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忍/た/ま/男女で勝手にCP ~伊助×そうこ vol.1

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こんにちは。 忍術学園一年は組、二郭伊助です。
昼休みとなった今、僕はお昼の食事を食べに食堂へ向かう最中で、いつものように級友の庄左ヱ門と一緒に歩いていました。 忍術学園の生徒も先生も食事の時間というのはとても楽しみにしていることで、我先にと食堂へ向かう生徒も少なくありません。 今日の献立はなんだろうねと、いつもは冷静な庄左ヱ門でさえこの時間になると少し頬が緩んで嬉しそうな顔をします。

「僕は蒲鉾とかはんぺんが出てくると嬉しいかな」
「土井先生だったら拷問に違いない希望じゃないそれ?」
「美味しいはずなんだけどなぁ、弾力とかがあってふわふわして……」

確かに僕も練り物は好きなほうです。 というより、食堂のおばちゃんの作る料理であれば何でも食べられる気がします。 しかし特殊な(?)好き嫌いといい神経性胃炎といい、担任の土井先生はまともな人に見えて結構癖があります。 しかし、だからこそアクが強いは組と相性が合うの……かもしれません。
そして僕らがそんなとりとめのないことを話している間に、食堂の入り口が見えてきました。 午前の教科授業では頭をしっかり回転させて勉強していたせいか、すっかりお腹が空いていた僕は嬉々とした気持ちです。 それは真面目な庄左ヱ門も一緒でしょう。
「えぇーっ! おばちゃん今日は練り物入っているの!?」
さっき噂をしていたのに、早速先生の声が聞こえました。 どうやら献立に練り物があることが分かったから、僕ら二人は内心嬉しいと同時に土井先生が大変だろうなとしみじみ思ってしまいました。 運良くきり丸が来て代わりに食べてくれるか、それとも食堂のおばちゃんに折檻されるかの分岐点に今先生は立たれているのだな、と。
食堂に入ると案の定一番奥の席の隅っこに、絶望的なオーラを周囲に撒き散らしている土井先生を見つけました。 目が死んでいました、魚の目のように感情が無さそうな目でした。 こういう姿はたびたび見掛けたことがあったのでびっくりはしませんでしたが、やっぱり気の毒だなと少々感じます。 でも好き嫌いはやっぱり良くありませんよ先生。
うなだれる先生を横目に見ながらも僕らは昼食を受け取り、席に着きました。
今日のお昼の献立は蒲鉾、もやしとホウレン草のおひたし、鰯の蒲焼き丼、たぬき汁です。
『いただきます』
今日も美味しそうな料理を作ってくれてありがとうおばちゃん。 そう思わずにはいられない優しい昼食です。 ちなみに、蒲鉾はちゃんと自作で作っているそうです。 それならなおさら土井先生は食べたほうが良いと思うのですが。

「…………」
「…………」
「……料理が美味しいと、なぜか無言になるよな」
「夢中になっているからさ、きっと」

料理のことは全く興味が無いというわけでもないので、少しだけ、こんな料理が作れたらなあと。 僕自身は否が応でもそんな気持ちにさせられてしまいそうです。 今度おばちゃんに聞きにでも行こうかな。 土井先生は料理を少しずつ食べているものの、蒲鉾だけはしっかりそのまま皿に乗っています。 時折目をキョロキョロそわそわさせているのは、きっときり丸がまだ来ないからでしょう。
僕と庄左ヱ門がひとしきりほとんどの料理を食べ終わり、さぁあとは最後に取っておいたおばちゃん自作で自慢の蒲鉾に箸を伸ばそうとした。 その時でした。

「おばちゃーん! 今日の料理食べに来ましたーっ!!」

食堂に元気な声が響きました。 不意に聞こえてきてしまったので僕はちょっとびっくりしてしまいましたし、庄左ヱ門も目をまん丸にさせました。 どうやら女の子の声のようなので、くの一の組の子だと察しました。 それにしてもやけに活発そうな人物の声だなぁと思います。 なにせ忍術学園のくの一組、通称くのたまの女の子たちというのはとにかく抜け目が無いに尽きるというか、特に僕ら一年は組の生徒にとっては油断してはならない相手でもあり、一つのちょっかいを出してしまえば、絶対に十の報復を仕掛けて僕ら男子生徒をこてんぱんにしてしまうのです。 だから普段は日常生活でたまたま会ったとしても挨拶だけするか、もしくはそのまま通り過ぎるほうが無難と僕自身は考えています。 触らぬ神に祟り無し、くの一の存在はそんなことわざが当てはまるのです。

「くの一の子たちの声かな?」

庄左ヱ門が僕に問いかけました。

「だろうね」

僕は関心がそれほど無い返事をしました。 その声の主が分かりきっていたからです。

「あらそうこちゃん、今日も元気ね」

『そうこちゃん』と呼ばれたその女の子は僕の予想通り、くの一クラス、くのたまの生徒でした。 

「はいっ、今日は教科の勉強だったので頭使ってしまってとてもお腹が空いてそれからー……」
「はいはい、じゃあ今日も特製メニューでね」
「うんっ!」

おばちゃんと親しげに話しているその女の子は、くの一教室の生徒の一人であるそうこちゃんです。 学園内ではちょっとした有名人かもしれません。

「特製メニュー?」

庄左ヱ門は不思議に首を傾げました。 だけど僕はあまり疑問に感じません。

「そうこちゃんって、確かしんべヱと同じぐらいご飯を食うだろ? いやそれ以上かもしれない。 だから最近おばちゃんが特別にメニュー作っちゃったんだよ」
「あぁ……だから最初に御盆いっぱいに丼ご飯大盛十杯を並べて……うわ」

庄左ヱ門が丼を眺めている彼女の目の輝きに少し引いてました。 学園内でも有数の食いしん坊だからこそでしょう、それでくの一なのですから見上げた体質です。
丼とは別の御盆に乗せられたおかずの山がさらに到着するやいなや、そうこちゃんの丸い目の奥の瞳はもはや目の前の昼食しか見てません。

「いただきまーす」

その動作だけはやけに丁寧でありながら、お箸を持てばご飯はガツガツかき込んでおかずも吸い込むようにひょいひょい口へ運んでいった。 丼に盛られた大きな米の山がどんどん削られていく様子に僕は口を半開きにさせられてしまった。 箸を休む暇もなくただひたすら目の前の食べ物に向かう姿が少しだけしんべヱと被りました。 悪く言うと節操が無いような?

「たまに噂で聞くけど……ほんとそのままだなぁ」

庄左ヱ門はそう言うと最後の一個の蒲鉾を口に運んで十分咀嚼すると、御盆を持っておばちゃんのところへ食器を返しに行ってきてしまいました。

「……」

僕は自分の食事を食べることも忘れて、大飯喰らいのくのたまを眺めることに夢中でした。

「そういえば六年生の潮江文次郎先輩があるくの一の生徒の体重を修行の一環として当てようとしたら逆にボコボコにされたって話があったけど、……潮江先輩が言うには『よく食べる奴だったから戒めのために当てようとしただけなんだがなぁ』なんてことを言ってたな」

もしかして彼女がそんなことをしたのでしょうか。 見る限り体格も顔も女の子らしい華奢な方なのに、あの六年生でしかもよりによってあの潮江先輩をこてんぱんにできる子だっただなんて。 やっぱりくのたまは普通の女の子じゃないとしみじみ思います。

「んーっ、美味しかったー……」
「(って、もう食べ終わってるよ)」