こらぼでほすと 一撃5
大明神様聖誕祭当日の午後一番に、歌姫様が、大明神様のマンションまで遠征してきて
、「おめでとう」 と「ありがとう」 を、二番目に告げて頬にキスした。些か睡眠不足
な大明神様は、歌姫様からのお祝いの言葉に、ほにゃりと笑って、お礼のキスを頬に返す
。
「さあ、参りましょうか? 」
「今年は、何だっけ? ラクス。」
うなうなとベッドに懐いているキラを、ラクスが引き摺り出す。毎年、キラの誕生日に
お祝いと称して歌姫様がお世話をする。キラが、お祝いに欲しいとねだるのは、「歌姫と
の一日」 だ。ある意味、宇宙一有名な歌姫様を、一日、自由にできるのだから、そのレ
ンタル費用は、単純に考えて凄まじい数字ではあるから、最高の贈り物といえば、そうか
もしれない。だが、キラの使い方は、至って普通だ。
「まずは、スパでキラをピカピカに磨きます。」
「もうちょっと、のべのべしようよー。」
「では、水中浮遊などいかがですか? とっても気持ち良いそうですよ。それが終わった
ら、アフタヌーンティーを、ご用意いたします。」
「うーもう一声。」
「チョコパフェまたはフルーツサンデーまたはマンゴープリンでは? 」
「いくー」
おいしいお菓子とか果物で、キラはようやく覚醒する。うにうにと起き上がると、ラク
スがパジャマを着替えさせて外出着にする。もちろん、事前にアスランが風呂に入れて、
キラの身体はきれいにしてある。
「では、アスラン。」
「ああ、よろしく。」
まいりましょう、と、手を引いて歌姫様は、お出かけだ。一日、歌姫と、のんびりする
のが目的であるから、別に慌てることもない。本当に、一日ずっと一緒にいるだけで、こ
れといって特別なことはない。キラは、それでいいと思っている。だって、忙しい歌姫と
一日一緒というのは貴重だからだ。歌姫のほうも、それで満足だ。今日は、一日、キラと
べったりして夜はお持ち帰りだ。一番は譲ったのだから、これぐらいは妥当だと考えてい
る。
午後から、準備のために、「吉祥富貴」は、大忙しだ。午前中から始まった改装で、す
っかり中華風に店は様変わりしている。柱部分に紅色の布を巻きつけ、中華風のランタン
を吊るしたり、門神の絵を飾ったりする。調度品も、象嵌の入った机や椅子に変えてしま
うほどの念の入用だ。
「あ、いいこと、思い付きましたよ、悟浄。」
改装の監督をしつつ八戒が手をポンッと叩いた。
「なんだ? 」
「今週は、チャイナフェアということにすれば、カクテルも限定できませんか? 中国酒
オンリーで作るカクテルってことなら、あなたと爾燕で、適当にすればいいじゃありませ
んか。」
「そうか。元に戻すのを土曜日まで引き延ばせば、そういうフェアってことで乗り切れる
な。いいんじゃね? 」
「じゃあ、撤去を土曜日に変更してもらいます。」
急遽、そんな風に変更も交えつつ、準備は進んでいく。立食パーティーなので、ソファ
などは、隅においやり、ホールは広くした。流れるBGMも、二階の廊下部分に本格的な
楽団を配置し中華風の音楽を奏でる。お客様は、夜七時以降だが、身内は、適当にやって
くる。すでに、アイシャは来ていて、準備の手伝いをしてくれている。
六時には、準備も終わり、スタッフも着替えてホールに集合した。まずは、身内だけで
乾杯だ。
キラとラクスが、静々と現れると、拍手が起こる。満州服の皇帝服のキラと皇后服のラ
クスは、ちょうど釣り合いが取れていて、見目麗しい。ふたりの服は、黄色が基調になっ
ていて、真ん中にキラのは王と金で大きく刺繍され、その王の文字に金色の龍が絡み付き
、こちらを睨んでいる豪華なものだ。ラクスのは、王の部分に文字がないが、こちらにも
金色の龍がデザインされている。頭には、玉のついた帽子を、ふたりして被り、完全に清
朝の衣装を再現させてある。
「派手だなあ。」
「でも、実際、ああいうものだったらしいぞ。王の文字は余計だが。」
生成りの漢服に青いシルクのベストというハイネと、若草色の基調に鶴の刺繍の漢服を
着た鷹が、ふたりして、白檀の扇子をひらひらさせている。
「アスラン、それ、冗談じゃなく美人だろ? おまえ、何を狙ったんだ? 」
「いや、何って言われても・・・・俺は、指定された服を着ているだけですよ、虎さん。
」
藍色に白い鳥をビーズで描かれているチャイナ服を着ているアスランは、きっちりとつ
けまつげまでつけて化粧されていて、怖ろしく似合っていたりする。こんな人いるよねー
? というぐらいの勢いだ。髪留めも白鳥で、しゃらしゃらと垂れている飾りが音を立て
る。アイシャが、これと対になる緑のチャイナ姿だ。もちろん、アイシャの髪飾りも白鳥
で、同じ様に音がする。で、並ぶと、ちと、アスランま肩幅があるなーぐらいで、別にお
かしくはない。モデルと言われても頷かれそうだ。
「俺、おかしくないか? シン。」
「大丈夫だ、レイ。アスランより美人だぜ? 」
レイは、漢服の女物で、直垂までつけて、胸も膨らませてある。髪は結い上げられて、
豪華な真珠の飾りがある。どこをどう見ても、普通に美人だ。そして、恥ずかしそうに伏
せ目にしているので、さらにうなじの辺りが見えて、色気がある。
「俺、こういう長いのって、あんま着ないなあ。」
「孫にも衣装って言うだろ? サル。」
「うるせぇーよ、エロカッパ。」
悟空は、モロ孫悟空という格好ではなくて、逆に漢服のグレイの礼装だ。腰に束帯をつ
けて、そこに宝石が散りばめられている。悟浄も、同様の漢服で、こちらは帯剣して、そ
の剣の柄が龍の細工だ。
ちなみに、坊主は、真っ黒の長包に足元付近に朱色の糸で唐獅子が刺繍されている。ど
っからどうみても、マフィアだ。
「とりあえず、乾杯いくか? 」
鷹の音頭で、全員がフルートグラスを手にする。スタッフだけで、まずはお祝いという
のが、基本だ。
「オーナー、お祝いの音頭を。」
「では、僭越ながら、私くしが。キラ、お誕生日おめでとうございます。生まれてきてく
ださってありがとう。これからも、一緒に歳を重ねて行きましょう。」
カチンと、キラのフルートグラスと、ラクスのグラスが音を立てると、全員が、「おめ
でとう。」 と、大合唱だ。それを飲み干して、パチパチと拍手すると、アスランが予約
帳を片手に、ミーティングを開始する。その間に、デリバリーのスタッフと爾燕と紅が、
料理の配膳を始める。紅は、自前の礼服で、そうすると、やっぱり王子様らしい。爾燕の
ほうは動き易い漢服の短い上着に、長いスカート上のパンツを履いている。
「お客様の時間は、今日は決まっていないんで、ブッキングした場合は、すかさず、誰か
ヘルプを呼んでくれ。イザークとディアッカもヘルプに入ってくれるか? 」
歌姫様の護衛で、現在は店を休職しているイザークとディアッカも、今夜はやってきて
いる。ほぼオールスタッフが揃っているから、接遇は、どうにか回せるはずだ。
、「おめでとう」 と「ありがとう」 を、二番目に告げて頬にキスした。些か睡眠不足
な大明神様は、歌姫様からのお祝いの言葉に、ほにゃりと笑って、お礼のキスを頬に返す
。
「さあ、参りましょうか? 」
「今年は、何だっけ? ラクス。」
うなうなとベッドに懐いているキラを、ラクスが引き摺り出す。毎年、キラの誕生日に
お祝いと称して歌姫様がお世話をする。キラが、お祝いに欲しいとねだるのは、「歌姫と
の一日」 だ。ある意味、宇宙一有名な歌姫様を、一日、自由にできるのだから、そのレ
ンタル費用は、単純に考えて凄まじい数字ではあるから、最高の贈り物といえば、そうか
もしれない。だが、キラの使い方は、至って普通だ。
「まずは、スパでキラをピカピカに磨きます。」
「もうちょっと、のべのべしようよー。」
「では、水中浮遊などいかがですか? とっても気持ち良いそうですよ。それが終わった
ら、アフタヌーンティーを、ご用意いたします。」
「うーもう一声。」
「チョコパフェまたはフルーツサンデーまたはマンゴープリンでは? 」
「いくー」
おいしいお菓子とか果物で、キラはようやく覚醒する。うにうにと起き上がると、ラク
スがパジャマを着替えさせて外出着にする。もちろん、事前にアスランが風呂に入れて、
キラの身体はきれいにしてある。
「では、アスラン。」
「ああ、よろしく。」
まいりましょう、と、手を引いて歌姫様は、お出かけだ。一日、歌姫と、のんびりする
のが目的であるから、別に慌てることもない。本当に、一日ずっと一緒にいるだけで、こ
れといって特別なことはない。キラは、それでいいと思っている。だって、忙しい歌姫と
一日一緒というのは貴重だからだ。歌姫のほうも、それで満足だ。今日は、一日、キラと
べったりして夜はお持ち帰りだ。一番は譲ったのだから、これぐらいは妥当だと考えてい
る。
午後から、準備のために、「吉祥富貴」は、大忙しだ。午前中から始まった改装で、す
っかり中華風に店は様変わりしている。柱部分に紅色の布を巻きつけ、中華風のランタン
を吊るしたり、門神の絵を飾ったりする。調度品も、象嵌の入った机や椅子に変えてしま
うほどの念の入用だ。
「あ、いいこと、思い付きましたよ、悟浄。」
改装の監督をしつつ八戒が手をポンッと叩いた。
「なんだ? 」
「今週は、チャイナフェアということにすれば、カクテルも限定できませんか? 中国酒
オンリーで作るカクテルってことなら、あなたと爾燕で、適当にすればいいじゃありませ
んか。」
「そうか。元に戻すのを土曜日まで引き延ばせば、そういうフェアってことで乗り切れる
な。いいんじゃね? 」
「じゃあ、撤去を土曜日に変更してもらいます。」
急遽、そんな風に変更も交えつつ、準備は進んでいく。立食パーティーなので、ソファ
などは、隅においやり、ホールは広くした。流れるBGMも、二階の廊下部分に本格的な
楽団を配置し中華風の音楽を奏でる。お客様は、夜七時以降だが、身内は、適当にやって
くる。すでに、アイシャは来ていて、準備の手伝いをしてくれている。
六時には、準備も終わり、スタッフも着替えてホールに集合した。まずは、身内だけで
乾杯だ。
キラとラクスが、静々と現れると、拍手が起こる。満州服の皇帝服のキラと皇后服のラ
クスは、ちょうど釣り合いが取れていて、見目麗しい。ふたりの服は、黄色が基調になっ
ていて、真ん中にキラのは王と金で大きく刺繍され、その王の文字に金色の龍が絡み付き
、こちらを睨んでいる豪華なものだ。ラクスのは、王の部分に文字がないが、こちらにも
金色の龍がデザインされている。頭には、玉のついた帽子を、ふたりして被り、完全に清
朝の衣装を再現させてある。
「派手だなあ。」
「でも、実際、ああいうものだったらしいぞ。王の文字は余計だが。」
生成りの漢服に青いシルクのベストというハイネと、若草色の基調に鶴の刺繍の漢服を
着た鷹が、ふたりして、白檀の扇子をひらひらさせている。
「アスラン、それ、冗談じゃなく美人だろ? おまえ、何を狙ったんだ? 」
「いや、何って言われても・・・・俺は、指定された服を着ているだけですよ、虎さん。
」
藍色に白い鳥をビーズで描かれているチャイナ服を着ているアスランは、きっちりとつ
けまつげまでつけて化粧されていて、怖ろしく似合っていたりする。こんな人いるよねー
? というぐらいの勢いだ。髪留めも白鳥で、しゃらしゃらと垂れている飾りが音を立て
る。アイシャが、これと対になる緑のチャイナ姿だ。もちろん、アイシャの髪飾りも白鳥
で、同じ様に音がする。で、並ぶと、ちと、アスランま肩幅があるなーぐらいで、別にお
かしくはない。モデルと言われても頷かれそうだ。
「俺、おかしくないか? シン。」
「大丈夫だ、レイ。アスランより美人だぜ? 」
レイは、漢服の女物で、直垂までつけて、胸も膨らませてある。髪は結い上げられて、
豪華な真珠の飾りがある。どこをどう見ても、普通に美人だ。そして、恥ずかしそうに伏
せ目にしているので、さらにうなじの辺りが見えて、色気がある。
「俺、こういう長いのって、あんま着ないなあ。」
「孫にも衣装って言うだろ? サル。」
「うるせぇーよ、エロカッパ。」
悟空は、モロ孫悟空という格好ではなくて、逆に漢服のグレイの礼装だ。腰に束帯をつ
けて、そこに宝石が散りばめられている。悟浄も、同様の漢服で、こちらは帯剣して、そ
の剣の柄が龍の細工だ。
ちなみに、坊主は、真っ黒の長包に足元付近に朱色の糸で唐獅子が刺繍されている。ど
っからどうみても、マフィアだ。
「とりあえず、乾杯いくか? 」
鷹の音頭で、全員がフルートグラスを手にする。スタッフだけで、まずはお祝いという
のが、基本だ。
「オーナー、お祝いの音頭を。」
「では、僭越ながら、私くしが。キラ、お誕生日おめでとうございます。生まれてきてく
ださってありがとう。これからも、一緒に歳を重ねて行きましょう。」
カチンと、キラのフルートグラスと、ラクスのグラスが音を立てると、全員が、「おめ
でとう。」 と、大合唱だ。それを飲み干して、パチパチと拍手すると、アスランが予約
帳を片手に、ミーティングを開始する。その間に、デリバリーのスタッフと爾燕と紅が、
料理の配膳を始める。紅は、自前の礼服で、そうすると、やっぱり王子様らしい。爾燕の
ほうは動き易い漢服の短い上着に、長いスカート上のパンツを履いている。
「お客様の時間は、今日は決まっていないんで、ブッキングした場合は、すかさず、誰か
ヘルプを呼んでくれ。イザークとディアッカもヘルプに入ってくれるか? 」
歌姫様の護衛で、現在は店を休職しているイザークとディアッカも、今夜はやってきて
いる。ほぼオールスタッフが揃っているから、接遇は、どうにか回せるはずだ。
作品名:こらぼでほすと 一撃5 作家名:篠義