赫く散る花 - 桂 -
寝室に行く。
銀時は押し入れから布団を取り出す。
その様子を桂は見ていたが、やがて腰紐に手を伸ばした。一瞬ためらう。しかし、腰紐を解き、寝間着を脱ぐ。
自分がなにを言っているのかわかってんのか、と銀時がさっき言ったのを思い出す。
わかっている。
わかっているからこそ、これほど緊張している。
すべて脱いでしまい、裸になって立ちつくす。
銀時は布団を敷き終わると、桂をみあげた。
「ここに座って?」
そう言って、布団の中央を指す。
だから、桂は布団まで進む。
銀時と向かい合って座る。
すると、銀時はかすかに笑った。
「お前さァ、いざとなったら俺が退くんじゃねーかって思ったんだろ?」
軽い口調で言った。
桂は驚く。その通りだったから。
どうしても確かめたいのはそれだった。
くちづけぐらいならともかく、それよりよりも深い関係になる段階になって、やはり同性は無理だと感じるかも知れないと思った。
引き返すなら早いほうがいい。だから、急かした。
すぐに裸になったのも、自分の身体は男でしかないことを見せたかったからだ。
桂が黙っていると、銀時は身体を近づけてくる。
ぎゅうっと肩を抱かれる。
「……退くわけねェだろ」
ずっとこうしたかったんだからな、と銀時は囁くような声で付け加えた。
作品名:赫く散る花 - 桂 - 作家名:hujio