風向きが変わるとき
『太一へ。ゴメンネ。プレゼントありがとう』
…この文章、実は最初から考えていた。
あのヘアピン本当はすごく嬉しかったの。
ちょっと困らせたかっただけ。ゴメンネ
あの事件から数日後、太一にそう伝えると
「なんだよそれ」
と言って少し困ったように笑った。
私はその時から毎年、誕生日にあのヘアピンを付けている。
太一が気づいてくれてるのか知らないけどね。
だって、何か言ってくれたのは一番最初だけだったんだもん。
「似合うじゃん」
…その言葉、すごく嬉しかったのに…
私…太一がまた褒めてくれるって期待してこんな可愛くもないヘアピン付けてるのよ?