こらぼでほすと 一撃6
「吉祥富貴」のミーティングで、シンとレイは、某議長様乱入について報告した。やっぱ
りか、やっぱり、好みだったか、と、全員がっくりと肩を落とした。そうだろうとは予想
していたが、それでも、あの変態は・・・と、呆れるしかない。
「ねぇ、アスラン。アスアスを始動させちゃおうか? 」
運ばれてきたパンケーキに、チョコトッピングで、もぐもぐと食べているキラは、何気
に、そんなことをいう。アスアスとは、キラが何年か前に、プラントのマザーコンピュー
ターに潜ませたウイルスだ。ちなみ、アスアスは、一号から五号まであって、ひとつでも
動かすと、マザーは壊滅的な打撃を受ける優れもののウイルスだ。
「キラさん、それはダメっすっっ。プラントが壊滅しちゃうでしょ? ギルさんだけでい
いんだから。」
「今、ギルは地上です。意味がありません。」
「おまえらも、ツッコミどころが間違ってるぞ? 」
ハイネも、キラのパンケーキを横取りして、もぐもぐしつつツッコミだ。
「そんなら、俺が絞めればいいんじゃね? 」
「悟空、お客様に危害を加えちゃいけません。支払いが終わって店を出てからにしてくだ
さい。」
「八戒、それもツッコミどころ間違ってないか? まだ被害がねぇーんだから、脅しでい
いだろ? キラ、なんか軽いのを一発、爆発させとけ。」
被害がないのに、サルの攻撃は、あんまりだろうと、悟浄が止める。手を握ったぐらい
で、全治三ヶ月とか半年はやりすぎだ。
「ちゃばりんでいいかな? 悟浄さん。」
「なんでもいいよ、俺にはわからん。」
「というか、キラ、それは誰? 」
「茶羽ゴキブリのちゃばりん。悟浄さんがモデル。ギルさんちのデータを狂わすぐらいな
ら、あれでいいと思う。いきなり、データがランダムに消滅するやつ。」
「泣かすぞーキラっっ。誰が茶羽ゴキブリだっっ。」
「だって、触覚あるし、赤いし似てるよ? 」
「まあまあ、悟浄さん、ネーミングは気にしないでください。キラの主観です。キラ、そ
れは、すぐにやれるのか? 」
「うん、送るだけ。ここからでも、大丈夫。」
「なら、やってくれ。シン、レイ、ここいらが妥当だと俺も思うぞ。もし、あちらが実力
行使したら、うちの対人間チームに出動してもらう。それでいいだろ? 」
アスランが、そう言うと、シンとレイも頷く。余計なことをしなければ、何も起こらな
いのだから、まあ、それでいいだろう。
「今夜は、そのギルさんの貸し切りだから、ヘルプもウエイターでお願いします。それと
、カクテルは、中国酒縛りでメニューを用意しているので、それ以外のオーダーは断って
ください。ホストは、おとついの衣装で。レイ、おまえは、おとついのじゃなくて、普通
のチャイナの男モノを用意してあるから、そっちを着てくれ。」
おとつい、女装していたのは、さすがに、そこまでセッティングできないから、普通の
長包を用意している。客は、たった一人だから、ヘルプも必要ではない。
ミーティングが解散すると、すぐに、みな、動き出す。
「ハイネ、注意してきてください。」
「あ、やっぱり? 」
ヘルプ担当のハイネは、だから暇だ。そして、施術担当の八戒も同様で、今日は事務仕
事をするつもりだ。で、まあ、どっちもわかっちゃったことがあるので、そちらへ出向け
と、八戒が命じる。
「こんなことしてたら、また熱が上がります。」
「そうだよな。アマギさんは、ママニャンの現状がわかってないだろうし、年少組には知
られるドジは踏まないしな。」
たくさんのパンケーキは、なんと、悟空の朝ごはん分まである。相当、働いていたとい
うのは推測できる。まだ熱は下がっていないらしいのに、フル活動されたら、ダウンされ
てしまう。それに、大人組は気付いたわけだ。
「アマギさんにも、それとなく伝えておいてください。」
「はいよ。俺、そのまま直帰してもいいのか?」
「いいですよ。明日は、ヘルプをお願いします。エザリア様は、何人かお連れになるそう
ですから。」
「俺、明日、ユーレイで女装しようかな。」
「じゃあ、何人か、そちらの方向で手配しておきます。」
そろそろ、来店時間なので、みな一斉に着替えている。キラは、皇帝服を着て帽子をち
ょこんと乗せて、店表に戻ってくる。そこには、すでにウエイター姿の鷹と虎が、カウン
ターの向こうで、酒瓶のチェックをしている。
「キラ、おまえ、明日、ママニャンとこへ行くなよ? 」
「えーーー」
「トダカさんが休めないだろ? おやつのリクエストは、爾燕にしておけ。」
もちろん、押しかける危険のあるキラにも注意だ。悟空は、そこいらは心得ているから
、問題はない。そこへ、本日のバーテンダー役の悟浄も顔を出す。
「中国酒縛りだけど、基本のマティーニあたりは出すか? 悟浄。」
「エザリアさんは、キールロワイヤルだろ。それぐらいは、なんとかなるな。鷹さん、あ
んた、どれくらいいける? 」
「俺も基本だけだぞ。ジンベースとウォッカベースの基本だけ。」
「似たようなとこだな。さすが、たらし。」
「おまえには言われたくない。」
女性が好むカクテルに関しては、どっちも作れる。元ジゴロとか、美少年キラーな人間
は、それぐらいは常識らしい。
「中国酒っつーても、あれだ。桂香陳酒とか、そういう軽いのだから、適当でいいんじゃ
ねぇーか? 今日のお客には、老酒とか白酒の強烈なとこを出しとこうぜ? 」
今日のお客様は、カクテルを飲むタイプではない。それなら、度数の強い独特のもの出
しておけば、中華風らしい。
「トダカさんて、すごいな。これ、全部、配分できるんだろ? それで客の好みも取り入
れてるんだよな? 」
カクテル用のアルコールは、ずらりとカウンターに並んでいる。それらを間違わずに、
リクエストされたカクテルを出せるのだから、トダカの知識は並大抵ではない。さらに、
各お客様によって、カクテルの中身の配分が微妙に変えてある。それも、トダカの頭の中
にしか、レシピがないので作るのは無理だ。だから、トダカが復帰するまで、お客様は、
好みのカクテルが飲めないという不自由をかけることになる。
「氷です。」
「こっち、ビールケース。それと、ビールグラスを冷やしておくんだってさ。」
着替えたシンとレイが、氷やビールケースを運んできた。ああ、そうか、と、そこのバ
ーテンダーとウエイターも動き出す。意外とやることが多いと気付くのは、某議長が帰っ
てからだ。
「そろそろ、来店時間です。スタンバイッッ、お願いします。シン、レイ、お迎えしてく
れ。」
アスランの声で、あわあわとダコスタによってBGMが流される。本日は、生演奏では
なく、CDだ。そして、全員が配置についた。
ハイネは、そのまんま裏から出て、徒歩10分のトダカ家まで出向いた。時間的に、夕
食は終わっているんだろーなー、と、思っていたら、案の定、食後のお茶タイムだった。
「どうしたんだよ? ハイネ。」
りか、やっぱり、好みだったか、と、全員がっくりと肩を落とした。そうだろうとは予想
していたが、それでも、あの変態は・・・と、呆れるしかない。
「ねぇ、アスラン。アスアスを始動させちゃおうか? 」
運ばれてきたパンケーキに、チョコトッピングで、もぐもぐと食べているキラは、何気
に、そんなことをいう。アスアスとは、キラが何年か前に、プラントのマザーコンピュー
ターに潜ませたウイルスだ。ちなみ、アスアスは、一号から五号まであって、ひとつでも
動かすと、マザーは壊滅的な打撃を受ける優れもののウイルスだ。
「キラさん、それはダメっすっっ。プラントが壊滅しちゃうでしょ? ギルさんだけでい
いんだから。」
「今、ギルは地上です。意味がありません。」
「おまえらも、ツッコミどころが間違ってるぞ? 」
ハイネも、キラのパンケーキを横取りして、もぐもぐしつつツッコミだ。
「そんなら、俺が絞めればいいんじゃね? 」
「悟空、お客様に危害を加えちゃいけません。支払いが終わって店を出てからにしてくだ
さい。」
「八戒、それもツッコミどころ間違ってないか? まだ被害がねぇーんだから、脅しでい
いだろ? キラ、なんか軽いのを一発、爆発させとけ。」
被害がないのに、サルの攻撃は、あんまりだろうと、悟浄が止める。手を握ったぐらい
で、全治三ヶ月とか半年はやりすぎだ。
「ちゃばりんでいいかな? 悟浄さん。」
「なんでもいいよ、俺にはわからん。」
「というか、キラ、それは誰? 」
「茶羽ゴキブリのちゃばりん。悟浄さんがモデル。ギルさんちのデータを狂わすぐらいな
ら、あれでいいと思う。いきなり、データがランダムに消滅するやつ。」
「泣かすぞーキラっっ。誰が茶羽ゴキブリだっっ。」
「だって、触覚あるし、赤いし似てるよ? 」
「まあまあ、悟浄さん、ネーミングは気にしないでください。キラの主観です。キラ、そ
れは、すぐにやれるのか? 」
「うん、送るだけ。ここからでも、大丈夫。」
「なら、やってくれ。シン、レイ、ここいらが妥当だと俺も思うぞ。もし、あちらが実力
行使したら、うちの対人間チームに出動してもらう。それでいいだろ? 」
アスランが、そう言うと、シンとレイも頷く。余計なことをしなければ、何も起こらな
いのだから、まあ、それでいいだろう。
「今夜は、そのギルさんの貸し切りだから、ヘルプもウエイターでお願いします。それと
、カクテルは、中国酒縛りでメニューを用意しているので、それ以外のオーダーは断って
ください。ホストは、おとついの衣装で。レイ、おまえは、おとついのじゃなくて、普通
のチャイナの男モノを用意してあるから、そっちを着てくれ。」
おとつい、女装していたのは、さすがに、そこまでセッティングできないから、普通の
長包を用意している。客は、たった一人だから、ヘルプも必要ではない。
ミーティングが解散すると、すぐに、みな、動き出す。
「ハイネ、注意してきてください。」
「あ、やっぱり? 」
ヘルプ担当のハイネは、だから暇だ。そして、施術担当の八戒も同様で、今日は事務仕
事をするつもりだ。で、まあ、どっちもわかっちゃったことがあるので、そちらへ出向け
と、八戒が命じる。
「こんなことしてたら、また熱が上がります。」
「そうだよな。アマギさんは、ママニャンの現状がわかってないだろうし、年少組には知
られるドジは踏まないしな。」
たくさんのパンケーキは、なんと、悟空の朝ごはん分まである。相当、働いていたとい
うのは推測できる。まだ熱は下がっていないらしいのに、フル活動されたら、ダウンされ
てしまう。それに、大人組は気付いたわけだ。
「アマギさんにも、それとなく伝えておいてください。」
「はいよ。俺、そのまま直帰してもいいのか?」
「いいですよ。明日は、ヘルプをお願いします。エザリア様は、何人かお連れになるそう
ですから。」
「俺、明日、ユーレイで女装しようかな。」
「じゃあ、何人か、そちらの方向で手配しておきます。」
そろそろ、来店時間なので、みな一斉に着替えている。キラは、皇帝服を着て帽子をち
ょこんと乗せて、店表に戻ってくる。そこには、すでにウエイター姿の鷹と虎が、カウン
ターの向こうで、酒瓶のチェックをしている。
「キラ、おまえ、明日、ママニャンとこへ行くなよ? 」
「えーーー」
「トダカさんが休めないだろ? おやつのリクエストは、爾燕にしておけ。」
もちろん、押しかける危険のあるキラにも注意だ。悟空は、そこいらは心得ているから
、問題はない。そこへ、本日のバーテンダー役の悟浄も顔を出す。
「中国酒縛りだけど、基本のマティーニあたりは出すか? 悟浄。」
「エザリアさんは、キールロワイヤルだろ。それぐらいは、なんとかなるな。鷹さん、あ
んた、どれくらいいける? 」
「俺も基本だけだぞ。ジンベースとウォッカベースの基本だけ。」
「似たようなとこだな。さすが、たらし。」
「おまえには言われたくない。」
女性が好むカクテルに関しては、どっちも作れる。元ジゴロとか、美少年キラーな人間
は、それぐらいは常識らしい。
「中国酒っつーても、あれだ。桂香陳酒とか、そういう軽いのだから、適当でいいんじゃ
ねぇーか? 今日のお客には、老酒とか白酒の強烈なとこを出しとこうぜ? 」
今日のお客様は、カクテルを飲むタイプではない。それなら、度数の強い独特のもの出
しておけば、中華風らしい。
「トダカさんて、すごいな。これ、全部、配分できるんだろ? それで客の好みも取り入
れてるんだよな? 」
カクテル用のアルコールは、ずらりとカウンターに並んでいる。それらを間違わずに、
リクエストされたカクテルを出せるのだから、トダカの知識は並大抵ではない。さらに、
各お客様によって、カクテルの中身の配分が微妙に変えてある。それも、トダカの頭の中
にしか、レシピがないので作るのは無理だ。だから、トダカが復帰するまで、お客様は、
好みのカクテルが飲めないという不自由をかけることになる。
「氷です。」
「こっち、ビールケース。それと、ビールグラスを冷やしておくんだってさ。」
着替えたシンとレイが、氷やビールケースを運んできた。ああ、そうか、と、そこのバ
ーテンダーとウエイターも動き出す。意外とやることが多いと気付くのは、某議長が帰っ
てからだ。
「そろそろ、来店時間です。スタンバイッッ、お願いします。シン、レイ、お迎えしてく
れ。」
アスランの声で、あわあわとダコスタによってBGMが流される。本日は、生演奏では
なく、CDだ。そして、全員が配置についた。
ハイネは、そのまんま裏から出て、徒歩10分のトダカ家まで出向いた。時間的に、夕
食は終わっているんだろーなー、と、思っていたら、案の定、食後のお茶タイムだった。
「どうしたんだよ? ハイネ。」
作品名:こらぼでほすと 一撃6 作家名:篠義