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風の想い

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「セイラさんから手紙ですか?」
「私宛に来たんですが。中身は拝見させていただきました。」
「それはかまいませんが。」受け取りながら首をひねる。心当たりはない。なんだろう。
「僭越ですがお母様から連絡を取りたいと。」
手紙を読むと確かにそう書いてある。母に連絡となると心当たりはあれしかない。うーん。困ったな。のこのこ行く訳にいかないし。第一出してもらえないだろ。どうしよう。眉間に皺がよる。
「宜しければお話ください。でないと総帥に言わざるをえませんが。」
「話すんですか?」
「余計なかんぐりされたくなければ話すのが一番です。」まあ。確かに。
「余程じゃなければ連絡とりたいなんて言わないでしょう。手紙の半分は総帥の悪口なんですから。」はは…。
「あの…。お母様の具合が悪いとか?」
「いえ。たとえそうでも母は会いたいとは言って来ないと思います。会いたいといってるのは母ではなく…。」
会いたいと言って来るとは思わなかったんだけど。あんなに弱っていたし怯えてたから。
口をつぐんで考え込んでるとじっと待ってる。石になるまで待つ気かな…。
「子供です。」
「子供と言いますと?」
「おれの分身。」
「クローン…。」
「母が面倒見てくれてます。」
「よくそんなところに。」
「母は孫だと思ってますので。」
「そうですか。」
「簡単に会いに行けないし会っていいものかどうか。」
第一嫌われてるしなあ。それなのに会いたいといってるのか…。余程弱ってると言うか時間の問題なんだろう。よくもった。
「幾つぐらいなんですか?」
「今十歳ぐらいのはずです。」促成クローンだからそんなにもたない。その辺のことを考えると反射的に吐き気がする。自然顔が険しくなるだけじゃなく頭が痛くなってきた。
「大丈夫ですか?」
「ちょっと不味いです…。」とりあえず薬を飲む。そのうち血管切れるんじゃなかろうか…。
「そんなに会いたくないんですか?」
「気は進みません。どちらかと言うと母に会いたくないんですが…。あの子に会ってもどうしたらいいのか…。」
「子供の相手は慣れているようですのに。」
「おれ嫌われてるんです。怯えられてて。母には情けないと言われてるし。」
「それならどうして預けたりしたんです?」やや呆れ気味に言われる。
「他の人に頼む予定だったんですが珍しく会いに来てその上どう言う訳か子供が懐いたんです。ミライさんが様子を見てくれるというので諦めて預けることにしたんですが…。」
「行きたくないんですか?そう言う訳にはいきませんでしょう。」
「そうですね。」見取らない訳にいかないか…。
「では頑張って総帥を説得してください。私はスケジュールの調整に入ります。」
「…気が進まないです。」
「大丈夫ですよ。お母さんに会えるとか10歳のクローンに会えるとか言うと絶対一緒に行くといいます。」
うわー…。頭痛が酷くなってきた。違う意味で頭が痛い…。どうなることやら…。
                   
                   ◆◇◆

母親は苦手だ。ずっと離れてた所為もあるが正論しか言わないから。人殺しが悪いとか結婚しないで子供がいるとか子供の母親が居無いとか文句言いたくなるのは無理ないが言い返そうものなら感情的に言い募る。自分の思い描いた通りにならないものはいらないんじゃないかと思える。二言目には子供の頃は素直で聞き訳が良い子だったと来る。そんな昔の事言われてもなあ。あんまり覚えてないぞ。あー気が重い…。
目の前にカップを置かれる。
「ありがとう。」
「眉間に皺がよっているぞ。」とつつく。
「そんなに嫌なのか?親に会うのが。」
「苦手なんだ。」
「どんな方だ?」
「あなたのことだから調べてるんだろ。普通のおばさんだよ。」だから苦手なんじゃないか。
一般の人と軍人じゃ状況認識が違いすぎる。見たいものしかみないのは誰も同じだ。
頬にふれながら「もう直ぐ着くのにそんな不機嫌なままでいる気か?」
「付いてこなくて良かったんだよ。」
「私は休暇だ。」よく言う…。
「何時までかかるかわからないんだからさっさと帰れよ。」
「予定通りにか?」
「そうだよ。」
「それはきみ次第だ。」
「わかってる…。」問題は会ってみないとわからないということなんだよな。母はともかくあの子は会って直ぐに怯えられたし目も合わせなかった。直ぐ入院させなきゃいけなかったし。
ピシッと頬を指ではじかれる。
「いたぃ…。」
「ボケてないで飲みなさい。もう見えてきたぞ。」と言われてあわてて飲み干しベルトを締める。

空港に着くと迎えの車が用意されていて病院に着くとセイラさんが迎えてくれる。
「すみません。ご面倒おかけして。母は?」
「病室よ。小児病棟の個室。ここを真直ぐ行って右。」
「どんな様子なんですか?」
「ほとんど意識が無いわ。内臓全般機能が衰えているの。」
「そうですか…。」
「行ってあげて。兄さんは話があります。」引き止めてもらってる間に病室に向う。

                   ◆◇◆

名札にA・Rと書かれてる部屋の扉をノックしたが答えが無い。
静かに開けてみると子供は体に色々機器を着けて横たわり母は枕元で寝ている。そっと近づいて見ると母の顔に影がさしてる。やつれたな。
子供の方を見ると呼吸器と点滴をつけて身動き一つしない人形のようだ。大きくなった。
最初に見たときと同じ姿。あの時は触れるとすぐ目を覚まして部屋の隅に逃げられたんだよな。他の人が触れてもそんなに怯えなかったのに嫌われたものだ。今は憎まれているんだろうか。無理も無い話しだ。
意識は戻りそうも無いか…。髪に触れるとびりっと静電気が走ったような…?もしかしてそんなに嫌われてるんだろうか…。へこむ。
とは言え折角なので続けて髪を撫で何から手伝っていいものやら考えていた。洗濯物は見当たらないし食事も出来る状況じゃ無さそうだとなると母の話を聞くことぐらいか…。
でももう少し寝させておこう。愚痴を聞くには体力がいる。とか思ってると目を覚ますもんだよな…。目を細めてみてるなと思ったら
「誰かと思ったら…。来たの?」
「呼んでるって言われたんだけど。」
「当てにならない人を呼ばないわよ。」…誰か気を利かせたんだな。
「折角来たんだから暫く居るよ。おれが見てるから横になれば?」
「いいわよ。」
「酷い顔してるよ。」
睨んだと思ったら溜息ついて無言でソファの方に行って横になり直ぐ熟睡した。毛布を探して上にかける。珍しい。かなりまいってるな。だから呼ばれたのか。
でもおれの言う事は余計聞かないんじゃないかなあ…とは思うが。母は精神的にも体力的にも疲れきってるようだ。無理もないか。

枕元で椅子に座りながら汗もかかない顔を見てると音も立てずにドアを開けて入ってくる。そのまま側に来て子供の顔を見てる。
「名前は?」
「アムロ。」
「手抜きだな…。」
「ちゃんと籍も入れてある。母の養子だけど。」
おれの籍に入れても良かったんだけどブライトに止められた。
「お説教されてたんじゃなかったのか?」
「話し合いだ。」
「そう?」そっと手を伸ばし髪に触れれる。
作品名:風の想い 作家名:ぼの