こらぼでほすと 一撃5
「ああ、もちろんだ。」
「俺らの客が来たら、逆も頼むぜ? 」
イザークは、銀の眩い漢服の長包、ディアッカは、シルクの茶色の漢服の長包だ。キラ
より派手じゃないか? と言われそうだが、相方が地味な色目なので、それほど派手にな
らない配置になっている。
「終了は、12時。それから、キラへのプレゼントは基本的にお断りして欲しい。まあ、
花やお菓子ぐらいならいいんだが。それ以上なら辞退だ。八戒さん、施術のほうは、ショ
ートコース延長なしで設定していますが、疲れたら適当に休憩してください。悟浄さん、
そちらのフォローはお任せします。悟空、三蔵さんのフォローは任せた。9時頃に、ケー
キでお祝いをするイベントを挟みます。これで、早めにいらっしゃった方はお帰りになる
と思うので、その頃にタクシーの手配を、ダコスタ、頼む。11時に、食事は下げてしま
うので、そのつもりでお客様にもてなしてください。以上です。」
すらすらと、本日の予定と注意事項を折り混ぜつつ、説明すると、ミーティングは終了
だ。
「キラ、何かない? 」
アスランが振り向いて、本日の主役に声をかける。うん、と、立ち上がって、「今日は
、どうもありがとう。今日も働くぞーーっっ。」 と、拳を付き上げて宣言した。
「おー」 と、年少組も叫んで、配置に付く。スタッフたちは、事前にキラにプレゼント
は渡しているが、これもお菓子だ。キラは欲しいものは、すぐに手に入れてしまうから、
これといって欲しいものはないらしい。なんせ、キラバカの姉と、キララブラブの歌姫様
と、キラが生きがいの亭主が、なんでもかんでも与えてしまうからだ。
「お客様、第一陣です。」
外に出て案内をしているダコスタの声で、全員がホストモードだ。ここは、浮世の疲れ
を癒す場所だ。だから、笑顔でお客様を迎え入れる。
「キラくん、おめでとう。ようやく、きみと逢えたっっ。」
と、叫びつつやってきたのは、どっかのプラントの議長様で、キラに挨拶して、その背
後で恥ずかしそうにしている義理の息子に目を留めた。
「レイ、なんてことだ。」
「ギル? 」
女装なんて、と、叱られるのかと思ったら、いきなり、レイは抱きつかれた。そして、
すりすりと頭を撫でている。
「きみは、なんて美しいんだ。ああ、私の息子じゃなかったら、今すぐ、求婚したいとこ
ろだよっっ。素晴らしいっっ。素晴らしいよ、レイ。」
・・・・・・うわぁー・・・・・・・
・・・・・痛いなあ・・・・
・・・・変態、とうとう息子までか?・・・・
と、内心でスタッフはドン引きだが、誰もが顔は微笑んでいる。レイのほうは、みなさ
ん、すいません、と、内心で謝りつつ、義父を引き剥がす。
「ギル、今日は、ギルも衣装をつけるんですよ? 案内しますから、どうぞ。」
「ああ、そうだった。私は、キラくんの愛妾なんだった。キラくん、よろしく頼むよ?」
へらへらと嬉しそうに笑いつつ、どっかの議長様は、奥の部屋へ消えた。選択を誤った
か? と、誰もが思っているが、キラと歌姫は大笑いだ。
「いいね? 似合いそうだね、ラクス。」
「ええ、存分に写真も撮っておきましょう。ほほほほほ。」
キラは純粋に、衣装が似合いそうだと笑っているのだが、歌姫様はダークなネタを確保
するつもりだ。
「お客様第二陣でーす。八戒さん、橘さまです。」
続いて、八戒のお客様だ。はいはい、と、八戒が出迎えるために、ホールから出る。続
々と、そうやってお客様がいらっしゃって、キラたんはぴばは大盛況だった。
「吉祥富貴」で、大明神のはぴばパーティーが華やかに行われている頃、トダカ家も、
結構、賑わっていた。
「お労しい、トダカさん。」
「大丈夫なんですか? 」
「お手伝いできることがあればっっ。」
トダカーズラブの面々が、お見舞いにやってきて、トダカが横になっているベッドの横
に立って順番に挨拶している。
前日、麻酔を打って貰って、家に帰ってからトダカは、一応、アマギに連絡だけ入れた
。何も言わないでいても、どこからか情報は入るだろうし、今回は娘が里帰りして看護し
てくれるから、看護も必要はない、とは知らせたのだが、アマギは朝からやってきた。そ
して、順番にトダカーズラブの面々も見舞いに顔を出すなんて騒ぎになっている。
「アマギさん、仕事のほうは? 」
「休みをもらってきた。」
「は?」
「いいんだ。トダカさんに何かあったら、休むと、普段から言ってあるから問題はない。
」
「いや、そんな大袈裟にしなくても・・・・それに、俺も居ますし。」
ぎっくり腰というのは、痛みが退くまで安静にしているだけなので、それほど看護と言
っても大袈裟ではない。初日は、さすがに座るのが辛そうだったから、ニールも寝ていて
も食べられるおにぎりやサンドイッチを作ったが、今日は、短い時間なら座れるというの
で、普通の食事を準備した。家の中くらいは移動もできるから、トイレや風呂も、トダカ
は自力で行ける。そんなわけで、看護といっても、やることは少ない。
「ああ、トダカさんも、そうメールをくれたんだが・・・・・明日がな。」
アマギも、ニールがいれば、まあ、見舞いぐらいでいいか、と、思ったのだが、天気予
報を確認して、やはり数日は泊まろうと思ったのだ。
「明日? 」
「明日ぐらいから、天気が崩れるんだ。そうなると、きみも危ないからね。」
げっっと、ニールのほうも自分の携帯端末で、天気予報を確認して、がっくりと肩を落
とした。明日、明後日は雨の予報だ。そうなると、ニールもいつも通りの活動は無理にな
る。
「とりあえず、三日くらいは看護させてもらうよ。」 と、アマギが言うので、「お願い
します。」 と、素直に頭を下げた。ということは、この家にいても意味がない。
「寺へ戻ります。」
「ん? 遠慮しなくていい。ここで、休んでいなさい。」
「いや、意味ないでしょ? 」
「だが、どうせ、寺へ戻っても寝ていることになるんだから、ここでもいいじゃないか。
きみが帰ったら、トダカさんが寂しがるから。」
「はあ。」
台所で、のんびりとお茶を飲みつつ、話していたが、ことんと、箱が置かれた。トダカ
ーズラブのオーヴからの遠征組のひとりが、ニールにも土産を持参してくれたらしい。そ
れなら、お茶を、と、立ち上がったら、「座ってろ。」 と、別の人間に座らされた。
「トダカさんも召し上がるそうなので、お持ちします。」
「ああ、お疲れになるから、そろそろ見舞いは切り上げろ。」
「誰か待機は必要ではありませんか? アマギさん。」
「いや、それほど大事じゃないから、俺だけでいい。」
トダカーズラブの面々も慣れたものだ。数年に一度ぐらい、こういうことはあるらしい
。テキパキとアマギが段取りを言えば、その通りに動いて、用事が終われば帰っていく。
そして、新たな人間がやってくる。それが、夜まで続いて、ようやく来られる人間の見舞
作品名:こらぼでほすと 一撃5 作家名:篠義