こらぼでほすと 休暇5
土曜日は、悟空おかえりとティエリアいってらっしゃいの両方を兼ね合わせたイベントになった。とはいうものの、ホテルの屋内のプール貸し切りだから、年少組は。競泳をやったり、ぷかぷかと浮いていたりするだけだ。大人組は、のんびりとプールサイドで歓談している。
「ちょうどよかったな。三蔵さんがいると、ママも忙しいから大丈夫だろう。」
鷹が、女房とカクテルを楽しみつつ、プールへ視線を流す。そこには、浮き輪に捕まっている紫子猫と、それを引っ張ってやっている親猫の姿がある。
「それで、うまくいったの? 」
「キラが、どうにかしたいみたいだ。俺には、まったくわからんが、あそこで暴れているんだから終わったんだろうさ。」
もちろん、同じプールの中で、大明神様もアスランに浮き輪を引っ張ってもらっている。親猫たちと違って深いところだから、アスランは、すいすいと泳いでいる。
「紅一点の参加ありがとうございます。」
そこへ、ハイネが、恭しく新しいカクテルを差し出す。いつもなら参加しているアイシャが、虎とホリデーに出かけたので、今回は、マリューだけが女性ということになっている。
「でも、色気では、八戒さんに負けるし、美人では、レイに負けるんだけどね? 」
「とんでもない。マリューさんは、うちのやつらなんかの比じゃないよ。」
「おいおい、ハイネ。亭主の前で口説くかね? おまえさん。」
「事実を言ってるだけだぜ? 鷹さん。」
「おまえは、間男業務に勤しんでおけ。ここは、俺の管轄だ。」
しっしっと追い払われて、ハイネも、その場を離れる。そして、ぷかぷかと移動している紫子猫の様子を確認しつつ、デッキチェアに陣取った。しばらくは、降りてこられないのだから、存分に親猫に甘えさせてやろうと手を出していない。だが、あんまり長時間、プールに浸かられているのも心配だから、適度に時間を確認して引き上げるつもりだ。
そして、こちら、のんびりぷかぷかと浮き輪で浮いている紫子猫と、それを引っ張ってプールを歩いている親猫は、水遊びなんてものを満喫していた。親猫は、水中を歩いているだけだが、こういうのも珍しいことだ。なんせ、ほとんど泳いだことがない。紫子猫も、無重力は慣れたものだが、水中へ生身で浮かぶなんてのは滅多にないことだったりする。
「これなら、重力が気にならない。」
「まあ、浮力があるからな。自分で泳いでみるか? ティエリア。」
「いや、交替しよう。今度は、俺があなたを引っ張る。」
深いところへ行かなければ、ティエリアでも、楽々、親猫を引っ張れるので、スポンとピンクの大きな浮き輪を外す。それを、親猫の頭を通して寄りかからせると、ずいずいと引っ張る。水の抵抗はあるものの、親猫の身体はさほど重くない。
「ニール、歩かなくていいです。足を伸ばして下さい。」
「じゃあ、楽させてもらおうかな。・・・・・・ははははは・・・こりゃいいな。極楽だ。」
足を浮かせて、紫子猫が引っ張り始めると、これはこれで楽しい。紫子猫も、振り向いて親猫の笑顔に釣られるように微笑む。柔らかい表情が増えたなーと、親猫は内心でほっとする。少しずつ、感情を手に入れて紫子猫は、笑ったり興味を覚えたり甘えたりできるようになった。あとは、アレハレルヤが戻れば、気も晴れるだろう。
振り向いて、にへらっと笑っていた紫子猫は、いきなり水をかけられて、ひっくり返った。大した深さではないが、慌てていると浮かんで来れないらしく、ニールが引っ張り上げる。
「・・・・・なんだ?」
「ママの独占を認めないよ? ティエリア。」
プールサイドに仁王立ちで、水鉄砲を構えているキラが、大声を上げる。しかし、だ。そのキラも、横からの攻撃で、避けようとしてプールへドボンと落ちた。
「ママ、仇は討ちました。」
爽やかに笑っているのは、レイだ。しかし、ここにも、水の攻撃が集中する。悟空とアスランが、レイを狙い撃っている。
「ダブル攻撃は卑怯だろ? こっちも、ダブルで攻撃だっっ、レイ。」
それにシンが加勢に加わる。水鉄砲といっても、小さなものではない。タンクもついている、かなり大きなものだ。
「ママもやる? 」
プールに落とされたキラが、予備を持って来た。ティエリアとニールに渡すと、そこから、レイたちを攻撃する。
「これは? 」
「このタンクに水入れて、このハンドルを押すと、水が圧縮されて押しだされるんだ。まあ、子供のおもちゃだな。」
タンクに水を入れると、試しに、ニールがキラの後頭部へ水をかける。ああ、なるほど、と、ティエリアも同じように、キラに水をぶっかける。ふたりからの攻撃に、キラは、きゃあきゃあと叫んで後退した。プールサイドへも、攻撃するが距離があり過ぎて届かない。
「近寄るぞ? ティエリア。俺が背後を固めるから、おまえさんは、シンたちを殲滅しろ。」
「了解した。」
プールの真ん中から、さくさくと移動して、シンとレイに水を撃ちこむと、同時に反撃される。それには、ニールがフォローに入り、浮き輪で、その攻撃は防いだ。キラは、水を充填すると、また攻撃してくる。そちらにも、ティエリアは攻撃を仕掛ける。まあ、真面目にやってるわけではないので、適当に、どっちにも水をかけるという程度だが、これはこれで楽しい。
「ティエリア、ママ、俺、そっちの組な。」
悟空が、どぼんと飛び込んで、親猫と紫子猫のほうへ加勢する。これで、まあ、実力も拮抗した。バンバンと撃ち合うので、大人組にも余波は行く。こらこら、と、悟浄が、用意されていた水鉄砲を手にして参加するし、ハイネや鷹も参加だ。優雅に、それを離れたところで見ていたトダカと、手招きされて安全圏へ逃げ込んだマリューは、カチンとグラスを合わせていたりする。
三十分ばかりして、騒ぎは、一端、お開きになった。全員、びしょ濡れでプールサイドに年少組は倒れ込んでいる。水中を走り回るのは、かなりの労力が必要で、悟空以外が、ギブしたからだ。
「休憩したら、また再会な? おまえら、だらしないぞ? 」
悟空は、一人平然として、からからと大笑いしている。シンとレイ、キラ、アスランあたりは、プールサイドで、「ごくーのバカーー」 と、罵りつつ息が上がっている。親猫と紫子猫は、悟空に援護されていたから、あまり動き回っていないので、そろそろと水から上がって来た。そうでなかったら、真っ先にギブアップしていたはずだ。
「お疲れ様、休憩しなさいよ。ニール。」
マリューが、こっちこっち、と、招いてくれる。いい運動でした、と、マリューのとなりのデッキチェアに座ったら、すかさず、飲み物を渡された。
「ティエリアは、カクテルがいいかしら? ちなみにニールのは、グレープフルーツソーダよ?」
「同じものが良い。」
「なら、これ、飲んでくれ、ティエリア。俺、一口で良いから。」
ごくっと、一口呑んで、親猫が紫子猫にグラスを渡す。紫子猫も、ごくごくと飲み干した。かなり喉は乾いていた。お代わりは? と、差し出されたのも、ごくごくと飲む。
「いい運動だったな? 」
「こんなに喉が渇いているとは思わなかった。」
「ちょうどよかったな。三蔵さんがいると、ママも忙しいから大丈夫だろう。」
鷹が、女房とカクテルを楽しみつつ、プールへ視線を流す。そこには、浮き輪に捕まっている紫子猫と、それを引っ張ってやっている親猫の姿がある。
「それで、うまくいったの? 」
「キラが、どうにかしたいみたいだ。俺には、まったくわからんが、あそこで暴れているんだから終わったんだろうさ。」
もちろん、同じプールの中で、大明神様もアスランに浮き輪を引っ張ってもらっている。親猫たちと違って深いところだから、アスランは、すいすいと泳いでいる。
「紅一点の参加ありがとうございます。」
そこへ、ハイネが、恭しく新しいカクテルを差し出す。いつもなら参加しているアイシャが、虎とホリデーに出かけたので、今回は、マリューだけが女性ということになっている。
「でも、色気では、八戒さんに負けるし、美人では、レイに負けるんだけどね? 」
「とんでもない。マリューさんは、うちのやつらなんかの比じゃないよ。」
「おいおい、ハイネ。亭主の前で口説くかね? おまえさん。」
「事実を言ってるだけだぜ? 鷹さん。」
「おまえは、間男業務に勤しんでおけ。ここは、俺の管轄だ。」
しっしっと追い払われて、ハイネも、その場を離れる。そして、ぷかぷかと移動している紫子猫の様子を確認しつつ、デッキチェアに陣取った。しばらくは、降りてこられないのだから、存分に親猫に甘えさせてやろうと手を出していない。だが、あんまり長時間、プールに浸かられているのも心配だから、適度に時間を確認して引き上げるつもりだ。
そして、こちら、のんびりぷかぷかと浮き輪で浮いている紫子猫と、それを引っ張ってプールを歩いている親猫は、水遊びなんてものを満喫していた。親猫は、水中を歩いているだけだが、こういうのも珍しいことだ。なんせ、ほとんど泳いだことがない。紫子猫も、無重力は慣れたものだが、水中へ生身で浮かぶなんてのは滅多にないことだったりする。
「これなら、重力が気にならない。」
「まあ、浮力があるからな。自分で泳いでみるか? ティエリア。」
「いや、交替しよう。今度は、俺があなたを引っ張る。」
深いところへ行かなければ、ティエリアでも、楽々、親猫を引っ張れるので、スポンとピンクの大きな浮き輪を外す。それを、親猫の頭を通して寄りかからせると、ずいずいと引っ張る。水の抵抗はあるものの、親猫の身体はさほど重くない。
「ニール、歩かなくていいです。足を伸ばして下さい。」
「じゃあ、楽させてもらおうかな。・・・・・・ははははは・・・こりゃいいな。極楽だ。」
足を浮かせて、紫子猫が引っ張り始めると、これはこれで楽しい。紫子猫も、振り向いて親猫の笑顔に釣られるように微笑む。柔らかい表情が増えたなーと、親猫は内心でほっとする。少しずつ、感情を手に入れて紫子猫は、笑ったり興味を覚えたり甘えたりできるようになった。あとは、アレハレルヤが戻れば、気も晴れるだろう。
振り向いて、にへらっと笑っていた紫子猫は、いきなり水をかけられて、ひっくり返った。大した深さではないが、慌てていると浮かんで来れないらしく、ニールが引っ張り上げる。
「・・・・・なんだ?」
「ママの独占を認めないよ? ティエリア。」
プールサイドに仁王立ちで、水鉄砲を構えているキラが、大声を上げる。しかし、だ。そのキラも、横からの攻撃で、避けようとしてプールへドボンと落ちた。
「ママ、仇は討ちました。」
爽やかに笑っているのは、レイだ。しかし、ここにも、水の攻撃が集中する。悟空とアスランが、レイを狙い撃っている。
「ダブル攻撃は卑怯だろ? こっちも、ダブルで攻撃だっっ、レイ。」
それにシンが加勢に加わる。水鉄砲といっても、小さなものではない。タンクもついている、かなり大きなものだ。
「ママもやる? 」
プールに落とされたキラが、予備を持って来た。ティエリアとニールに渡すと、そこから、レイたちを攻撃する。
「これは? 」
「このタンクに水入れて、このハンドルを押すと、水が圧縮されて押しだされるんだ。まあ、子供のおもちゃだな。」
タンクに水を入れると、試しに、ニールがキラの後頭部へ水をかける。ああ、なるほど、と、ティエリアも同じように、キラに水をぶっかける。ふたりからの攻撃に、キラは、きゃあきゃあと叫んで後退した。プールサイドへも、攻撃するが距離があり過ぎて届かない。
「近寄るぞ? ティエリア。俺が背後を固めるから、おまえさんは、シンたちを殲滅しろ。」
「了解した。」
プールの真ん中から、さくさくと移動して、シンとレイに水を撃ちこむと、同時に反撃される。それには、ニールがフォローに入り、浮き輪で、その攻撃は防いだ。キラは、水を充填すると、また攻撃してくる。そちらにも、ティエリアは攻撃を仕掛ける。まあ、真面目にやってるわけではないので、適当に、どっちにも水をかけるという程度だが、これはこれで楽しい。
「ティエリア、ママ、俺、そっちの組な。」
悟空が、どぼんと飛び込んで、親猫と紫子猫のほうへ加勢する。これで、まあ、実力も拮抗した。バンバンと撃ち合うので、大人組にも余波は行く。こらこら、と、悟浄が、用意されていた水鉄砲を手にして参加するし、ハイネや鷹も参加だ。優雅に、それを離れたところで見ていたトダカと、手招きされて安全圏へ逃げ込んだマリューは、カチンとグラスを合わせていたりする。
三十分ばかりして、騒ぎは、一端、お開きになった。全員、びしょ濡れでプールサイドに年少組は倒れ込んでいる。水中を走り回るのは、かなりの労力が必要で、悟空以外が、ギブしたからだ。
「休憩したら、また再会な? おまえら、だらしないぞ? 」
悟空は、一人平然として、からからと大笑いしている。シンとレイ、キラ、アスランあたりは、プールサイドで、「ごくーのバカーー」 と、罵りつつ息が上がっている。親猫と紫子猫は、悟空に援護されていたから、あまり動き回っていないので、そろそろと水から上がって来た。そうでなかったら、真っ先にギブアップしていたはずだ。
「お疲れ様、休憩しなさいよ。ニール。」
マリューが、こっちこっち、と、招いてくれる。いい運動でした、と、マリューのとなりのデッキチェアに座ったら、すかさず、飲み物を渡された。
「ティエリアは、カクテルがいいかしら? ちなみにニールのは、グレープフルーツソーダよ?」
「同じものが良い。」
「なら、これ、飲んでくれ、ティエリア。俺、一口で良いから。」
ごくっと、一口呑んで、親猫が紫子猫にグラスを渡す。紫子猫も、ごくごくと飲み干した。かなり喉は乾いていた。お代わりは? と、差し出されたのも、ごくごくと飲む。
「いい運動だったな? 」
「こんなに喉が渇いているとは思わなかった。」
作品名:こらぼでほすと 休暇5 作家名:篠義