二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

ぐらにる 流れ ぷんぷん

INDEX|1ページ/5ページ|

次のページ
 
微かな音が、耳に届いた。反射的に、ベッドサイドの携帯端末に手を伸ばして起き上が

る。傍らには、ぐっすりと眠っている姫がいるから、音をたてないように寝室から抜け出

した。

「私だ。・・・・・わかった。すぐに、行く。」

 どうしても、仕事の都合で呼び出されることが、多々ある。せっかく、訪ねてくれた姫

には申し訳ないが、仕事だから仕方がない。帰る予定まで、後三日。できたら、ゆっくり

と過ごしたいと思っていても、夜中に呼び出される始末だ。だが、それの開発を急がせた

のは、自分で、それについての協力は一切惜しまないと、技術顧問にも宣言したのだから

、行かないわけにはいかないのも、事実だ。

「・・・ニール・・・・・」

「・・・うん・・・・わかってるから・・・・」

 寝室に戻って、声をかけたら、すぐに反応があった。姫は、ブラックマーケットの関係

者だと思われるから、突然の呼び出しなんてものに拗ねたりしないし、「私と仕事、どっ

ちが大切なの? 」 なんていう愚かしい質問もしない。ただ、「いってっしゃい。」 

と、ゆらゆらと手を振るぐらいだ。

「夕方には帰れると思う。」

「・・・・うん・・・・」

「どうして、きみが居てくれる至福の時間というものは、こうも邪魔されてしまうのだろ

うな? 私は、美しいきみを独占しているから、神に嫉妬でもされているのだろうか。・

・・・ニール、このまま姿を消すなんてことはしないでくれたまえ。そんなことになった

ら、私は、きみを探して地の果てまで・・・・」

 切実に、勝手に帰らないでくれ、と、お願いしたつもりだったのだが、寝起きで機嫌が

悪かったらしい姫は、がばりと起き上がって、私の首に腕を巻きつけて、強引にキスを仕

掛けた。舌を絡ませるものではなくて、がぶっと、姫は私の下唇に噛み付いた。



 もう、ほんと、頼むから、そこで恥ずかしいことを、だらだらと垂らし続けないでくれ

、と、俺は言いたくて、はっきりと覚醒した。それまでは、半分くらい眠ったままで聞い

ていたのだ。どうせ、出かけてしまうと、何時間かは帰らないグラハムだ。ゆっくりと二

度寝するつもりだった。しかし、出かけなければならないくせに、延々と、恥ずかしい台

詞を羅列されるので、さすがに腹が立ってきた。

 起き上がって、その言葉を吐き続ける場所を塞いで、それから、軟らかい唇に噛み付い

た。血が出るほどではないが、それなりに痛みがあるくらいの噛み方だ。びくりと、彼の

身体は震えて、それから、ベッドに押し倒された。

「・・・・いや、ちょっと待て、おま、おまえ、仕事だろっっ。さっさと行け。」

「ニールが悪い。ニールが、私を挑発するから、私は遅刻することになるのだ。責任を取

りたまえっっ。」

「挑発じゃねぇーっての。恥ずかしい台詞で、俺の脳が溶けそうだから警告しただけだ。

・・・・え・・・いや、待てっっ。本気か? ・・・・帰ってからにしろ。」

「ダメだ。私は我慢弱いんだ。いくら姫から『お預け』などと命じられても、それには従

える道理がない。」

「このバカ犬っっ。・・・・・ヤダって・・・・」

 いろんなところに、ツッコミどころがあるので、どこからツッコんでいいのか、考える

のも面倒だ。我慢弱いのは、よくわかっているから、抵抗するのは諦めた。そっと優しく

抱き締めてくる腕と体臭には、すっかり慣れた。それだけで条件反射するように、体温が

上がる俺も、大概だとは思う。

「天国まで連れて行くよ? ニール。」

「・・・・喋ってる暇があるなら、さっさと連れて行け。」

「おおせのままに。」

 多少の遅刻になりそうだが、まあ、いいんだろう、と、俺も今度は、噛まないで、唇を

ぺろりと舐めてやった。








 いつもなら、三十分もしないうちに駆けつけてくる友人は、猶に一時間半もかかって顔

を出した。それも、艶々した肌で、それはそれは上機嫌でもあった。

「すまない、ビリー。遅れてしまった。」

 話には聞いていたが、本当に、お姫様がいらっしゃっているらしい。ここのところの彼

は、帰宅に命を賭けていると言っても過言ではない。そのお姫様が滞在している一週間だ

けは、何が何でも早く帰りたいとがんばっているからだ。

「いいや、こちらこそ、こんな時間に呼び出して、悪かったね、グラハム。お姫様を宥め

ていたんだろ? 」

 まあ、そういうところだろうと察しはついている。こんな時間に呼び出されたら、お姫

様もご立腹されることは請け合いだ。

「はははは・・・なかなか、ご勘気が解けなくてな。」

「そうだろうね。」

 この会話を当人が聞くことかできたら、誰が、そんなことしたよーーと、叫んだことだ

ろう。だが、残念ながら、常識人ではないグラハムと事情を知らないビリーでは、それは

不可能というものだ。

「夕刻には戻りたいんだが? 」

「そんなにはかからないよ。とりあえず、この数値を見てくれないか? 」

 コンピューターで算出した数値というのは、あくまで、理想的な状態であることが前提

であるから、実際は、その通りにはいかない。実際に搭乗している経験者に、その辺りを

確認してもらう必要が生じる。必要なら、そのセッティングを試験してもらうこともある

。だからこそ、実際のエースパイロットの意見が必要となるのだ。







 あのヤロー、やりたい放題にやりやがって・・・・と、悪態をつきつつ、その件のお姫

様が目覚めたのは、午後近い時刻だった。だいたい、その前に、たっぷりとフルコースを

味わっていたわけで、さらに、夜食まで、と、なると体力がある自分でも疲労するという

のだ。

・・・・体力的に負けてるな。・・・・

 あれから、彼は、さっさと着替えて出勤した。わふわふと大型犬が勢い良く尻尾を振り

回しているような陽気さで、「夕刻には戻るから。」 と、楽しそうだったのが、実にム

カつく光景だった。こちらは、ベッドから見送るのが精一杯という体たらくだったからだ



 よろよろと起き上がって、ベッドの周辺と、自分が寝ていたベッドの惨状を目にして頭

痛がした。脱ぎ散らかされたパジャマとか、ぐちゃぐちゃになっているシーツとか、慌て

ていたらしく箱から飛び出して、床に転がっている未使用のゴムとか、もう、そういうも

のが、明るい光の中に見えているのだ。

・・・・・あーもー、何やってんだか・・・・・

 とりあえず、シャワーを浴びて、部屋の掃除をするか、と、立ち上がる。多少、腰はだ

るいし、ちょっと口では言えない部分が、じんじんと痛かったりするが、それは共同責任

だから文句を言うつもりはない。

・・・・けど、まあ、よく眠れるんだよな・・・・・

 安眠の確保を約束されている。ここで眠る時は、ひとりでも不思議に魘されない。違う

環境にいるから、というのもあるのだろうが、魘されていたところを助けてもらった相手

だから、というのが大きいのだろう。他に、その事実を知っている人間はいない。そこま
作品名:ぐらにる 流れ ぷんぷん 作家名:篠義