15年先の君へ
今回もそうなるのではないかと思うと不安が拭えない。やっと暴力を振るわずに済む人間を見つけたのだ。男だとか女だとか未来人だとか、そんなことはどうでもよくなっていた。
傷つけたくない。だが、離れて欲しくもない。
自分でもどうしていいかわからず、気持ちを持て余している。こんなことは初めてだ。
ただ今確実に言えることは、あいつがどこで何をしているのか。ちゃんと生きているのか。それが知りたい。
顔が見たい。大丈夫だと言って欲しい。俺は人を好きになってもいいのだと教えて欲しい。
身勝手な感情だ。難癖をつけて、俺はただ会いたいだけなのだと、わかっていた。
「待ってるばかりじゃ駄目だよ。自分からも動かなくては。私みたいにね」
「…お前は動きすぎだ」
これでも我慢しているんだよと口を尖らせる新羅に、小さく笑う。
まぁ確かに俺が動かなければきっと、ずっとこのままだという予感はあった。
携帯を眺めて、俺はグッと、奥歯を噛み締めた。