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長い長い家路

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「じゃあ見て」
「……」
唇に柔らかい感触。
「信じてあげる」

不安定化の波に巻き込まれたYF-29を支えようと、カーリー中尉はVF-171EXをバトロイドに変形させた。コクピットブロックだけでも守ろうと、YF-29の主翼の付け根を掴んだ。
「アルト少尉っ」
その瞬間、YF-29が金色に輝いた。
「これは…」
バトルフロンティアの第二艦橋からも、それが確認できた。
「あの光は」
エステファン大佐は、バジュラ女王の惑星でSMSのYF-29が同じように輝くのを見た。
YF-29はコントロールを取り戻し、バトルフロンティア前方へと躍り出た。
バレルロールで荒れ狂う空間を切り裂くと、不安定化の波が消え、安定したフォールドハイウェイの姿が現れる。
今まで受動的に動いていたYF-29は、聖剣デュランダルの愛称にふさわしく、能動的に航路を啓開していく。

 時間・空間
 メトリックが溶ける
 時計の針が距離を指し
 物差しが時を刻む
 二人っきりでいても寂しいのに
 銀河の反対にいても傍に感じる
 コーディネイトが折りたたまれて
 特異点は掌に
 恋は宇宙を歪めてしまう
 知ってた?
 ワタシとアナタ
 CP violation
 対称性が破れて
 知らない?
 無限の gravity
 愛が五番目の相互作用

シェリル・ノームの歌声が、バトルフロンティアのフォールド波通信機でも傍受できた。
今までの荒れ狂う空間が嘘のように凪いだ。
「アイランド1からの信号を確認」
観測班が声を張り上げる。
「デフォールドまで、10、9、8、7、6、5、4、3、2、1…デフォールド!」
バトルフロンティアは通常空間に復帰した。
目の前には青い惑星。
赤道面にバジュラが築いたネストと呼ばれる構造が取り巻いている。
「戻った!」
第二艦橋内で誰かが叫んだ。
「おおおっ!」
拳を振り上げる者、ハイタッチを交わす者、拍手する者。
歓声がおさまるまでエステファン大佐は待った。
おもむろに命令を出す。
「アイランド1と通信を繋げ。こちらの状況を報告し、アイランド1は健在なりや、と伝えろ」
通信班がコンソールにとりついた。
すぐに回線が繋がった。どうやら、アイランド1は無事に浅海に着水し、定住の準備が始まっているらしい。
エステファン大佐は通話機を手にして、アイランド1の管制官と直接通話した。
「こちら、バトルフロンティア艦長代行ラウル・エステファン大佐だ。着陸場所の指示を頼む。それと…」
ちらりと正面スクリーンに映っているYF-29とVF-171EXを見た。
「シェリル・ノームさんの所在を確認したい」
その要望はすぐに叶えられた。

作品名:長い長い家路 作家名:extramf