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こらぼでほすと 休暇3

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。信じられない、と、文句を吐きつつ、水槽を睨みつけている。

「すぐに乾くからさ。」

「けど、おまえさん、こんなところで干すのは感心しないぜ? どっか、施設内で乾かし

てくれよ。ママニャン。」

 気温は最高潮の時間帯だ。こんなところで長時間、居座るのはマズイ。紫子猫の髪の毛

をタオルで拭いている親猫も、そうだなあ、と、返事はする。

「早めにメシにするか? 」

「そうだな。」

「おまえさん、今日は仕事だろ? ハイネ。」

「店だけだから、夕方までは付き合う。」

 本日は、シンとレイは揃って大学へ出向いているので、間男がアッシーをしている。ラ

ボに、アスランがいるから、そちらの仕事は任せてある。今日ぐらいで、キラの細かい作

業も終了する予定だ。これといって予定変更の連絡はないから順調なのだろう。寺へ顔を

出した後、店のほうで、「ヴェーダの一部掌握は完了。後は、組織とのリンクだけ。」 

と、言っていたから、あまり心配もしていない。

「ニール、施設内へ入りましょう。ここの温度は暑すぎます。」

 ティエリアも、この温度はキツイ。そして、身体の弱っている親猫には、さらに堪える

はずだ。動物園から帰った翌日も、昼寝はいつもの倍だったところをみると、疲れたと思

われる。

「とりあえず、軽くメシ食って、次は大陸棚エリアあたりを散策しようか? ティエリア

。」

 パンフを片手に、そんな暢気なことを言うので、親猫の腕を掴んで、施設へ連行するこ

とにした。お腹空いたのか? とか聞いてくる親猫がおかしくて、ティエリアは大笑いす

る。でも反論することは忘れない。

「あなたを炎天下に放置するわけにはいかないからですっっ。俺は、空腹じゃない。」

「わかったよ。それなら、何が食べたい? 和食か中華か洋食か? 」

「あなたが食べたいものを希望します。」

「俺? うーん、あんま腹減ってないんだが・・・・ハイネは? 」

「カフェテリアでいいんじゃないか? 」

 じゃあ、そこまで誘導してくれ、と、ティエリアにパンフを渡す。空いている手で、紫

子猫はパンフを確認して、また親猫の腕を引いて、そちらへ向った。





 で、案の定、翌日、親猫は熱を出した。予想はしていたから、ハイネがドクターに連絡

をして往診してもらった。軽い熱中症だから、大人しくしていなさい、という診断に、ニ

ールは自分で自分に呆れた。そんなに歩き回っていたわけでもないし、ほとんど施設内で

空調は効いていたからだ。

「なんでもいいから寝てろ。てぃえニャン、レイ、ママニャンの監視頼むぜ。」

 ドクターを送って、ハイネも出勤だ。まあ、ママニャンダウンの連絡はしたから、父親

とか八戒あたりが顔を出すだろう。二日、日は空けたが、あれぐらいでは疲れが取れない

らしい。

「ドクター、もしかして、悪化してる? 」

「まあ徐々にね。クスリの量を増やすよ。遠出は無理になってきたと思っておいてくれ、

ハイネ。」

 完全に回復することはないので、ドクターもニールの行動については、その都度、注意

はしている。それでも、ゆっくりと悪くはなっていく。これを止める手立てが、今のとこ

ろはない。悪化の速度を緩めているクスリがあるだけだ。

「来月、プールに行くとか言ってたんだけどさ。」

「その前後、大人しくしていれば大丈夫だと思うよ。」

 桃色子猫とプールに行くのだ、と、予定を口にしていたから、それを中止にしたら落ち

込むだろう。それとなく桃色子猫にも説明して協力は仰ぐか、と、心の予定メモに書き込

みはした。





 脇部屋にはテレビもないし、そこにレイとティエリアが張り付いたら、家のほうの用心

も悪いので、ニールを客間に移動した。ハイネは、三蔵のベッドを占領しているし、レイ

がハイネの使っている脇部屋を使っているので、客間は空いていたからだ。

「こちらのほうがトイレも近いし、声をかけてくれれば居間に、俺が待機していますから

。」

 レイは、それだけ言うと、居間の方へ下がる。紫子猫は、看病はしているから、そちら

に任せることにした。

「ごめんな、ティエリア。」

「だから、早く帰ろうと言ったでしょう。あなたが俺の言うことをきかないから、こうい

うことになるんですよ。」

 心配して覗き込んでくる紫子猫に、親猫は苦笑して頷いた。せっかくだから、時間ギリ

ギリまで水族館で遊んでいた。それほど疲れたつもりはなかったのだが、朝から起き上が

れなかった。

「なんか、身体が弱ったままみたいでさ。加減がよくわからないんだ。」

「これからは、俺の言うことに従ってください。俺の指示通りにしている時は、こんなこ

とにならないでしょう? 」

「そうだよな。はしゃぎすぎた。」

 嬉しくってさ、と、親猫が微笑むので、紫子猫も微笑む。自分も嬉しくて、ついつい止

める口調も緩やかなものになってしまった。いつもなら、強攻に従わせるのに、それがで

きなかったのだ。それは、自分も親猫と一緒に、いろんな海洋生物を眺めるのが楽しかっ

たからだ。

「しばらくは外出禁止です。」

「はいはい。」

「家事は俺がします。」

「・・・・・それは無謀だろ。おまえさん、洗剤の量とかわかんねぇーだろ? 」

「レイにさせますから安心してください。」

「こらこら、他人をこき使わない。レイも勉強があるんだぞ。・・・・明日には、楽にな

るから、俺がぼちぼちとするよ。手伝ってくれるだろ? ティエリア。」

 何もかも取上げてしまうと、余計なことを考えるので、仕事は適度にさせなければなら

ない。それは、ドクターからも指示されている。

「しょうがありません。手伝いましょう。」

「ありがとな、助かるよ。・・・・昼飯は、冷凍庫に、いろいろと入ってるから適当にし

てくれ。レイに言えば、わかるから。」

「わかりました。あなたは、少し寝てください。」

 はいはい、と、親猫が目を閉じる。少しも辛くないような軽い口調だ。だが、すぐに寝

息に変わる。クスリが効き始めたのか、息も落ち着いている。それを確認すると、ティエ

リアも居間に下がった。

「寝たのか? 」

 隣りの居間で、レイは携帯端末で、何かを読んでいた。勉強がある、と、親猫が言うの

だから、それのことだろう。足音で顔は上げた。

「ああ。・・・・昼は冷凍しているもので適当にしてくれ。」

「ママには、おじやを作る。」

「できるのか? 」

「それぐらいは問題ない。ティエリア、庭の菜園の水遣りをしてくれるか? 俺は洗濯物

のほうを担当する。それから、掃除は、今日は控える。物音がしたら、ママが寝ていられ

ないから。」

「承知した。」

 レイは、元々が一人暮らしをしているから、家事一切はできないことはない。食事も簡

単なものは作ることができる。ただ、ママのように熱には冷たいゼリーやシャーベットな

んてものを用意するのは無理だ。せいぜい、市販のものを買ってくるぐらいしかできない



「ああ、そうだ。まだあるのかな。」
作品名:こらぼでほすと 休暇3 作家名:篠義