんだ、カガリのやつ、CBにまで差し入れしてくれんのか。」
「うん。」
なら、これといって買い物はないなあーと、ニールは食事を再開する。内心ドキドキと
していた桃色子猫は、ほっとして味噌汁に手を出す。実は、戦術予報士は組織を抜けてし
まった。今は、その代わりも探さなければならないのだが、いかんせん、まだまだ、そこ
までの余力がない。絶対に、ニールに組織のことは話すな、と、ティエリアにきつく言わ
れている。心配をかけるようなことは禁止だ。そうでないと、心配して寝込むからだ。そ
れは、ラクスとカガリからも注意された。動けないから知ってしまうと、不安になって余
計なことばかり考えてしまうので、できるだけ言わないで欲しい、と、お願いされた。
ごくっと味噌汁を飲んで、ふうっと肩の力を抜く。どうも、嘘をつくのは慣れなくて緊
張する。
「マヨネーズがないぞ。」
「どこにかけるつもりです? 」
「メシだ。」
マヨラーの坊主は、〆に、そんなものを食べるので、はいはい、と、女房が冷蔵庫に走
る。最初は、ドン引きしたが慣れてしまえば気にならない。
「大丈夫だ。バレちゃいねぇーよ。」
こそっとフェルトにだけ届く声で、坊主は囁いて、素知らぬ顔でお茶を飲んでいる。
「うん。」
「こっちのことは心配するな。あれは、こっちで、生かしておいてやる。」
「うん。」
「せいぜい甘えてやれ。あれは、おまえが帰ってきて嬉しくて仕方がないんだ。」
「うん。」
そこまでで会話は途切れた。マヨネーズを手にしたニールが戻って来たからだ。それを
受け取ると、むにょーと白ゴハンの上に搾っていく。
「おいしいの? さんぞーさん。」
「味見してみるか? 」
ほれ、と、三蔵がフェルトのゴハンにも、ちょこっと、それを搾ってくれる。あむっと
フェルトは口にしたが、それほどおいしいという感じではない。
「すっぱいドリア? 」
「そうか? どうも味覚が違うらしいな。」
「いや、それ、あんただけですよ。悟空だって、しないんだから。」
ニールも試してみたが、おいしいとは思えない代物だった。それならノリ玉ふりかけの
ほうが、何倍もおいしいと思う。
「ニールが、あたしのママなら、さんぞーさんはパパだよね? 」
また、爆弾発言だが、これには、寺の夫婦は、にっこり笑って、「ああ。」 と、同時
に頷いた。
作品名:こらぼでほすと 一撃3 作家名:篠義