買い物事件
ヤスナにクラトが来て、カヤナと三人で住み始めた頃のこと。
「アキ、買出し手伝うよ!」
「本当?ありがとクラトさん!」
街は夕暮れ、皆夕飯への買出しやらで人で賑わっている。人ごみを掻き分けながらアキとクラトは楽しく雑談しながら食材や生活に必要なものを
買い、クラトはそれを抱え、アキは久々に楽しいタカマハラでの思い出やあれからの皆の話、雨の中クラトがアキを探し迎えに来てくれたことなどお互い笑顔で話していた。
するとポツポツっと雨が降り出した。
「なんだかスコールが来そうだな、家までまだ結構かかるし、ちょっとその辺で雨宿りしよう」
「そうだね...」
二人が小走りに雨を防げる路地裏に入ると、ひとまず荷物を置き、クラトは先ほど買ったばかりのこちらでのとりあえずの生活に必要なクラト用のシーツを
取り出し濡れたアキを優しく拭いてやる。
「クラトさん!これ、さっき買ったばかりのクラトさん用のリネン...!」
「アキが風邪引いたら困るだろ?」
「でも....クラトさんだってビショビショなのに...」
「俺は平気だって!鍛えてるしな!それに、アキが寝込んでカヤナが料理なんてしたら全員寝込んじまうよ」
「あは、確かに、...ありがと」
クスクスと笑い合う様子はまるで恋人のように見える。そんな二人の背後から......
「あ~あ~、見せつけてくれるねぇ、でもヤるなら宿でもとってくんないとこの辺は物騒ですぜぇお二人さん」
クラトたちがいる路地の奥から3人のいかにも物騒な大柄な男たちがニヤニヤと近づいて来た。目の前に現れると酒とタバコの匂いとカチャカチャと腰にぶら下げている数本のナイフが見えた。
「何だお前たちは!?」
クラトはアキを庇うようにして前へ出た。
「何って、ちょっと金に困ったただのチンピラさぁ、おめぇ見たところ良い身なりしてんじゃねぇか。しかも女連れときてやがる。こんなおいしい獲物はねぇよなぁ」
先頭にいる無精ひげに金髪の男がナイフを片手に気味悪く笑いながら更に距離を縮めてくる。確かにクラトはヤスナに着たばかりでこちらで今日目立たないよう普段着を買ったばかりで
今見につけているのは一国の王を目の前にしても恥ずかしくない衣装だった。
「こんな所にわざわざ来るなんて世間知らずのお坊ちゃんか?夜の路地裏なんてしかも女連れって...っと、おいよく見たら良い女連れてんじゃねぇか」
男の視線がアキに移され、その目には汚らしい欲望の影が浮かんでいる。アキはクラトの後ろに隠れながら怯えクラトの服をぎゅっと掴んでいる。
「やめろ。手を出すきならこちらも容赦しない」
そういうとクラトはマントで隠れていた剣を抜き相手に向ける。
「ほう、良い剣だな。お飾りにしとくにゃ勿体ねぇ、高く売れそうだ。」
「お飾りかどうか試したいのならかかって来い!」
クラトが叫んだ瞬間アキは背後からの気配にハッと息を飲んだ、が、時すでに遅し、いつの間にかクラトたちの前にいた男たち3人が2人になり、もう一人が今すでにアキの首に
ナイフをあて腕を後ろに抑えられた状態で捕らえられている。
「....やっ...やめて放して...」
「アキ....!!!!!....っこの....汚いぞ...!!!!」
「隙をみせる方が悪いってね、残念。おい、剣を渡して大人しくしな」
アキの命が掛かっている以上クラトにはどうすることも出来ず言われるまま剣を下ろし、目の前にいた男の支持で別の男に両手と頭を抑えられ地面に叩きつけられた。
「クラトさん!!!!!!」
アキが叫ぶが後ろの男に押さえられて身動きひとつとれない。クラトは苦痛の表情を浮かべたまま地面に押し付けられたままだ。
クラトの前にいた男がナイフを手でクルクルと回しながらアキの方へと近づいてゆく。
「.....っやめろ!!アキには手を出すな!!斬るなら俺だけにしろ!!」
クラトの叫びに男はチラッと振り向き冷たい笑いでこう言った。
「斬るぅ?おめぇを斬ったって何の金にもなりゃしねえよ。おめぇの価値はその剣と持ち金がいいとこだろぅが。が、この可愛い子ちゃんは違げぇなぁ...」
そう言った男の視線に身のよだつ恐怖を感じアキはその冷たくおぞましい視線から目を逸らせずに固まっている。
「こんな雨だぁ...せいぜい、楽しませてくれよ、なぁ?!」
男の手がアキの上着に乱暴に伸ばされもう片方の手で持っていたナイフが衣を真っ二つに切り裂いた。
「いやぁ!!!!」
「アキ...!!くそっ!!放せ!!やめろぉ!!!!!」
クラトの叫びも必死の抵抗も虚しく裂けた衣はアキの華奢な肩からずれ、真っ白な胸元が覗く。
「....こりゃ上玉だぜぇ、なぁ?」
三人の男たちがニヤニヤ笑いながらアキの乱れた衣装から見える肢体に視線を集中させる。アキはただただ俯き、その頬からは涙がつたっていた。
男がアキの顎を引き上げ笑みを帯びながらアキの涙で濡れた頬をいやらしく舐め上げ、ごつごつとした手は胸を鷲掴みにした...瞬間。
「「....っう!!!!...あっ.......ぐぅ..っは....」」
一瞬何が起きたのかその場にいた全員が分からなかったが、アキとクラトの自由を奪っていた男たちが突然何かの衝撃とともに呻きその場に崩れ落ちた。
アキは力が抜けその場に崩れ落ち、クラトがすぐに駆け寄ろうとした。
「寄るな」
座り込むアキの前に立つ覚えのあるこの声...
「少しでも近づけば殺す。まぁ、いずれ殺すなら今殺しても同じか」
「..?....アクト!!」
クラトの目の前に立ちはだかったこの救世主とは決して呼べない男は何を隠そう実の双子の弟、そしてクラトの命を常に狙っている人物だ。
「死ね」
「ちょっ.....!!ちょっと待っ...!!」
「待て」
クラトの制止が間に合うないと思った瞬間、今度はクラトの後ろから凛々しい女の声がしその人物の持つ剣がアクトに向けられている。
「カヤナ!!」
クラトが驚き見上げたその人物はアキの親友でもありクラトの敬愛する同居人の戦女神、カヤナだった。厳しい目つきでアクトとカヤナが睨み合う。
「今お前がもっとも殺したい相手は突然の我々の邪魔に怖気づき逃げようとしているが?お前がクラトを今ここで殺るのならその間に私があの薄汚い下郎を消す。」
二人の仲間が一瞬で切り殺されたのを目の当たりにした男は怖気づいた様子でこの隙にといわんばかりにゆっくりと後ずさっているのをカヤナは指摘し、アクトの心を見抜いたかのように
剣を下ろし座り込んだアキへ近づくとその場にあったシーツでアキを優しく包んだ。アキはあまりのショックと安堵でカヤナの胸に泣き崩れた。
「アキ....怖かったろう...大丈夫だもう私がいる、お前は私がいつでも守ってやる。帰ろう。」
「アキ...大丈夫..っ!」
「アキ、買出し手伝うよ!」
「本当?ありがとクラトさん!」
街は夕暮れ、皆夕飯への買出しやらで人で賑わっている。人ごみを掻き分けながらアキとクラトは楽しく雑談しながら食材や生活に必要なものを
買い、クラトはそれを抱え、アキは久々に楽しいタカマハラでの思い出やあれからの皆の話、雨の中クラトがアキを探し迎えに来てくれたことなどお互い笑顔で話していた。
するとポツポツっと雨が降り出した。
「なんだかスコールが来そうだな、家までまだ結構かかるし、ちょっとその辺で雨宿りしよう」
「そうだね...」
二人が小走りに雨を防げる路地裏に入ると、ひとまず荷物を置き、クラトは先ほど買ったばかりのこちらでのとりあえずの生活に必要なクラト用のシーツを
取り出し濡れたアキを優しく拭いてやる。
「クラトさん!これ、さっき買ったばかりのクラトさん用のリネン...!」
「アキが風邪引いたら困るだろ?」
「でも....クラトさんだってビショビショなのに...」
「俺は平気だって!鍛えてるしな!それに、アキが寝込んでカヤナが料理なんてしたら全員寝込んじまうよ」
「あは、確かに、...ありがと」
クスクスと笑い合う様子はまるで恋人のように見える。そんな二人の背後から......
「あ~あ~、見せつけてくれるねぇ、でもヤるなら宿でもとってくんないとこの辺は物騒ですぜぇお二人さん」
クラトたちがいる路地の奥から3人のいかにも物騒な大柄な男たちがニヤニヤと近づいて来た。目の前に現れると酒とタバコの匂いとカチャカチャと腰にぶら下げている数本のナイフが見えた。
「何だお前たちは!?」
クラトはアキを庇うようにして前へ出た。
「何って、ちょっと金に困ったただのチンピラさぁ、おめぇ見たところ良い身なりしてんじゃねぇか。しかも女連れときてやがる。こんなおいしい獲物はねぇよなぁ」
先頭にいる無精ひげに金髪の男がナイフを片手に気味悪く笑いながら更に距離を縮めてくる。確かにクラトはヤスナに着たばかりでこちらで今日目立たないよう普段着を買ったばかりで
今見につけているのは一国の王を目の前にしても恥ずかしくない衣装だった。
「こんな所にわざわざ来るなんて世間知らずのお坊ちゃんか?夜の路地裏なんてしかも女連れって...っと、おいよく見たら良い女連れてんじゃねぇか」
男の視線がアキに移され、その目には汚らしい欲望の影が浮かんでいる。アキはクラトの後ろに隠れながら怯えクラトの服をぎゅっと掴んでいる。
「やめろ。手を出すきならこちらも容赦しない」
そういうとクラトはマントで隠れていた剣を抜き相手に向ける。
「ほう、良い剣だな。お飾りにしとくにゃ勿体ねぇ、高く売れそうだ。」
「お飾りかどうか試したいのならかかって来い!」
クラトが叫んだ瞬間アキは背後からの気配にハッと息を飲んだ、が、時すでに遅し、いつの間にかクラトたちの前にいた男たち3人が2人になり、もう一人が今すでにアキの首に
ナイフをあて腕を後ろに抑えられた状態で捕らえられている。
「....やっ...やめて放して...」
「アキ....!!!!!....っこの....汚いぞ...!!!!」
「隙をみせる方が悪いってね、残念。おい、剣を渡して大人しくしな」
アキの命が掛かっている以上クラトにはどうすることも出来ず言われるまま剣を下ろし、目の前にいた男の支持で別の男に両手と頭を抑えられ地面に叩きつけられた。
「クラトさん!!!!!!」
アキが叫ぶが後ろの男に押さえられて身動きひとつとれない。クラトは苦痛の表情を浮かべたまま地面に押し付けられたままだ。
クラトの前にいた男がナイフを手でクルクルと回しながらアキの方へと近づいてゆく。
「.....っやめろ!!アキには手を出すな!!斬るなら俺だけにしろ!!」
クラトの叫びに男はチラッと振り向き冷たい笑いでこう言った。
「斬るぅ?おめぇを斬ったって何の金にもなりゃしねえよ。おめぇの価値はその剣と持ち金がいいとこだろぅが。が、この可愛い子ちゃんは違げぇなぁ...」
そう言った男の視線に身のよだつ恐怖を感じアキはその冷たくおぞましい視線から目を逸らせずに固まっている。
「こんな雨だぁ...せいぜい、楽しませてくれよ、なぁ?!」
男の手がアキの上着に乱暴に伸ばされもう片方の手で持っていたナイフが衣を真っ二つに切り裂いた。
「いやぁ!!!!」
「アキ...!!くそっ!!放せ!!やめろぉ!!!!!」
クラトの叫びも必死の抵抗も虚しく裂けた衣はアキの華奢な肩からずれ、真っ白な胸元が覗く。
「....こりゃ上玉だぜぇ、なぁ?」
三人の男たちがニヤニヤ笑いながらアキの乱れた衣装から見える肢体に視線を集中させる。アキはただただ俯き、その頬からは涙がつたっていた。
男がアキの顎を引き上げ笑みを帯びながらアキの涙で濡れた頬をいやらしく舐め上げ、ごつごつとした手は胸を鷲掴みにした...瞬間。
「「....っう!!!!...あっ.......ぐぅ..っは....」」
一瞬何が起きたのかその場にいた全員が分からなかったが、アキとクラトの自由を奪っていた男たちが突然何かの衝撃とともに呻きその場に崩れ落ちた。
アキは力が抜けその場に崩れ落ち、クラトがすぐに駆け寄ろうとした。
「寄るな」
座り込むアキの前に立つ覚えのあるこの声...
「少しでも近づけば殺す。まぁ、いずれ殺すなら今殺しても同じか」
「..?....アクト!!」
クラトの目の前に立ちはだかったこの救世主とは決して呼べない男は何を隠そう実の双子の弟、そしてクラトの命を常に狙っている人物だ。
「死ね」
「ちょっ.....!!ちょっと待っ...!!」
「待て」
クラトの制止が間に合うないと思った瞬間、今度はクラトの後ろから凛々しい女の声がしその人物の持つ剣がアクトに向けられている。
「カヤナ!!」
クラトが驚き見上げたその人物はアキの親友でもありクラトの敬愛する同居人の戦女神、カヤナだった。厳しい目つきでアクトとカヤナが睨み合う。
「今お前がもっとも殺したい相手は突然の我々の邪魔に怖気づき逃げようとしているが?お前がクラトを今ここで殺るのならその間に私があの薄汚い下郎を消す。」
二人の仲間が一瞬で切り殺されたのを目の当たりにした男は怖気づいた様子でこの隙にといわんばかりにゆっくりと後ずさっているのをカヤナは指摘し、アクトの心を見抜いたかのように
剣を下ろし座り込んだアキへ近づくとその場にあったシーツでアキを優しく包んだ。アキはあまりのショックと安堵でカヤナの胸に泣き崩れた。
「アキ....怖かったろう...大丈夫だもう私がいる、お前は私がいつでも守ってやる。帰ろう。」
「アキ...大丈夫..っ!」