こらぼでほすと 休暇3
『吉祥富貴』は月曜日は休みになっていた。どう考えても、キラの仕事は終わらないと
予測されていたし、終わったとしても完徹二日では使い物にならない。まあ、そんなわけ
で店はないので、ラボに詰めているもの以外は、三連休になっている。
日曜は、トダカーズラブが大集合して、寺の掃除をしてくれた。ほぼボランティアだ。
まあ、飲み食いは、寺持ちにさせてもらったが、大した事はないし、半分くらいはトダカ
が負担してくれている。翌日、仕事のものは、夜まで騒いで帰ったが、本日が休暇なトダ
カーズラブは居残っていた。アイシャは、日曜の夜に一端、引き上げたので、月曜の朝は
、静かなものだ。
まず、寺の女房が起きてこない。昨日、なんだかんだと動き回っていたから、ダウンし
ている。予想はしていたから、トダカも慌てない。ただ疲れて寝ているだけなのを確認す
ると放置する。
「ドクターは呼ばなくて、よろしいんですか? トダカさん。」
トダカーズラブの残っていた一人が、そう言うが、トダカは、のんびりと新聞に目を通
しつつ、「ほっておきなさい。」 と、言うだけだ。もちろん、朝食の用意をしているの
は、残った三名で、彼が本日のトダカの担当だ。アマギは、仕事で帰ったので、ここには
いない。
「それから、私は、こっちで滞在するから、きみたちは解散だ。」
これといって用事もないし、留守番にデカイ男が三人も必要ではない。せっかくの休み
なのだから、自由にすればいいだろう、と、トダカが命じたら、「ご勘弁をっっ。」 と
、土下座で断られた。滅多にないジャージ姿のトダカとか、シャワーを浴びた洗い髪のト
ダカとか、いろいろレアな映像を目に焼きつけるために、傍に張り付いていたいらしい。
「ご用がなくても、本日は、トダカさんの当番は、我々です。邪険にしないでください。
」
「アマギさんほどの技量はなくとも、我らもトダカさんへの忠誠(=愛)は、同じモノです
。」
「夕方まで、ご一緒させてください。」
と、頭を下げられると、トダカも、強行に命じられない。しょうがない、好きにしなさ
い、と、折れた。トダカにしてみれば、別に居ても居なくても困らない。
午後前に、おじやを作り、トダカが、脇部屋に顔を出す。ニールは、ぐーすかと寝てい
て、まだ目を覚ます様子がない。とはいえ、そろそろ水分補給をさせないと、と、トダカ
はは叩き起こすことにした。声をかけたぐらいでは起きないので、身体を揺すると、ぼぉ
やーっと目が開いた。
「・・・あれ?・・・」
「やれやれ、ようやくお目覚めかな? 水分だけ摂ってくれないか? 娘さん。」
ペットボトルを差し出されて、はい、と、受け取ったものの、なんか変だなーと、柱の
時計に目を向けた。
「え? 」
すでに、時刻は昼前だ。慌てて飛び起きたら、トダカに止められた。
「疲れているんだから、ゆっくりしてなさい。」
「いやいやいや、俺、すっげぇー寝坊じゃないですか。朝は? トダカさん。」
「うちのが三人ほど残ってるから、あれらが作った。これは、私の特製。はい、召し上が
れ。」
少し冷まされたおじやのどんぶりを渡されて、「すいません。」 と、ニールも苦笑す
る。昨晩、トダカーズラブの三名が泊まるということになって、急遽、客間の仕度をして
、風呂を沸かしたり、風呂上りの晩酌用の肴の用意をしたり、と、動きまくっていた。そ
れまでも、昼と夜の境内のバーベキューも焼いたり、飲み物を補充したりと立ち働きだっ
たから、疲れたという自覚は、ニールにもあった。
「どうして、そう働き過ぎるんだろうね? きみは。」
もぐもぐと、匙でおじやを食べ始めたニールに、トダカは笑う。ちっとは大人しくして
いればいいだろうに、先に身体が動いてしまう。
「だって、みなさん、ボランティアで、うちの掃除してくれてんだから、こっちとしては
、目一杯フォローするべきでしよう。」
「目一杯ねー、半分くらいにしてくれないか? 私が心配だ。」
「わかってるんですけど、ついつい手が出ちまうみたいで・・・・すいません。」
「うちのものは、みんな、きみのことを知ってるから気にしなくていいんだよ。今朝、き
みが起きてこないから、ドクターを呼ぶって心配したほどだ。」
「それは大袈裟な。」
「でも、そういう感じで心配はしてるんだ。だから、もっと力を抜いてなさい。」
かなりトダカーズラブの面々とも面識は増えた。それに、トダカのところへ戻っていて
も寝込んでいることもあるから、そういう意味では、ニールの不調は知れている。もしゃ
もしゃとおじやを平らげて、クスリを飲むと、また、横になる。
「夕方には復活します。トダカさんも仕事でしょ?」
「いや、今日は休みだ。キラ様たちが、あちらに引き篭もっているし、予約もなかったか
ら休みにしたんだ。留守番は、私がするから、娘さんは寝ておいで。」
「うまくいきそうなんですか? 」
「延長の連絡はないから、スムーズに進行してるんじゃないかな。予定では、今夜、ティ
エリアくんは戻ってくるはずだ。」
ラボのほうから連絡はない。もし、難航しているなら、明日、店を休みにする必要があ
るから、アスランから連絡が入る手筈になっている。この時間になっても、何もないなら
、どうにか進んでいるだろうと、トダカは説明する。
「そうですか。」
「ティエリアくんが戻ったら、存分に甘やかしてあげないとね? そのためにも、体力を
回復させなきゃダメだ。」
「わかりました。大人しくしてますよ。・・・・・ティエリアと、パンダを見に行こうと
思ってんです。」
「はははは・・・・そりゃいいね。きっと、見たことがなくて、びっくりするだろう。」
そう同意して、トダカは部屋を出たのだが、ただ、気になるのは天候と温度だ。この間
は、パンダ舎だけを見て来たから時間も短かった。だが、ニールのことだから、また目一
杯楽しませてやろうとするだろう。そうなると直射日光を大量に浴びてダウンしそうな気
がする。誰かついていってやらないといけないだろうな、と、考えつつ居間に戻った。さ
すがに、つきそいにトダカーズラブは使えない。そうなると、息子たちか間男あたりに頼
むことになる。
・
・
ラボでの作業は佳境を通り越した。後は、キラが繋いだ部分を内部から補強したり、組
織からのアクセスができるように、リンクさせるだけで、これには人手はいらない。
「みんな、後は僕とアスランでやるから、作業を終えて。」
パコパコと勢い良くキーボードを叩きながら、キラが声を張り上げる。それと同時に、
フォローしていたほうは、作業を中断した。ここからが、キラにとっては本番だ。フォロ
ーのフォローなんてやっている余裕はない。アスランも、「すまない、俺たちは、このま
ま続けるから解散してくれ。」 と、声をかけただけだ。
「だが、キラ。組織とリンクするなら、俺がやったほうが早いぞ。」
予測されていたし、終わったとしても完徹二日では使い物にならない。まあ、そんなわけ
で店はないので、ラボに詰めているもの以外は、三連休になっている。
日曜は、トダカーズラブが大集合して、寺の掃除をしてくれた。ほぼボランティアだ。
まあ、飲み食いは、寺持ちにさせてもらったが、大した事はないし、半分くらいはトダカ
が負担してくれている。翌日、仕事のものは、夜まで騒いで帰ったが、本日が休暇なトダ
カーズラブは居残っていた。アイシャは、日曜の夜に一端、引き上げたので、月曜の朝は
、静かなものだ。
まず、寺の女房が起きてこない。昨日、なんだかんだと動き回っていたから、ダウンし
ている。予想はしていたから、トダカも慌てない。ただ疲れて寝ているだけなのを確認す
ると放置する。
「ドクターは呼ばなくて、よろしいんですか? トダカさん。」
トダカーズラブの残っていた一人が、そう言うが、トダカは、のんびりと新聞に目を通
しつつ、「ほっておきなさい。」 と、言うだけだ。もちろん、朝食の用意をしているの
は、残った三名で、彼が本日のトダカの担当だ。アマギは、仕事で帰ったので、ここには
いない。
「それから、私は、こっちで滞在するから、きみたちは解散だ。」
これといって用事もないし、留守番にデカイ男が三人も必要ではない。せっかくの休み
なのだから、自由にすればいいだろう、と、トダカが命じたら、「ご勘弁をっっ。」 と
、土下座で断られた。滅多にないジャージ姿のトダカとか、シャワーを浴びた洗い髪のト
ダカとか、いろいろレアな映像を目に焼きつけるために、傍に張り付いていたいらしい。
「ご用がなくても、本日は、トダカさんの当番は、我々です。邪険にしないでください。
」
「アマギさんほどの技量はなくとも、我らもトダカさんへの忠誠(=愛)は、同じモノです
。」
「夕方まで、ご一緒させてください。」
と、頭を下げられると、トダカも、強行に命じられない。しょうがない、好きにしなさ
い、と、折れた。トダカにしてみれば、別に居ても居なくても困らない。
午後前に、おじやを作り、トダカが、脇部屋に顔を出す。ニールは、ぐーすかと寝てい
て、まだ目を覚ます様子がない。とはいえ、そろそろ水分補給をさせないと、と、トダカ
はは叩き起こすことにした。声をかけたぐらいでは起きないので、身体を揺すると、ぼぉ
やーっと目が開いた。
「・・・あれ?・・・」
「やれやれ、ようやくお目覚めかな? 水分だけ摂ってくれないか? 娘さん。」
ペットボトルを差し出されて、はい、と、受け取ったものの、なんか変だなーと、柱の
時計に目を向けた。
「え? 」
すでに、時刻は昼前だ。慌てて飛び起きたら、トダカに止められた。
「疲れているんだから、ゆっくりしてなさい。」
「いやいやいや、俺、すっげぇー寝坊じゃないですか。朝は? トダカさん。」
「うちのが三人ほど残ってるから、あれらが作った。これは、私の特製。はい、召し上が
れ。」
少し冷まされたおじやのどんぶりを渡されて、「すいません。」 と、ニールも苦笑す
る。昨晩、トダカーズラブの三名が泊まるということになって、急遽、客間の仕度をして
、風呂を沸かしたり、風呂上りの晩酌用の肴の用意をしたり、と、動きまくっていた。そ
れまでも、昼と夜の境内のバーベキューも焼いたり、飲み物を補充したりと立ち働きだっ
たから、疲れたという自覚は、ニールにもあった。
「どうして、そう働き過ぎるんだろうね? きみは。」
もぐもぐと、匙でおじやを食べ始めたニールに、トダカは笑う。ちっとは大人しくして
いればいいだろうに、先に身体が動いてしまう。
「だって、みなさん、ボランティアで、うちの掃除してくれてんだから、こっちとしては
、目一杯フォローするべきでしよう。」
「目一杯ねー、半分くらいにしてくれないか? 私が心配だ。」
「わかってるんですけど、ついつい手が出ちまうみたいで・・・・すいません。」
「うちのものは、みんな、きみのことを知ってるから気にしなくていいんだよ。今朝、き
みが起きてこないから、ドクターを呼ぶって心配したほどだ。」
「それは大袈裟な。」
「でも、そういう感じで心配はしてるんだ。だから、もっと力を抜いてなさい。」
かなりトダカーズラブの面々とも面識は増えた。それに、トダカのところへ戻っていて
も寝込んでいることもあるから、そういう意味では、ニールの不調は知れている。もしゃ
もしゃとおじやを平らげて、クスリを飲むと、また、横になる。
「夕方には復活します。トダカさんも仕事でしょ?」
「いや、今日は休みだ。キラ様たちが、あちらに引き篭もっているし、予約もなかったか
ら休みにしたんだ。留守番は、私がするから、娘さんは寝ておいで。」
「うまくいきそうなんですか? 」
「延長の連絡はないから、スムーズに進行してるんじゃないかな。予定では、今夜、ティ
エリアくんは戻ってくるはずだ。」
ラボのほうから連絡はない。もし、難航しているなら、明日、店を休みにする必要があ
るから、アスランから連絡が入る手筈になっている。この時間になっても、何もないなら
、どうにか進んでいるだろうと、トダカは説明する。
「そうですか。」
「ティエリアくんが戻ったら、存分に甘やかしてあげないとね? そのためにも、体力を
回復させなきゃダメだ。」
「わかりました。大人しくしてますよ。・・・・・ティエリアと、パンダを見に行こうと
思ってんです。」
「はははは・・・・そりゃいいね。きっと、見たことがなくて、びっくりするだろう。」
そう同意して、トダカは部屋を出たのだが、ただ、気になるのは天候と温度だ。この間
は、パンダ舎だけを見て来たから時間も短かった。だが、ニールのことだから、また目一
杯楽しませてやろうとするだろう。そうなると直射日光を大量に浴びてダウンしそうな気
がする。誰かついていってやらないといけないだろうな、と、考えつつ居間に戻った。さ
すがに、つきそいにトダカーズラブは使えない。そうなると、息子たちか間男あたりに頼
むことになる。
・
・
ラボでの作業は佳境を通り越した。後は、キラが繋いだ部分を内部から補強したり、組
織からのアクセスができるように、リンクさせるだけで、これには人手はいらない。
「みんな、後は僕とアスランでやるから、作業を終えて。」
パコパコと勢い良くキーボードを叩きながら、キラが声を張り上げる。それと同時に、
フォローしていたほうは、作業を中断した。ここからが、キラにとっては本番だ。フォロ
ーのフォローなんてやっている余裕はない。アスランも、「すまない、俺たちは、このま
ま続けるから解散してくれ。」 と、声をかけただけだ。
「だが、キラ。組織とリンクするなら、俺がやったほうが早いぞ。」
作品名:こらぼでほすと 休暇3 作家名:篠義