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赫く散る花 - 桂 -

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 すると、惣兵衛はそれまで一緒に逃げていた天人を桂のほうに突き飛ばす。
「コラ、津倉屋! 裏切り者ッッ」
 天人は非難したが、その間に惣兵衛は遠ざかる。
 桂は天人に一太刀浴びせる。
 寸止めであったが、天人は気を失って倒れた。
 その間に惣兵衛は倉庫の出入り口の近くまで逃げていた。
 しかし、そこには佐一郎が待っていた。
「ここは絶対に通しません」
 きっぱりと宣言し、佐一郎はきりりとした表情で木刀を構えた。
 惣兵衛は佐一郎に向かって手を合わせる。
「頼むッ、そこを退いてくれ。この通りだ!」
 懇願するが、佐一郎は首を横に振った。
「金ならいくらでもやるぞ!」
 けれども、惣兵衛は諦めず、必死の形相になって頼む。
 その惣兵衛の背後に桂はすっと忍び寄る。
 そして。
「皆、金で言うことをきくと思うのは間違いだ」
 そう言い放ち、桂は惣兵衛の首筋に刀をつきつける。
 すると、惣兵衛は凍りついてしまったかのようにピタリと動きを止めた。











作品名:赫く散る花 - 桂 - 作家名:hujio