School Days 6月 side狩沢
「その平和島静雄な。俺と同じ学年の奴なんだがよ、さっきホームルームが終わって帰るところだと思うんだが、もうそろそろこっちに向かってくると思ってな。こんな道の真ん中で目立つことやってたら、静雄のやつにボコられると思って、ちょっと声掛けに来たんだが」
「マジか!?」
「おい、ここに平和島静雄が来るって・・・・・・!」
「クソ・・・・・・おい、ここは一旦引くぞ!」
狩沢の腕を掴んでいた男は彼女の腕を離すと、倒れた男を拾うように指示しその場を後にする。
「おい、学ラン。ありがとな」
「おぉ、気をつけろよ」
「殴ったことはチャラにしといてやるぜ」
「どうも」
男たちが去ったあと、残った二人は顔を見合わせる。
すると、助けてくれた男子生徒は溜め息を吐き、狩沢に向かって注意をする。
「あのな、お前も女子だろ? 男に囲まれたら叫び声を出すとか何かしらの対応をすべきじゃねぇのか?」
「いやぁ、他の事に頭いっぱいでそれどころじゃなかったんですよ」
「他の事?」
「えっと・・・・・・」
続きを言おうと思ったら突然小さな呻き声が聞こえると同時に、目の前で話していた男の上体がこちらに向かって少し倒れてきた。よくみると、彼の上には同じく学ランを身につけた男子生徒が乗っかっていた。ただし、学ランは学ランでも短ランである。
「ドッタチーン。何してんの、こんなとこで」
「ドタチン言うな。つーか退けろ」
「あれ? この子誰? もしかして、ドタチンの彼女!?」
ハァと溜め息を吐いて眉間に皺を寄せる。そのまま腕を自分の背中に回し、乗っていた男を横の地面に下ろす。
「あ、私これから約束があるので、これで!」
「あ、おい」
「さっきはありがとうございました!」
狩沢はまだ少し遅れただけだと、何もなかったかのように先程と同じように走り出す。
そして、冒頭のように遊馬崎と始まったばかりの高校生活の話をしながら乙女ロードを練り歩くのである。
今日であった男が未来に自分と深く関わることになるとも知らず。
「そういえば、助けてくれた人の名前って何て言うんすか?」
「あ! 聞いてなかった!」
作品名:School Days 6月 side狩沢 作家名:大奈 朱鳥