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野沢 菜葉
野沢 菜葉
novelistID. 23587
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My favorite place

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Side:S
ご飯食べて、風呂に入って、もう寝るだけだって思ったらドッと疲れが出て、ベッドに倒れこむ。
目を閉じながら、今日の田島との会話を思い出す。

「めちゃくちゃ大好きな人がいる!!」
「ぜってー振り向かせるし!」

…田島好きな人いるんだぁ。どんな人だろう。
ハチャメチャで予想もしない行動するけど、田島の笑顔みるとなんか元気になれるし、頼りになるし、落ち着くし…田島に好かれる人ってなんか…
「羨ましいな…」
ポツッと呟いて、急に恥ずかしくなった。
なんだよ、これじゃあまるでオレが田島に好かれたいみたいじゃんか!

まだ火照った身体を無視して、布団に入るとオレはギュッと目を瞑った。

***

それから、なんだか田島のことが気になってしょうがなかった。
無意識のうちに目で追っているみたいで、水谷に「最近田島のことすげー見てんね。」と言われたくらいだ。その時は適当にごまかしてたけど、自分でも何でこんなに追ってしまうのか、理由がわからなかった。

「お前っ!何やってんだよ!!」
「ごっごめ…な…い」
急に大声が聞こえてそちらを向くと、阿部が三橋に対して怒鳴っているらしい。
オレは2人の仲裁に入る。
「おいおい、そんなに怒鳴ったら三橋が怖がるだろ?」
「だっ!だってこいつが!!」
「わかったから、一旦落ち着いて!三橋も大丈夫だからな?」
「おっオレ…」
なんとか落ち着かせて、話を終わらせたが、三橋はまだ落ち込んでいるようで、とぼとぼとベンチに戻っていく。
(フォロー入れた方がいいかな?)
そう思って、近づこうとしたその時、
「みーはーしーー」
と言って、田島が駆け寄ってきた。
そのままヘッドロックをかけたかと思うと、肩を組みながら何か話している。
オレはそれをただ呆然と見ていたが、田島と話をしているうちに三橋は笑顔になっていった。

オレはその様子を見て、なぜかとても悲しい気持になって、顔を背けた。
ズキズキと胸が痛む。

田島はオレだけじゃなくて、みんなにも優しさを分けている。
そんなの当たり前だけど、三橋に肩を貸す田島が嫌だ。
田島の温もりがオレだけのものじゃなきゃ嫌だ…。


あれ?何思ってんのオレ…
これってまるっきり独占欲。
オレ…もしかしてオレ田島のこと好きなの?

でも、田島は好きな人いるって…

「三橋!今日の帰りおもしろいトコ連れてってやるよ!」
「ほっほんと?」

田島って三橋と仲良いよな…三橋のことすぐ気が付くし…
もしかして…


考えると辻褄が合う。
普通考えない、オレが水谷のこと好きっていう考えも、田島が男を好きだから。
慎重にいかなきゃいけない相手は、臆病な三橋だから。

あぁ、気付いた途端失恋だなんて…。
もう、オレは田島を手離さなきゃ。
そうしなきゃ、もう田島なしでは壊れてしまうから…。

***
「栄口、今日は?」
「ごめん、今日はパス。」
田島の問いかけにそう答えると、田島の眉間にしわが寄った。
「なんか、用事あんの?明日にする?」
「明日も無理。ってか、もう大丈夫だから。
 最近は下らないことしか話してないし、もうオレそんな溜まってないし。」
「下らなくないだろ?俺はそう思って聞いてないぞ!」
真っ直ぐな瞳に、思わず言いたくなる。
だけど、今そんなことしたら、話の中心は全て田島になってしまうから。

「栄口何かあったのか?」
「なんもないよ!」
「じゃあ何でそんな泣きそうなの?」
田島の心配そうな瞳…この表情見たことある。
あぁ、最初にオレを見つけてくれたときだ…
あの時からオレは田島に救われてきたんだ…あの時からオレは田島がいなきゃダメになってしまったんだ…
田島の前では甘えてしまう…自分の感情を我慢できなくなる…
ダメだと思うのに涙がどんどん溢れてくるのがわかった。

それを見た田島は、グッと口を結んでオレを抱き寄せてくれた。
オレはいつものように、胸元のシャツをキュッと包む。
するとそれに合わせて、ポンポンと心地よい刺激。

「…田島…最初に言ったこと覚えてる?」
「何?」
「オレが言ったこと忘れるし、誰にも言わない。って。」
「うん、覚えてる。」
「じゃあ、今からオレが言うこと忘れてね。」
「…」


「オレ田島が嫌いだ。」
そう言うと、頭を叩いていた手がピタッと止まる。
だけど、田島は最初みたいに一言もしゃべらない。

「オレじゃない誰かに肩を貸してる田島が嫌い。…オレを1人じゃ無理にさせた田島が嫌い。
 オレの頭の中から離れてくれない田島が嫌い。」
田島が息を呑むのがわかる。オレはなんだかさらに涙が出てきた。

「田島の恋を応援できないオレが嫌い。…田島を手離したくないオレが嫌い。
 …田島のこと好きになっちゃったオレが嫌い。」
「えっ?」
「…オレ…田島のことが好きだ…」

「栄口?ホント?」
「もう、忘れて。あともうこれから反省会しなくていいから。」
オレは田島から離れようとすると、田島は反対にギュウっとオレを抱きしめた。

「えったじま!?」
「ほんとに!?栄口本気!?俺すっげー幸せ!!」
「何で!?田島はだって…」
「俺ずっと栄口のこと好きだったんだぜ!」
「えっだって田島は三橋が!」
「なんで三橋?」
きょとんと俺をみる田島を見て、カァっと体中に熱がこもる。
オレ…もしかして勘違いしてた?
すると、ニヤッと笑って田島は言った。

「栄口は知らないみたいだから言うけど、俺は友達に肩は貸すけど胸は貸さないんだ!」
田島はまたオレを抱きしめる力を強めた。
「栄口だけが俺の胸で泣いていいの!!」

嬉しそうな笑顔で言う田島を見て、オレもつられて笑ってしまった。
オレは田島の胸に顔をうずめた。

大好きなオレの場所…きっとこれからも…ずっと。


作品名:My favorite place 作家名:野沢 菜葉