ぐらにる 流れ クッキー
そのうち逢えなくなるかもしれない。私たちは、共に違う立場で存在するから、あの組織が動き出せば、姫も私も、個人のことなんて考える暇もなくなるだろう。それまでの間は、こうやって祝ってくれる言葉を、姫から与えられたいと願うのは、大それたことではないだろう。
きっと、姫はプロポーズしても断るだろう。それでもいい。ただ、その気持ちでいることだけは伝えたい。
いつか、本当に平和になったら、姫と暮らしたい。眠れない日を与えたくない。
すべてが終わって、私と姫が生きていたら・・・・その時は離さない。
「ビリー、今夜は早仕舞いしてくれ。」
「わかってるよ、グラハム。じゃあ、さくさくと仕事をこなすことにしよう。きみも、さっさとカリキュラムを消化しておいで。」
今夜の約束をして、私は、その場から、彼の用意してくれたプレゼントと共に職場へ出向いた。大切な姫からの贈り物は、少しずつ噛み締めるつもりで、しばらくは封印する。一日に、ひとつずつ。次に、姫と逢えるまで、大切に、その言葉を食べたい。
作品名:ぐらにる 流れ クッキー 作家名:篠義