想いよ、届け ル-トリッヒ編
「あら、ドイツさん。いらっしゃいませ、ご機嫌麗しゅう。
こんな時間にどうかなさいましたか?」
スイス宅を訪れると、リヒテンが出てきた。
「あ、いや、その…。スイスはいるか?」
「いえ、お兄様は今日はあちらの上司の方とのお付き合いがあるとかで遅くなるそうです。
兄様に何か用事があったのですか?」
リヒテンは首を振った。
「いや、その、リヒテンに用事が、あるんだ…。
その、これを…。
今日はバレンタインデーだろう?」
ドイツは顔を真っ赤にして、スミレのミニブーケをリヒテンに差し出した。
ドイツはかなり緊張していた。
「まあ、可愛らしいスミレですこと。
ありがとうございます、ドイツさん」
リヒテンはミニブーケを嬉しそうに受け取った。
「では、俺はこれで失礼する」
ドイツはスイスが帰ってくる前に帰ろうとして、踵を返した。
「ドイツさん、ま、待ってください。あの、一緒に夕食でもいかがですか?」
リヒテンは小さな両手でドイツの腕をしっかりと掴んだ。
「いや、その、リヒテンはまだだったのか?」
ドイツは後ろを振り返った。
「丁度、出来上がったところです。
私は今日、侯爵様に呼ばれていて、つい先ほど帰ってきたばかりですので…」
リヒテンは少し頬を赤らめて、改めてドイツを夕食に誘った。
「いや、俺は…」
ドイツがリヒテンの誘いを断ろうとした時、「グゥ〜〜〜」とドイツの腹が鳴った。
「ドイツさんのお腹も空いていらっしゃるようですね」
リヒテンはクスクスを笑った。
「す、すまない。では、頂こう」
ドイツは耳を真っ赤にして、リヒテンの案内でスイス宅へと入って行った。
そして、和やかな雰囲気の中、リヒテンとドイツは夕食を一緒に食べたのであった。
「旨かった」
ドイツは食後のコーヒーを飲んで一息ついた。
「ありがとうございます。
ドイツさんのお口に合って良かったです」
リヒテンは嬉しそうだった。
「では、俺はこれで失礼させてもらう」
ドイツは帰り支度を始めた。
「はい、今日はありがとうございました」
リヒテンはドイツの帰り支度を手伝い、玄関へと向かった。
「では、またな」
「はい。では、お気を付けて」
リヒテンは名残惜しそうに、玄関でドイツを見送った。
リヒテンがドイツを見送った後、夕食の片づけをしようとした時、玄関の扉が開閉する音が聞こえた。
「リヒテン、今帰ったのである」
少しアルコール臭を漂わせたスイスが帰宅した。
「お、お兄様、お帰りなさいまし」
リヒテンは少し慌てていた。
「……?………!」
―やはり、先程のは…。あ奴め、来ておったのだな!!
スイスは何かに気付いたが、気づいていないふりを決め込んだ。
リヒテンはスイスのそんな様子に気づかずに、嬉しそうに夕食の後片付けを始めた。
後日、仕事の会談の合間に、ドイツはスイスにこんな事を言われた。
「バレンタインデーの夕食の件は見逃してやるのである!
だが、二度目はないと覚えておくのである!!」
一瞬で、ドイツの肝が冷えたらしい。
(終わり)
こんな時間にどうかなさいましたか?」
スイス宅を訪れると、リヒテンが出てきた。
「あ、いや、その…。スイスはいるか?」
「いえ、お兄様は今日はあちらの上司の方とのお付き合いがあるとかで遅くなるそうです。
兄様に何か用事があったのですか?」
リヒテンは首を振った。
「いや、その、リヒテンに用事が、あるんだ…。
その、これを…。
今日はバレンタインデーだろう?」
ドイツは顔を真っ赤にして、スミレのミニブーケをリヒテンに差し出した。
ドイツはかなり緊張していた。
「まあ、可愛らしいスミレですこと。
ありがとうございます、ドイツさん」
リヒテンはミニブーケを嬉しそうに受け取った。
「では、俺はこれで失礼する」
ドイツはスイスが帰ってくる前に帰ろうとして、踵を返した。
「ドイツさん、ま、待ってください。あの、一緒に夕食でもいかがですか?」
リヒテンは小さな両手でドイツの腕をしっかりと掴んだ。
「いや、その、リヒテンはまだだったのか?」
ドイツは後ろを振り返った。
「丁度、出来上がったところです。
私は今日、侯爵様に呼ばれていて、つい先ほど帰ってきたばかりですので…」
リヒテンは少し頬を赤らめて、改めてドイツを夕食に誘った。
「いや、俺は…」
ドイツがリヒテンの誘いを断ろうとした時、「グゥ〜〜〜」とドイツの腹が鳴った。
「ドイツさんのお腹も空いていらっしゃるようですね」
リヒテンはクスクスを笑った。
「す、すまない。では、頂こう」
ドイツは耳を真っ赤にして、リヒテンの案内でスイス宅へと入って行った。
そして、和やかな雰囲気の中、リヒテンとドイツは夕食を一緒に食べたのであった。
「旨かった」
ドイツは食後のコーヒーを飲んで一息ついた。
「ありがとうございます。
ドイツさんのお口に合って良かったです」
リヒテンは嬉しそうだった。
「では、俺はこれで失礼させてもらう」
ドイツは帰り支度を始めた。
「はい、今日はありがとうございました」
リヒテンはドイツの帰り支度を手伝い、玄関へと向かった。
「では、またな」
「はい。では、お気を付けて」
リヒテンは名残惜しそうに、玄関でドイツを見送った。
リヒテンがドイツを見送った後、夕食の片づけをしようとした時、玄関の扉が開閉する音が聞こえた。
「リヒテン、今帰ったのである」
少しアルコール臭を漂わせたスイスが帰宅した。
「お、お兄様、お帰りなさいまし」
リヒテンは少し慌てていた。
「……?………!」
―やはり、先程のは…。あ奴め、来ておったのだな!!
スイスは何かに気付いたが、気づいていないふりを決め込んだ。
リヒテンはスイスのそんな様子に気づかずに、嬉しそうに夕食の後片付けを始めた。
後日、仕事の会談の合間に、ドイツはスイスにこんな事を言われた。
「バレンタインデーの夕食の件は見逃してやるのである!
だが、二度目はないと覚えておくのである!!」
一瞬で、ドイツの肝が冷えたらしい。
(終わり)
作品名:想いよ、届け ル-トリッヒ編 作家名:桜飴♪