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こらぼでほすと 休暇3

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 先日、大量に作り置きしたと言われていた凍らせた果物を冷凍庫で確認した。確かに、

みかん、もも、ぶどう、バナナとメモされた袋がある。これなら、熱があっても口にしや

すいだろうと、それを半生まで解凍することにした。カチコチでは食べ辛いだろうとの考

えだ。それから、おじやも作って冷ましておくことにした。

 いきなり台所で動き出したレイに、ティエリアが声をかける。まだ、昼には時間がある



「これから、作るのか? 」

「ママの分を準備する。まだ、何も口にしていないから、少し口にさせて水分を摂らせた

ほうがいい。」

「俺で手伝えることはあるか? 」

「いや、ここは俺がやる。先に水遣りしてくれ。」

 ティエリアは、外へと出て行った。まず、冷たいものがいいか、と、少し融けてきた桃

を包丁の背でガンガン叩いて粉砕した。それをガラスの器に入れて、客間に運ぶと、親猫

は起き上がっていた。

「ママ、トイレですか? 」

「いや、今、すげぇー音がしただろ? 」

 台所の音が届いたらしい。静かに寝かせておかなければ、とか言っていたレイは、「す

いません、俺です。」 と、謝った。

「怪我しなかったか? 」

「しません。これ、召し上がりませんか? 冷たいものなら喉に気持ち良いと思います。



 手にしていたガラスの器を差し出したら、ああ、と、ニールも納得した。これを粉砕し

ていたからの音だとわかったからだ。

「ミキサーがあるんだ。あれでやると楽だぞ。」

「すいません、どこにあるかわからなかったから、原始的な方法でやりました。あなたを

起こしてしまうほどの音とは気付かなくて。」

 そして、器を渡された親猫は、「ありがとな。それで、スプーンなんてものをいただけ

ないか? 」 と、おどけておっしゃる。

 スプーンなんて失念していたレイは、慌てて、また台所へ走る。どうも自分も動転して

いるらしい、と、それで気付く。いつもは、お見舞いぐらいで看病なんて、レイも、ほと

んどしていないからだ。

「すいません。」

「いいって。世話かけてるのは俺のほうだ。・・・・昼は、冷凍で凌いでくれ。夜には熱

も下がってるからさ。」

「いえ、夜も冷凍で大丈夫です。ママの分は、俺がおじやをしますから、それで。・・・

俺も滅多に作らないので、味はどうかわかりませんが・・・・」

「へぇーレイの手作りか、楽しみだな。」

 冷たい桃のシャーベットを口にしつつ、親猫は微笑む。冷たくて、すっとするよ、と、

レイの口にも放り込んでくれる。

「お好みじゃなかったら、すいません。」

「おじやに、そんな難しいもんはねぇーよ。」

 そこへ、紫子猫が水遣りを終えて戻って来た。それは、なんだ? というので、親猫が

紫子猫の口にも放り込む。

「・・・冷たくておいしい。」

「これなら、たくさんあるよ、ティエリア。レイ、ミキサーは、左の・・・いや、とりあ

えず、それだけ出すから、ティエリアにも作ってやってくれ。」

 どっこいせ、と、立ち上がって、台所の棚からミキサーを取り出した。調味料は、ここ

とここ、じゃがいもとかニンジンはここ、と、一通り説明して、布団に戻った。かなり融

けてきた桃を、ごくりと飲み込んで、「ごちそーさん」 と、器を返してくれると横にな

って、そのまんま寝てしまった。

 なんていうか、もう、と、レイは苦笑する。本当に外面はいいのだ。たぶん、クスリで

眠気を催しているはずだが、それすら気にしないフリで、レイのやろうとすることのフォ

ローはしてくれる。

・・・・かなわないな、ママには・・・・

 渡された器を手にして、台所へ戻ると、ティエリアも苦笑している。具合が悪いなんて

思えない動きだからだ。

「ここからは、俺が仕切る。ティエリア、フォローを頼む。」

「了解した。なるべく物音は立てない方向で動いてくれ、レイ。」

 こういう意味では、客間より脇部屋のほうが、ニールはぐっすり眠れたかもしれないと

思ったが、もう遅い。とりあえず、そろりそろりと動いて、レイとティエリアは寺の用事

をひとつずつ片付けていった。



作品名:こらぼでほすと 休暇3 作家名:篠義