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こらぼでほすと 休暇2

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翌日、寺へ戻って、バタバタと親猫は荷造を始めた。本日中に発送しておけば、どうに

か、三蔵たちが本山へ到着する頃に、荷物も着くはずだからだ。もちろん、坊主は何もし

ない。しばらく、堅苦しい生活だから、と、パチンコに出向いていたりする。

「悟空、勉強道具は、これだけか? 」

「うん、あと、お菓子とカップめん。」

「それは、別の箱にするから、そこに置け。ここには、酒を入れる。」

 衣類と食料、飲料なんかを、纏めて放り込み、箱を六個作ると、近くのコンビニまで運

ぶ。それを手続きしたら、一段落だ。荷物は力自慢の悟空が運んでくれたから、発送伝票

を書いて支払いを済ませれば完了だ。

「アイス買おうぜ、ママ。」

「冷凍庫のは、もう尽きてるのか? 」

「全然ない。」

 暑い盛りなので、冷凍庫に詰めて置いた冷菓も、きれいさっぱり食われたらしい。三週

間も家を空けると保存食もなくなっている。しばらくは、悟空がいないから、その間に、

また作って詰め込んでおけばいいな、と、ニールは、ついでにスーパーへも足を延ばして

食料も買い込んだ。

 ティエリアは、予告通り、本日から通いでラボへ出勤している。朝から、お弁当と水筒

の入った小さなカバンを持って、ハイネと出勤した。夜には、また戻ってくる。





 ラボの一角で、キラが陣頭指揮を取る形で作業をしているのだが、途中で飽きたのか、

管制室のほうへやってきた。

「ずるいよね? ママったらさ。ティエリアとハイネにだけ、お弁当してるんだよ? ど

う、思う? ムウさん。」

 お昼になって、初めて判明したのだが、ティエリアとハイネは、弁当持ちだった。中身

は、ちまちまと色よい配置のおかずと、俵型のおにぎりだったのだが、大明神様は羨まし

くてしょうがなかった。どうせなら、僕のもしてくれれば良かったのにぃー、と、文句を

言いたいのを、ぐっと我慢して、鷹のところへやつあたりに来た。

「そりゃ、頼めばしてくれるだろうけどな。キラ? わかってんだろ? 」

 キラが、「食べたい」 と、言えば、作ってくれるのが、親猫だ。ただし、その場合、

他のシンたちの分も作ることになって作業量も増えてしまう。まだ、梅雨明けして間もな

いから、そういう重労働をさせると危ないのは、キラだってわかっている。だから、ティ

エリアに何も言わなかったし、鷹相手にやつあたりしているのだ。

「わかってるよ。」

「紫子猫ちゃんが帰ったら、存分に甘えればいいだろう。どうせ、七月一杯のことだ。」

 ティエリアは、ヴェーダの作業領域の拡大のために、滞在を延長している。その作業が

終われば、組織へ戻る。予定では、七月の末には終わることになっていた。

「そこまでは手伝わせないよ。ティエリアは、仮想空間のドッキングまで。」

「ああ? 」

「ヴェーダの生体端末の特徴は二個一なんだ。ふたつで、ひとつ。だから、ティエリアに

も対になる生体端末があるからね。載せてからの細工は、ティエリアには見せられないん

だ。」

 ヴェーダが有している大量の生体端末は、ふたつずつ同じものが揃っている。おそらく

、ひとつでは外部から侵食された場合、そちらに取り込まれてしまうから、それを、もう

一方が察知して防御するための意図があるらしい。ティエリアにも、おそらく、ヴェーダ

に、同じ特徴というか遺伝子というか、そういうのを持っている生体端末があるはずで、

それと連動されると、ティエリアが記憶していることはバレてしまうから、キラは、その

部分でティエリアを除外することにしていた。

「二個一? ほー、あんなキレイな紫子猫ちゃんが、もう一匹存在するのか。興味が湧く

な。」

「そこまで精査してないから、とこにいるかわかんないけど、もし、見つけたら、ムウさ

んが陥としてくれる? そしたら、ティエリアの情報は流れない。」

「いいぞ、それは、お兄さんに任せなさい。」

「それは、まだ、ちょっと先だからね。とりあえず、今の作業を終わらないと、ちまちま

生体端末なんて探してられないや。」

 ずぞーっと、クリームソーダを飲み干して、キラも立ち上がる。やつあたりは終わった



「紫子猫ちゃんは、自分の二個一の相手は知ってるのか? キラ。」

「ううん、ティエリアは、そういう情報については、一切合切、消去されてるみたい。生

体端末であることも、おぼろげながら理解しているってぐらいだから、ティエリアには尋

ねないでね? 」

 マイスターであることを優先されているらしく、ティエリアは、自身が生体端末だとい

う自覚はない。何かしら違うとは理解しているのだが、人間ではないとは思っていないの

だ。で、なぜか、親猫の、そのことを知っているらしく、ティエリアのことを人間扱いし

ていたりする。生体端末ではなくて感情のある人間として親猫は、紫子猫を扱っているの

で、紫子猫も人間だと思いこんでいるらしい。そうでなければ、あんなに懐かないに違い

ない。ティエリアが生体端末だという事実は、キラとアスランぐらいしか知らないことだ

。まあ、じじいーずには教えても害はないだろう、と、口を開いた。これで、じじいーず

には伝わるはずだ。

 鷹のほうも、それは、ああ、と、頷いて了承する。『吉祥富貴』は普通ではない。いろ

んなおかしなのが集っているのだ。人類じゃないくらい、どうということでもない。

「で、一大メインイベントは、いつだ? 」

「土曜日から開始して火曜日には終わる予定。早ければ、月曜日になんとかなると思う。



「人員の補充は? 」

「今のメンバーで十分だよ。ムウさんたち、じじいーずには出番はないから。」

「了解。ハイネは、じじいーずだぞ?」

「そういえばそうだった。ハイネだけは出番がある。」

 じゃあねーーと手をヒラヒラと振って大明神様は、管制室を後にする。それを見送って

、鷹は、さて、ここは、お父さんの出番だな、と、連絡することにした。土曜から四日間

、紫子猫もラボに引き篭もる。それ自体はいいのだが、ちょうど、土曜から三蔵たちは本

山へ遠征だ。そうなると、親猫が、ひとりになる。いつもなら、ハイネが、そこに居候す

るのだが、今回は、キラの手伝いで、ハイネもラボに引き篭もりだから、そこいらの調整

は、トダカにしてもらうことにした。どうせ、トダカーズラブの面々も土日には大挙して

いるだろうから、寺の掃除でもしてもらうということにしてもらえばいいだろう。

「トダカさん? 俺。ちょっと、そちらのお嬢さんのことでお願いがあるんだけど? 」

 鷹が用件を切り出そうとしたら、「うちの子をデートに誘いたいなんてのは却下だよ?

 鷹さん。」 と、切り替えされて大笑いした。



 土曜日の朝に、沙・猪家夫夫が寺へ顔を出した。ハイネと紫子猫は、ラボへ出勤した後

で、比較的落ち着いたことになっている。

「明日、本堂の掃除に、舅と、その一団が来る。」

「え? 掃除? 」

「ああ、おまえだけだと広すぎるから手伝ってくれるんだ。」
作品名:こらぼでほすと 休暇2 作家名:篠義