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賽はたった今投げられた

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一緒にいたいなら、僕を楽しませてね。


 いつもと変わらぬ日々、繰り返しているうちに時の流れは早く感じる。これは気のせいではないと思う。繰り返すというのは、時をこなすという気分になる。僕は日常をやり過ごしている。そう思わずにはいられないくらいには、変化のない、ありふれた時を過ごしている。なんて怠惰だ。
 大学生も3回生になれば力の抜き方も覚え、日々繰り返し、退屈に馴染んでしまっているこの感覚からは逃れようもない。何せ学校生活は順調そのもので、このままのペースでいけば3回生の後期には就職活動に余裕をもって臨める程度には、僕は普通の学生なのだ。ありふれて、どこにでもいる、自分に退屈を感じてしまうほどに平凡な学生。
「ね、帝人さん、なぁに考えてるの?」

 そんな凡人である僕に、なぜか最近非凡人である知り合いができた。知り合い、というか、後輩、というか、とにかく年下のその子は何が面白いのか僕に近づいてくる。
 かけられた声にふり返ると、そこには正に眉目秀麗という言葉が似合う青年、と少年の間のような顔つきの高校生。綺麗な造形に見合うような、すらりとした身長と体躯で、視点は僕より上にある。けれどやはりこのくらいの子は年齢が顔に出るというか、そこは綺麗な彼も例にもれず年齢相応の顔つきをしている。雰囲気は、高校生とかそんな生易しいものは感じないが。
「…なんで君はここにいるかなぁ、」
聞かれた事には答えない。何せここは僕の通う大学構内で、彼は前述した通り高校に通う生徒なのだ。答えるより先に聞いておかねばならない、何故彼がここにいる。
「帝人さんに会いたくて!だって帝人さん今日はもうさっきの講義で終りでしょ?」
「……、」
 彼に言われたことは確かにその通りなので、会いたかったと言われて嬉しくないという訳でもない。それでも、彼は高校生であって。
「君の意志で通い始めたところなんだから、せめてそれくらいは守ってほしいなぁ、なんて。今、学校の時間でしょ。」
「うん?帝人さんに会うより、それって大事?」
「…卒業はしなよね、」
「ははっ!心配なさらずともよゆーよゆー、」
 どうしてだろう、この子、頭はきれるから多分成績に問題はないんだろうけど、この卒業への確信はなにか他の物を感じる。気にしてはいけない黒い背景が何となく見える。
「あんまり先生虐めたら可哀想だよ、」
「帝人さんのそういう敏い所、好きだよ。」
「、ありがとう。」
 学校に何某かを働いているのを、堂々と容認するこの子が怖い。一体いつからこんな若い子でも大人社会に脅しをかけられるようになったのか、まったく物騒な世の中である。
作品名:賽はたった今投げられた 作家名:青海斎