買い物事件
アキとカヤナの傍へ駆け寄ろうとしたクラトにカヤナとアクト二人の剣が向けられた。
「な、カヤナまで...?!」
「アキをこんな危険にさらすなぞ今のお前には失望した。今のお前に私のアキに触れることは許さん。お前は一人で帰れ」
「そ、そんな....たしかに...俺が不甲斐無かったのは、事実だけど....すまない...」
「まったく、帰りが遅いと思って街を探せばアクトには出くわしお前が連れ去ったと解釈してるは、誤解とはいえ見つけてみればこのざま。せいぜい精進することだな。さぁアキ帰ろう」
「....うん、でもクラトさんも守ってくれようとしたんだよカヤナ、後で許してあげてね...?」
「ふん、こやつ次第だな。」
「.....はぁ....すまない」
落ち込みながらカヤナとアキの後を離れて歩き出したクラトに後方から冷酷な声が聞こえた。
「クラト。命拾いしたな、だが今後アキに少しでも近づけば殺す。ルアの日など関係なくだ。」
「............」
アクトのその言葉に今回のクラトは返す言葉もなく無言で立ち去った。というよりアクトの人ではない、鬼神のようなオーラに何か圧倒されるようなものを感じたからだ。
一人残されたチンピラはただ腰が抜けて動けずアクトの視線がこちらに向き直った時には自害すべきだったかもしれない...だがそうもできないのは彼も感じていた。一歩でも動けば
殺されると。
「楽に死ねると思うなよ....そうだな...まずは目か耳か...まぁどうせ最後には骨すら残さん」
「......っひぃ...や.....やめ.....」
アクトの目は既に正気の沙汰ではなくどこか笑っているようにも見える。何も聞こえてなど入ない。
ただその殺意は今までの彼の人生でもっとも制御不能であったのだろうものだ。
雨音の響く中、にぎやかな夜の街の人々の笑い声に混じったその地獄の断末摩は夜明けまで続いた。
To be continue....