風向きが変わるとき
【ドンッ】
「……!」
何かにぶつかった。
体全体に重い衝撃が走る。
思い切り走っていたのもあって反動で後ろに転びそうになった。
「あ…!」
腕を強く引っ張られた。
そのおかげで私は後ろに倒れずにすんだ。
「オイ大丈…って…空…?」
驚いた顔で私の腕を掴んでいたのは…
「ヤ…ヤマト…」
ヤマト君の顔を見た瞬間、
何か…糸のようなものが切れた気がした。
「空?どうした?泣いてるように見えるんだけど…」
「う…うぅ…ヤマト君…」
ダメだ、もう泣きそう…
「…?」
私はいつの間にかヤマト君の胸に顔を押し付けて泣いていた。
ヤマト君は何も言わずにただ震える私を抱きしめて髪を撫でてくれた。