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こらぼでほすと 休暇4

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世間知らずのテロリスト様と、元ザフトレッドのエリート軍人様のコンビが看病しているという情報に、慌てたのは、トダカと八戒だけではない。アスランもキラを伴なって、顔を出した。

 しかし、すでに、そこには、八戒と悟浄がいて、何かと動いているところだったから、ほっとはした。

「よかった。」

 キラは、いつもの脇部屋へと走っていったので、姿はない。アスランの様子に、八戒とトダカも微笑んでいる。

「ハイネが、連絡網で廻すから、こんなことになってるんですよ、アスラン。店で締め上げましょう。」

 誰かに頼んでくれれば、一斉に駆けつけて来ることもないのだ。それを、手を抜いて連絡網で一斉配信するから、こういうことになる。

「ニールは? どうなんですか? 八戒さん。」

「別に、いつも通りです。」

 いつも通り、くーすかと寝ている。疲れただけだから、それほど大したことではない。ただ看護が、問題だから慌てただけだ。

 すったかたったーと脇部屋まで遠征して、キラは戻って来た。あちらはもぬけの殻だった。

「ねーママがいないんだけど? 八戒さん。」

「ママなら、客間ですよ、キラくん。でも、煩くしないでくださいね。今さっき、寝たところですから。」

 沙・猪家夫夫が顔を出したら、レイとティエリアが洗濯ものを畳んでいて、それを客間からニールが畳み方の指導をしているところだった。レイは、なんでも、そこそこできるのだが、紫子猫は畳む前に服の向きから説明してやる必要があったらしい。

 八戒が、その役目を交替すると、ニールのほうは布団に引き込んで寝てしまった。それが、ついさっきのことだ。トダカも、そのすぐ後でやってきたので、今は、紫子猫と一緒に客間で様子をみている。

 キラも、こっそりと客間に顔を出したら、ティエリアとトダカと視線が合った。しっとトダカが人差し指を、口元に立てたので、そろそろと近寄る。親猫は、ぐっすりと寝ている様子だ。

「ほんとだ。寝てる。」

「キラ様、仕事は終わったんですか? 」

「うん、終わったよ、トダカさん。」

 組織とのリンクの作業も終わった。プラントに新しいサーバーを用意して、そちらと連合のマザーを介して、ヴェーダと組織はリンクする。そのシステムも組みあがってルートも確保したので、キラの仕事も終わりだ。その言葉に、ティエリアも顔を上げる。仕事が終われば、組織へ帰らなければならない。

「でもね、ティエリア。僕とプールに行く約束だろ? だから、データは、まだ渡さないからね。」

 こっちに来い、と、キラが廊下へ手招きする。ここで、大声を張り上げてはいけないぐらいの常識は、大明神様にも残っている。

 素早く外へ出てきたティエリアと居間のほうへ戻って、そこで話をする。確かに、休暇は仕事があるから延長させた。とはいうものの、ティエリアは、ほとんどリフレッシュできていない。ここんところ、親猫と出かけていたらしいが、それだって二日ばかりのことだ。

「なぜ、渡さないんだ? キラ。」

「渡すと、きみは帰っちゃうだろ? ママと、ゆっくりしてないままで帰るなんて、ママが可哀想だと思わない? 次に、いつ降りられるかわかんないんなら、この際、ここで、きっちりと休暇は取るべきだと思うよ? ティエリア。」

 ティエリアの機体が、一番にロールアウトする。その調整や改良には、マイスター本人が必要だ。それに、今、マイスターとして組織に残っているのは、ティエリアだけだから、次の機体も、その次の機体もティエリアが調整に参加するしかないのだ。そうなると、ちょっとやそっとでは降りてこられなくなる。だから、ここで、一端、クールダウンするためにも、きっちりと休暇は取るべきだというのが、キラとアスランの考えだ。

「だが、それがあれば、組織でのヴェーダの活用範囲が広がるんだぞ? 」

「そんなことわかってる。でも、それは僕が考案したものだ。僕が考えなかったら、今でも組織は狭い範囲でヴェーダを使用しているはずで、それはきみの手に入らなかったものだろ? 」

「俺も手伝ったぞ? 」

「そうだけど、きみが考え付いたものじゃない。・・・・だから、それを、いつ、使用するかは僕が決めてもいいはずだ。それに、ティエリアだって、ちょっとはママと一緒に、のんびりしなきゃダメ。」

「できれば、悟空が戻ってくる一週間後まで滞在してもらえないか? ティエリア。おまえのママは、寂しがり屋だから、できたら入れ替わるようにしてくれたほうがいいんだ。」

 アスランも、キラの言葉に付け足す。後一週間で、悟空は戻ってくる。それと入れ替わるように帰るなら、ママが一人になることもないし、手間のかかる三蔵がいれば気も紛れるはずだからだ。

「だが、完成しているのに。」

「じゃあ、今から一部、壊して再構築する。」

「キラッッ。」

「つまり、僕次第。いくら、きみでも一からは作れないだろ? 」

「キラ、その言い方は喧嘩を売っているようなもんだぞ? なあ、紫子猫ちゃん、キラが憎まれ口叩いてるのは、おまえのことを心配してだ。碌に休みもしないで、また働くっていうのは、しんどいから、そう言うんだ。一週間、なんもしないで、ママニャンと遊んでから、気分転換して帰れってことだ。」

 キラ独特の物言いでは、喧嘩にしかならないな、と、悟浄が口を挟む。言い方は悪いが、ティエリアのことを心配しているからだと説明はする。

「ママだって、おまえとゆっくりしたいって思ってると思うぞ、ティエリア。」

「だいたい、寝込んでるママを置いて帰るなんて、万死だからね? 」

 そう言われると、ティエリアも、すぐに帰るとは言えなくなる。あの様子だと、何日かは静養することになるだろう。それなのに、それを無視して帰るなんていうのは、ティエリアにもできない。

「・・・・わかった。一週間休む。」

「オッケーッッ。これで交渉は成立。ねーねー、レイ、さっきから何作ってるの?」

 話が終われば、キラは台所へ駆けて行く。レイが台所で何やら作っているから、気になっていたらしい。

「ニールの具合が落ち着いたら、みんなで屋内プールへでも繰り出そう。そのつもりでいてくれ。」

 アスランが、今後の予定も告げて微笑む。せっかくの休みだから、そういうレクリエーションはやっておきたい。後から来るフェルトにも、いろいろと計画をしている。これから、再始動に向けて忙しくなる前の休暇ぐらい、羽目を外せばいいのだ。

「・・・・わかった。」

 飛び抜けて真面目に生きているティエリアには、その意味が、イマイチわからないのだが、心配されているのは理解できたし、親猫を、あのまま放置するのは気にかかる。もしかしたら、しばらく見納めかもしれないのだ。どうせなら、元気な姿で送り出して欲しい。だから、キラの提案には頷くことにした。





 居間と客間は襖一枚で隔たっているだけだから、声が大きければ筒抜けになる。ティエリアの怒鳴り声なんてストレートに、トダカの耳に飛び込んでくる。これは、注意しないと、ニールが起きてしまうな、と、立ち上がりかけたら、その件の娘さんが、目を覚ましてしまった。

「・・・ん?・・・・」
作品名:こらぼでほすと 休暇4 作家名:篠義