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こらぼでほすと 一撃5

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「こんなに食べるのか? 」

「悟空にも届けてもらおうと思ってんですよ。これなら、チンすれば朝メシにもなるし、

そのまま、店で食べてもいいんで。」

 寺に居れば、おやつは毎日のことだ。それも、大食漢の悟空が相手だから量を作るのは

慣れたものだ。いつもなら、これに、坊主の酒のアテなんてのも製作している。

「だだいま。」

「失礼します。」

 そうこうしていたら、シンとレイが顔を出す。はいはい、さっさと食べろ、と、パンケ

ーキとトッピング各種が、食卓に配置されている。さらに、トダカ家の夕食メニューの一

部も、そこに載せられる。

「うほーパンケーキかぁーうまそー。」

「そんなに動いて大丈夫なんですか? ママ。」

「大丈夫だよ。」

 わらわらとシンとレイも食卓につく。ちょうど、お腹が空く時間だ。ご機嫌で、おやつ

に飛びつく。そして、対面のトダカのグラスに目が届いた。

「てか、とーさん? それ、ビールじゃんっっ。なに、普通の顔して呑んでるんだよっっ

。アルコール禁止だろ?」

「これは炭酸飲料だ、シン。」

「意味わかんねぇー理由を言わない。一杯だけにしときなよ? 」

 がつがつと、パンケーキは消費されていく。トッピングは、おかず風とデザート風のも

のがあって、それで味を変えるから量が食べられるらしい。

「ママは? 」

「俺は、後で食べるから。ほら、仕事まで時間がないぞ? 店の掃除があるんだから、八

戒さんの手伝い頼むぞ? 」

 いつもなら、トダカでと爾燕で適当に掃除しているが、しばらく、トダカは休業だから

、その辺りのシフトが変わっている。ああ、そうだった、と、時計を見る。すでに、いつ

もなら、トダカが店を開けている時間だ。

「そうか、とーさんの仕事の分が、分担なんだな。」

「他にやっておくことはありませんか? トダカさん。」

「そうだなあ。もし、酒瓶に埃が積もっていたら拭いておいてくれ。他には・・・・・氷

を、バーカウンターのほうへ移動したり、ビールケースを出して、カウンターの下の冷蔵

庫へ補充するとか・・・・」

 自分が、普段やっていることを思い出して、ひとつひとつ並べてみるが、さほど大変な

ものはない。まあ、適当でいいんじゃないか、と、トダカは締めくくる。一応、悟浄と鷹

が、カクテルも少し作れるらしいから、その辺りの手順はわかっているだろう。

「レイ、今夜、ギルさんは店に来られるんだろ? 」

「その予定です。」

「なら、お礼を申し上げておいてくれ。さっき、昨日のお詫びだと、私とニールに、見舞

いを届けてくださったんだ。」

「「はい? 」」

「時間がなくて、すぐにお帰りになったから、何もないよ。ニールが、攻略対象キャラ認

定されたみたいだけど、三蔵さんには敵わないからね。」

 まあ、頭脳派の某議長様では、修羅場潜りまくりな鬼畜高僧様には敵わないだろう。だ

ろうが、それ、危ないんじゃね? とは、シンとレイも思う。ふたりして、視線を交わし

てから、ニールに声をかける。

「ねーさん、俺、ギルさんに、ちゃんと注意しとくから。」

「ママ、俺もギルに、ちゃんと注意をしておきますね。」

 爽やかな笑顔だが、背後から、やっぱりか? やっぱり、手を出すつもりか? あの変

態、凹にしてやる、というオーラが浮かび上がっているのは、否めない。

「いや、違うんだ。レイのことでさ、俺のやってることで、レイの表情が柔らかくなった

って喜んでただけだから。なんにもされてないって。」

「わかってる。なんなら、三蔵さんとごくーにも注意してもらっとく。うんうん、ねーさ

んは、気にしなくていいぜ。」

「キラさんにも注意してもらいますね? 」

「いや、おまえら、それ・・・・キラには言うなよ?  三蔵さんにもな? 三蔵さんの

蹴りなんて食らったら、普通の人は死ぬぞ。」

 注意の意味が怖いので、そう、ニールは窘める。本気だったら、確実に急所に一発決め

てくる坊主の蹴りとか拳なんて受けたら、えらいことになる。

「はははは・・・・ニール、さすがに、よく知ってるね? 以前、アマギが軽く蹴られた

時は、二メーターほど飛んで、回廊から転がり落ちたんだ。」

「あれは軽くですからね。本気だと避けられないでしょうな、あはははは。」

 実際、軽い注意で、これなんだから、本気が、どういうのか考えだに怖ろしい。そして

、受けたアマギは軍人だから笑って済ませられるということも、ポイントだ。

「俺、全戦全敗です。あの人だけは、勝てる気がしない。」

「あー、ねーさん、三蔵さんに勝てるのは、たぶん、ごくーだけだと思う。」

「もしかしたら、八戒さんは、どうにかなるかもしれませんね。悟浄さんは、微妙です。

紅は、どうだろうな? シン」

「術対決は、よくわかんねぇーな。実戦見たことないから。」

 高僧様は、紅の召還術を防ぐ術も使える。ただし、それは、誰も見たことがないから、

どんなものかわからない。

「きみ、三蔵さんと、そんな派手な夫婦喧嘩してるのか? ニール。」

 驚いたようにアマギが尋ねる。仲睦まじい夫婦だと思っていたから、喧嘩するとは思わ

なかった。

「喧嘩じゃなくて・・・・気晴らしの稽古とか、俺が悪さした罰とかです。あの人は、す

ごいですよ? 拳銃で至近距離で狙っても、避けてしまいますからね。それに早撃ちだし

、ターゲットをフィーリングで捉えるし・・・・刹那の攻撃のクセも一瞬で見破っちゃう

し。実戦経験が半端じゃないのは、よくわかります。手加減してくれてるんですけど、そ

れでも、全然敵いません。」

 ニールの説明に、きみらは、どんな生活してるんだ? と、周囲が静まり返る。なぜ、

寺での稽古ごときで射撃まで入っているのか、謎だ。

「でも、手加減はしてくれてるんだね? 三蔵さん。」

「してくれなかったら、俺は死んでますよ、トダカさん。肝臓とか狙ってくるんだから、

性質が悪い。内蔵か心臓の上をヒットなんだから。」

 で、この寺の女房のほうも、死ねる急所に詳しいわけで、亭主の攻撃の怖さを、よく理

解している。一般人にはない知識だ。

「それは、もしかして惚気てるのか? ニール。」

「はあ? 」

「だって、手加減してくれてるんだろ? 」

「そりゃ、三蔵さんは、俺が動けないと困りますから。」

「無自覚の惚気は、可愛いね? 」

「また、トダカさんは、それを言う。」

 そんなじゃないですよ、と、ニールは怒っているが、まあ、それはいいのだ。とりあえ

ず、どっかの某議長様の所業は、本日の「吉祥富貴」のミーティングで報告することに、

シンとレイは内心で決めた。



作品名:こらぼでほすと 一撃5 作家名:篠義