みんな身勝手
僕は貴方を、恨んではいないんですよ。
時間の経過は早くて、社会的に大人といえる年齢の今。学生時代の思い出は、決して綺麗事ばかりではなく、自分なりに苦心し、乗り越えようと頑張った、もがいた、そういう記憶もきちんと残っている。
その記憶が、ふと、日常の中で思い出されると、胸が痛む。自分の行ってきた事に対して、昔と今では考えが変わった証拠だ。
けれど後悔はない。今だからわかる。あれは自己愛故におこした、自分のための行動だ。周囲を巻き込む結果となっても、突き進んだそれに、きっとその時の自分にとって意味はあった行動だから。だから、後悔はしない。自分を貫き通した事で招いた結果への、僕の最後の意地でもある。
それに、当時の自分を好きになれなくとも、愚かしさを愛しいと思える年齢に、僕はなっていた。その愚かしい行動を繰り返さぬよう、諭してやる立場にもなっている。
自分の背を見て育つ、このわが子に。
今日、僕の子供は入学式を迎え、晴れて小学生となった。初々しい健やかな表情と、自慢げに背負うランドセル、その小さな体の頭を撫でる。この子を、立派に育てていきたい。
それが今の僕がすべきことで、あの頃の自分は反面教師となっている。
「ねぇ!あのね、…!えっと、ね…?」
「うん…?」
未知に希望を抱く姿は、まるで自分のようで、ああ、この子は僕に似たのだと、自分の子なのだとそう思う。彼女の面影を残し、性格は僕に寄ったのだろう。
さっそく友達を作ったのか、そういう器用なところは彼女に似てよかった。入学式後の付近の公園で、遊具の周辺にいる子達を指してはしゃいでいる。
「ちょっとあっちで、あそんでくるね!」
ランドセルを受け取り、小さな手を振り回す子の頭にぽんと手をのせる。
「気をつけていってらっしゃい。」
華やかな笑顔、そうすると彼女と本当にそっくりで、けれど懐かしいと思ってしまう自分に苦笑する。
この子の母は、この子がもっと小さい時にいなくなってしまった。原因は、僕の不甲斐無さというところだろうか。この子がもっと小さい時、僕ももっと未熟で、僕は彼女の不安に気づけなかった。子が生まれるからと必死に仕事にかけずり回り、本当に大事なものを見失うなど、学生時分となんら変わりない。その 事実に気付いた時、僕は自分に落胆した。
学生時代に後悔はなくとも、彼女がいなくなったあの時程悔いた事はない。
だから、もう繰り返さぬよう、僕はこの子を育んでいくと決心した。この子の母がいないのは、大体において自分のせいであるのだから。
だが、きっかけを作った人物は別にいる。
結局のところ、彼女に近づく事を許してしまった自分に原因があるのだから、恨んではいないけれど。彼女が、僕たち父子の前から姿を消そうと決心を固めさせた人物は、確かにいるのだ。
そしてその人物と僕は、関係をもっている。
時間の経過は早くて、社会的に大人といえる年齢の今。学生時代の思い出は、決して綺麗事ばかりではなく、自分なりに苦心し、乗り越えようと頑張った、もがいた、そういう記憶もきちんと残っている。
その記憶が、ふと、日常の中で思い出されると、胸が痛む。自分の行ってきた事に対して、昔と今では考えが変わった証拠だ。
けれど後悔はない。今だからわかる。あれは自己愛故におこした、自分のための行動だ。周囲を巻き込む結果となっても、突き進んだそれに、きっとその時の自分にとって意味はあった行動だから。だから、後悔はしない。自分を貫き通した事で招いた結果への、僕の最後の意地でもある。
それに、当時の自分を好きになれなくとも、愚かしさを愛しいと思える年齢に、僕はなっていた。その愚かしい行動を繰り返さぬよう、諭してやる立場にもなっている。
自分の背を見て育つ、このわが子に。
今日、僕の子供は入学式を迎え、晴れて小学生となった。初々しい健やかな表情と、自慢げに背負うランドセル、その小さな体の頭を撫でる。この子を、立派に育てていきたい。
それが今の僕がすべきことで、あの頃の自分は反面教師となっている。
「ねぇ!あのね、…!えっと、ね…?」
「うん…?」
未知に希望を抱く姿は、まるで自分のようで、ああ、この子は僕に似たのだと、自分の子なのだとそう思う。彼女の面影を残し、性格は僕に寄ったのだろう。
さっそく友達を作ったのか、そういう器用なところは彼女に似てよかった。入学式後の付近の公園で、遊具の周辺にいる子達を指してはしゃいでいる。
「ちょっとあっちで、あそんでくるね!」
ランドセルを受け取り、小さな手を振り回す子の頭にぽんと手をのせる。
「気をつけていってらっしゃい。」
華やかな笑顔、そうすると彼女と本当にそっくりで、けれど懐かしいと思ってしまう自分に苦笑する。
この子の母は、この子がもっと小さい時にいなくなってしまった。原因は、僕の不甲斐無さというところだろうか。この子がもっと小さい時、僕ももっと未熟で、僕は彼女の不安に気づけなかった。子が生まれるからと必死に仕事にかけずり回り、本当に大事なものを見失うなど、学生時分となんら変わりない。その 事実に気付いた時、僕は自分に落胆した。
学生時代に後悔はなくとも、彼女がいなくなったあの時程悔いた事はない。
だから、もう繰り返さぬよう、僕はこの子を育んでいくと決心した。この子の母がいないのは、大体において自分のせいであるのだから。
だが、きっかけを作った人物は別にいる。
結局のところ、彼女に近づく事を許してしまった自分に原因があるのだから、恨んではいないけれど。彼女が、僕たち父子の前から姿を消そうと決心を固めさせた人物は、確かにいるのだ。
そしてその人物と僕は、関係をもっている。