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ぐらにる 流れ 遠征2

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「私は、それほど頼りないわけではないんだがな。」
「疑われることはするな。俺の素性がバレたら、あんた、軍法会議ものだぞ?」
「なるほど、きみは、それほどの大物ということか? 心しておく。」
「まあ、大物だろうさ。」
 自嘲する姫の微笑は、少し悲しい。姫のほうも、組織に協力者はいるが、組織本体には、私のことはバレていない。
「今回も協力者がアリバイ工作してくれているのかい? 」
「・・・ああ・・・」
「いつか、お礼を言いたいな。」
「逢わせねぇーよ。そいつにも害が及ぶからな。・・・・あんたの明日からの予定を教えてくれないか? それ如何でチケットを取り直す。」
 ふたりで、食事しつつ、私のスケジュールについて話し合った。後三日滞在して、姫は帰ることになった。最終日の真夜中の便で、ここを発ち、一端、乗り換えをするらしい。どこへ帰るのか、私は聞かない。ここからの直通便なら、もう一日稼げるのだろうが、それをやると、私に行き先がバレると思っている。もちろん、調べることは可能だろう。だが、到着したからといって、そこに、彼が常時滞在しているわけではないことも分かっている。
「姫、墓参りは・・・その・・・次回はいつ? 」
「来なくていい。というか、俺にもわからないんだ。・・・・スケジュールの合間になるから。」
 唯一、彼が現れる場所は、ここからは遠く、普段の私には休暇でないといけない場所だ。予定がわかっていれば、それに合わせて休暇を申請できるのだが、それも拒絶された。
・・・・姫について、私が把握していることは少ない・・・・
 どこにいるのか、所属する組織が、どういうものか、そういうものは一切判らない。私の情報は、把握されているというのに。
「少しぐらい情報開示してくれれば、よいと思う。」
「できません。・・・・ああ、あんたさ、俺の身体については、一番詳しいと思うぜ。だから、それで我慢しとけ。」
「つまり、きみは私だけだと宣言しているのか? 」
「俺は、所構わず誘ったりしない。」
「熱烈な告白をありがとう。私も、きみだけだと宣言しておこう。」
「・・・わかってるよ・・・」
 照れて俯いた姫は、うなじまで赤くしている。ぶっきらぼうな言い方でしか、姫は言わない人なので、なかなか、「愛してる」という言葉はくれない。一度
だけ贈らせたが、それも、私がねだったからだ。きみから、いつも聞きたいと思うのは、私の傲慢なのだろうか。
作品名:ぐらにる 流れ 遠征2 作家名:篠義